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独自の感性とビジネス・マインドを兼ね備えた才能に期待

笹島 保弘(IL GHIOTTONE オーナーシェフ)

INTERVIEW 2019.07.23

「RED U-35 2019」から審査員を務めることになった笹島保弘氏。京都の食材とイタリア料理を融合させて独自の道を切り開いた笹島氏は、料理界の将来を担う若手に何を期待するのか?



——若い料理人を取り巻く今の環境をどう思われますか?

僕が20代、30代だったころに比べると、今の若い料理人たちには、活躍できるフィールドが大きく広がっていますよね。東京のレストランであろうと、地方都市のレストランであろうと、世界中からお客様が来てくださいますし、若くして海外で活躍する料理人も増えています。

ですから、世界のニーズやトレンドを基準に、自分の立ち位置を常に意識していかなければなりません。僕が若いときには考えてもみなかった状況になった今、世界で活躍できる料理人が日本から多数誕生することを期待しています。

——そんな時代に「RED U-35」に出場する意義は?

たとえ結果が伴なわなくとも、大会に出場することで、今の自分の立ち位置が明らかになるはず。これから何をすべきなのかも、見えてくるでしょう。その意味で、この大会はとても貴重な機会となるはずです。

過去の大会を見ていると、審査員が本気で審査に臨んでいること、ときには厳しい言葉を選手たちに投げかけていたことがわかります。それはやはり彼らの今後のためを思っていたからこそなのです。これから出場するみなさんにも、審査員の言葉を真剣に受け止め、大切にしてほしいと思っています。

僕はこの年になってもまだ、「あのとき言われたことはこれか!」と思うことがよくあります。今の自分があるのは、間違いなく指導いただいた先輩方のおかげ。その恩を先輩だけに返すのではなく、次の世代にも返していきたい。そんな気持ちで審査員を引き受けました。僕も何かを伝えられる歳になったと思っていますので、その役目を果たしていく覚悟です。

ありがたいことに、僕はこの年になるまで料理人を続けることができています。しかもその間に僕のもとから独立していった料理人たちも少なくありません。彼らの活躍を見るにつけ、喜びがふくらみます。「RED U-35」の審査を通して、若い才能を見出し、世に送り出すお手伝いができたら、さらなる喜びを得られるのではないかと、“その日”を待ちわびています。



——審査にあたり、挑戦者たちのどんなところに着目したいですか?

独自の発想をどのように料理に結実させるのか--その感性に着目したいと思っています。それは微調整能力、あるいはアドリブ力ともいえるかもしれません。

たとえば、トレンドとなっている要素を取り入れる場合でも、単なるコピーではなく、自分なりの解釈を施して一皿に着地できるかどうか。次世代を担う料理人には、そうしたオリジナリティに加えて、お店を繁盛させるヴィジョンも意識してほしいですね。

ビジネスを成功させることは、後に続く世代に、料理人が夢や希望のある仕事であることを示すためにも重要なこと。若き料理人は、技術はもちろんのこと、柔軟でフレッシュな感性、同時にビジネス力にも磨きをかけてほしいものです。

——最後に出場者にメッセージをお願いします。

この大会の勝者はただ一人、グランプリ(レッドエッグ)だけ。しかし、優勝を逃したとしても、大きな一歩を踏み出せている料理人は少なくありません。その意味でも、この大会はとても大きなチャンスなんです。

年齢制限になっている35歳は、料理人としての土台を固めて、次にその殻を破れるかどうか、という年代。「守破離」(※)の「破」にあたる時期ともいえるでしょう。多彩なジャンルの料理人が集い競い合うこの大会は、基礎力を土台にステップアップを図る絶好の機会であるはず。可能性のある限りチャレンジし続けてほしいですね。

※「守破離」:武道や茶道などの修業の段階を示す言葉。師匠から型や技を教わり、それを徹底して「守る」段階を経て、次の段階では、他の流派からも学びながら、自分に合った型や技に発展させ、それまでの殻を「破る」。そして最後に、すべての流派から「離れて」、独自の型や技を確立させる境地へと至る。この一連の流れを「守破離」という。

*Author|RED U-35編集部(MOJI COMPANY)

プロフィール

笹島 保弘(IL GHIOTTONE オーナーシェフ)

1964年、大阪府生まれ。高校卒業後、心斎橋「スエジェ」、箕面「ラトゥール」で腕を磨き、1988年、渡伊。京都「ラヴィータ」、「イル・パッパラルド」両店でシェフを務めたのち独立し、2002年に京都東山に「イル・ギオットーネ」をオープン。その後も、東京・丸の内店をはじめ、姉妹店を続々と出店し、成功に導いている。

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