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準備を万端にして、すべてをかけて挑んでほしい

太田 雄貴(公益社団法人 日本フェンシング協会 会長)

INTERVIEW 2019.07.24

北京五輪で銀メダルを獲得するなど、日本のフェンシング界を牽引してきた太田雄貴氏は一流のアスリートであるとともに、美食家としても知られている。新たに「RED U-35 2019」の審査員に就任した太田氏に、アスリートと料理人に共通する心構えを聞いた。



——挑戦者たちと同世代である太田さん(1985年生まれ)は審査にあたり、どのような点に着目したいですか?

「RED U-35」は、僕が通うお店の同世代の方がチャレンジしていた大会でもあり、常に注目していました。有名店の二番手、三番手の方が一次審査で落ちていると聞いて、レベルの高い大会だなと思っていたんです。しかも、審査員の方々もみなさん真剣そのもの。挑戦者だけではなく、審査する側の熱意が、大会の熱量を生んでいるのでしょうね。

当然、僕も真剣に審査をさせていただきます。おそらく食べ歩きの頻度だけなら、審査員のなかで僕が一番多いかもしれません。なぜなら、料理人でもある審査員のみなさんは夜、本業でお忙しいはずですから。自分が食べ歩いて感じるトレンドなども鑑みて、食べる側の目線で審査に貢献したいと思っています。

——「RED U-35」の挑戦者たちに望むことは?

アスリートの場合、勝ち負けを超えて、感動体験をどれだけお客さんに与えられるかが、そのスポーツの価値向上を左右するのです。ですから、選手は自身の結果だけでなく、スポーツ界にどれだけ貢献できるのかという視座を持つことが大切です。

料理人の場合も、店を繁盛させるだけでなく、自分はどれだけ幸せな感動体験を属する側に与えられるのか、その結果として、料理界にどう貢献できるのかを考えることが大切ではないでしょうか。ですから、この大会を経験した後に、何ができるのかというビジョンを持ちながら挑戦してほしいですね。



——太田さんが己のレベルアップのために現役時代から心がけていることはなんでしょう?

人一倍努力すること。これはもう絶対条件ですね。さらに僕は他競技の選手にアスリートとしての心構えを聞くようにしていました。尊敬するアスリートのみなさんは、とても純粋で率直な方ばかり。それを見習い、いろんな方のアドバイスに耳を傾けようと心がけていたというわけです。

料理界でいえば、中国料理の料理人が、和食の技法や発想に目を向けてみるというようなことになるでしょうか。そのように他ジャンルからヒントを得ることは大切ですが、同時に自身の失敗から学ぶことが大切です。

僕はモスクワの世界選手権で優勝した勢いそのままに、翌年のリオデジャネイロオリンピックに出場したのですが、それまで負けたことがなかった相手に一回戦で負けてしまったのです。25年間の競技生活のなかで、わずかな気の緩みがあったのはあの瞬間だけ。しかもオリンピックという大会で。

結局、あれが僕の現役最後の試合でした。長らく引きずりましたよ。神様、こんなバッド・エンディングありですか?って(笑)。だからこそ、次のキャリアでは同じ失敗を繰り返さないよう心がけているんです。あの大会で金メダルを獲っていたら、今の自分はないかもしれません。

——最後に同世代の出場者にメッセージをお願いします。

負けて後悔しかない試合がある一方で、負けても十分に満足できる試合もあるんです。試合に向けて準備を怠らなければ、たとえ負けても、何かを掴んだという実感が得られる。

ですから、「RED U-35」に出場するみなさんも、しっかりと準備を整え、全身全霊をかけて挑んでください。そうすれば、たとえ結果が望んだものでなくとも、敗戦を今後の糧とすることができるでしょう。ぜひ、この大会での経験を、その後のさらなる飛躍につなげてほしいと思います。

*Author|RED U-35編集部(MOJI COMPANY)

プロフィール

太田 雄貴(公益社団法人 日本フェンシング協会 会長)

1985年、京都府生まれ、滋賀県育ち。小学校3年生からフェンシングを始め、平安高校時代には史上初のインターハイ3連覇を達成。2006年、ドーハアジア競技大会フェンシング男子フルーレ個人で金メダル、2008年、北京オリンピック男子フルーレ個人で銀メダル、2012年、ロンドンオリンピックの男子フルーレ団体で銀メダル、2015年、モスクワ世界選手権フルーレ個人で金メダル。2016年、リオデジャネイロオリンピック男子フルーレ個人で一回戦敗退し、現役を引退。現在、公益社団法人日本フェンシング協会会長、国際フェンシング連盟副会長。

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