塩づくりに適した日本中の浜を探し歩き、熊本県の天草諸島を選んだ塩の職人・松本明生氏(天草塩の会)。この地で、どのような手法で、どのような想いで塩を作っているのか、生産者の思いを受け取ること。そして、この塩をテーマとしたレストランのシェフとして、スペシャリテ(看板料理)を提案すること。
料理名:「恩恵」
時期の魚を塩煮という手法で焚き上げました。松本さんが作られている2種のお塩の素晴らしさを一皿で。お休みのない松本さんへの景色のプレゼント、塩が引き出す素材の力をと思い、考察しました。途中での太陽と天日干しをイメージさせるプレゼンで塩の作り方を一般の方にも身をもって体感し召し上がっていただく。「塩」が主体の料理が続かれると思うので、対策としてカリウムを多く含む食材をあしらいとして添えました。
糖の料理:「竜髭菜―心襲―」
「糖」とは、生命の活力です。この料理では、〔自分〕〔自然界〕〔一皿の上〕において、糖とは何たるかを自分なりに表現しました。〔自分〕にとって、糖とは甘いものを連想させます。日本人の主食でもあるお米、幼き日に親しんだ駄菓子。そこから、米で育った鶏の卵、赤米で作ったぽん菓子を。〔自然界〕において、植物の光合成で生み出される糖。その生成に必要な二酸化炭素を鶏卵の泡、水をアスパラガスの水分量の変化、日光を栽培方法で光の有無のある緑、白それぞれのアスパラガスを用いて表現し、〔一皿の上〕において、同じ食材でも様々なアプローチをすることで、感じる甘み、食感、香りなどに違いが生まれ、糖というものが一皿の上でもどのような影響を与えているのか。を感じて頂けるように。そして、今、まさに旬を迎え、生命の息吹を纏ったアスパラガスの織り成す様々な表情をとくとご覧あれ。