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目標は大きく。僕自身「夢」を持ち続けている

山本秀正(株式会社 GFBDI ジャパン 代表取締役社長)

INTERVIEW 2013.09.23

若干28歳にして「リッツ・カールトン ワシントンD.C.」総料理長に就任、第40代米国大統領ロナルド・レーガンの大統領就任晩餐会を取り仕切り、またブッシュ氏、クリントン氏の歴代3大統領の就任晩餐会料理長を歴任した山本秀正氏。 帰国後はマンダリンオリエンタルホテル東京の初代総料理長就任、06年には同ホテル世界初の6つ星ホテル獲得に貢献、その後も国内外で多数のレストランプロデュースを精力的に行なっている。料理人としての姿勢を伺うとともに、若き料理人たちへのメッセージをいただいた。

 

料理を磨くとともに人格を磨く

 

——山本さんは今回のRED U-35の対象者のような若手のころ、どのようなことを考えてお仕事をされていましたか?

 

僕がリッツ・カールトン ワシントンD.C.の総料理長に就任したのは28歳のころです。僕は性質的に苦労を苦労と思わない人間なのですが、今まで経験したレストランからホテルという業態の挑戦は、やはり自らの意思で未来を切り開かなければならないと当時感じましたね。就任約3か月後に任されたのはレーガン大統領が二期目を迎える就任晩餐会ですが、相棒のケータリングディレクターとともにホワイトハウスのハイソサエティ―のみなさま全員が喜んでくれるものを作るために連携し折衝を進めていきました。特にホテルという場所は多くの業種が一つにならないと前進しません。料理人というものはともすれば我が出てしまうものですが、自分を出さず協力していくことを第一に考えていました。
また、マーケットを把握する、お客さまがどんなものを望んでいるかを知ることも重要です。僕のファーストトレーニングはイタリアンですが、持って生まれた日本人の感覚でアメリカ人の食事を作っても根本的に違います。食べる側、作る側に背景が違うということを踏まえ、統一し、最高のパフォーマンスをあげること。これは今現在に至るまで変わらない課題です。

 

——RED U-35は35歳未満という若い料理人を対象としています。若い人に伝えたいこととはどのようなことでしょうか?

 

みなさん料理人としてやっていこうという決意が強い方々だと思いますが、料理人は楽しいですが簡単な職業ではありません。拘束時間が長いですし、立ち仕事は身体を悪くします。また、料理は1人で作るものではありません。みなさんが上を目指すためには「リーダーになるには何が必要か」を考え、勉強していかなければいけません。例えば30名入るレストランで、調理場に3~4人いると仮定すると、その方々をいかに指導しておいしい料理を素早くお客さまに提供するか、同時にウェイトスタッフたちとコミュニケーションを図り良いサービスをしていかなければいけません。最終的には人格が問われます。
日本の料理人の技術は世界的にみても最高の水準ですが、マイナスの部分はリーダーシップが不足していることが挙げられます。リーダーシップは本から学ぶこともできます。勉強した内容を踏まえて、調理場に立つときは人格面で優れた人物像を思い浮かべる。ある意味で役者になってほしいと思います。ただおいしく料理を作ることが仕事ではなく、チームのリーダーとなってこそ良いシェフになれるのではないでしょうか。軒数、立地で頭打ちであるレストラン業界の厳しい時代でやっていけるのはそんな人物です。
料理の磨き方も大事、でも人間性を磨けば、やっぱりついてくる人のレベルも違うし、援助してくれる人もたくさんいると思います。オールマイティーな特質を持った人になって欲しいと僕は思います。

 

——「料理で自分を表現する」ということはなかなか経験の少ない若手にとっては難しいことかもしれません。RED U-35への挑戦者たちに、山本さんからのアドバイスをお願いします。

 

料理に対してより良いものにしようとする姿勢、いつまでもあきらめず同じ料理をおいしくしようとすること。それが大切です。例を挙げますと、僕が見ているホテルカンパニーでは年に1回、全国約13のホテルの代表者が集う料理コンテストがあります。例年12年以上職歴がある方が優勝するのですが、今年の優勝者は料理を始めて5年の若い選手でした。彼は実技テストのあった日の朝4時まで仕込みをやっていたんですね。食べてみて素直にすごいと思うような味で、彼の努力が結果に結びついたと感じました。彼の姿勢こそが今回優勝した理由だと思います。

 

——RED U-35への挑戦者たち、そしてすべての若い料理人たちにメッセージをお願いします。

 

みなさんがこれまで携わったこと、これから取り組んでいくことは料理を作ることと経営に携わることです。日々の業務に熱心に取り組むのはもちろんですが、夢を大きく持ってほしいと思います。料理人の道で億万長者になる、ミシュランで三ツ星をとる、そうしたものでも構いません。目標は大きい方が毎日の仕事への向かい方も変わると思います。
一人一人持つ夢は違うと思いますが、常にチャレンジ精神を持って追っていただきたいです。僕自身も、ずっと夢を持ち続けていますから。

プロフィール

山本秀正(株式会社 GFBDI ジャパン 代表取締役社長)

1956年、東京都生まれ。イタリアの国立料理学校を卒業後、フランス料理の巨匠ロジェ・ヴェルジェ氏に師事。帰国後、六本木の「ボルサリーノ」でメインシェフに。1983年渡米。ビバリーヒルズの「Chaya Brasserie」を経て、ワシントンD.C.のリッツ・カールトンホテルでエグゼクティブシェフに就任。その後、ニューイングランドの「Chatham Bars Inn」などを経て「マンダリンオリエンタル ワシントンD.C.」のエグゼクティブシェフを務める。2005年、「マンダリンオリエンタル東京」の初代総料理長に就任。現在は、数々のレストランのプロデュース、コンサルティングを請け負う。

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