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できるだけ大きい夢や志を抱いてトライしてほしい

德岡 邦夫(京都 𠮷兆 総料理長)

INTERVIEW 2017.05.11

「京都 𠮷兆」の総料理長、德岡邦夫氏が、2017年から「RED U-35」の審査員となった。料理人の育成には新たな方法論が必要だと語る德岡氏が、若き挑戦者に望むものとは。

 

——若手の登竜門となる大会「RED U-35」で、挑戦者に期待することは?

 

「RED U-35」は、若手料理人に希望や可能性を与える大会ではないでしょうか。もし、迷っている方がいれば、絶対に参加したほうがいいと言いたいですね。そして、挑戦者のみなさんには、懸命にこの大会に取り組んでほしい。私は学生や若い方に「何でもいいから自分の好きなことをやり続けてください。恐れず失敗もしてください」と話しています。そうするとみなさん「えっ!?」と驚いた顔をするんですが、若い方たちにとって、好きなことに一心不乱に取り組むなかでの失敗は、必ず貴重な経験となるはずです。そのうえで、挫折から立ち上がり、自ら志した道を歩き続けることができれば、失敗は自らの糧になり、次のステージに向かう原動力となるでしょう。

 

——德岡さんが日本料理界の人材育成について取り組んでいることとは?

 

以前の日本料理の世界では、料理人は仕事を教わるものではなく、見て学ぶのが常識のような風潮がありました。結果として、これまでの料亭や日本料理店では、仕事を十分に身につけていない若い従業員を数多く抱え、彼らの成長を待ちながら経営を続けてきたわけです。それもひとつの教育法だとは思いますが、経営的な観点からみるとひじょうに効率が悪い。そうしたやり方は、変えていきたいと思っています。その一環として、「京都 𠮷兆」では幹部になる従業員に、料理の技術だけでなく、人材育成の重要性や経営についての知識も学んでもらっています。また、当社を独立していく人とも、縁を切ることなく、力を合わせていきたい。せっかく一緒にやってきた仲間としてお互いに助け合えれば、会社としても、個人としても、色々な形で協力していくことができますから。

 

——海外でも日本食がブームとなっていますが、料理人が海外で成功するために必要なものとはなんでしょうか?

 

海外で成功するためには、あきらめない精神が大事です。どれだけ技術力があっても必ず世界で通用するなどということはありません。ひたすら貪欲に自らを磨き続けてほしいですね。そして自分の料理表現や味付けを、海外の人が受け止めてくれていると思ったとしても、突きつめると感覚に微妙なちがいがあることを感じてほしい。これはすべての人にもいえることで、日本人が同じ夕日を見ても、その感想は全員異なっている。僕は料理全体を見たときに、技術の占める割合は小さいと思っているんです。それ以上に、ひとりの人間として料理を召し上がる方のさまざまな本質を感じ、その方たちに喜んでいただける料理をどうすれば提供できるかを考え抜く力が必要だと思います。料理人の自己満足だけではけっして喜んでいただけないのです。

 

——最後に、「RED U-35」の挑戦者へメッセージをお願いします。

 

「RED U-35」に挑戦する若き料理人には、できるだけ大きい夢や志をもって、悔いが残らないよう力を出し切ってほしいと思っています。私は審査員として、一生懸命な挑戦者の方々を応援したいですね。そして、大会に参加して終わりではなく、きちんとしたフォローもしていきたい。みなさんは、日本の宝であり、人類の宝たりえる人材ですから、私たち審査員もみなさんをよりよい道に導いていきたいと思います。

プロフィール

德岡 邦夫(京都 𠮷兆 総料理長)

「𠮷兆」創業者湯木貞一氏の孫として、20歳から本格的に修行を始め、貞一翁から料理の核心を学ぶ。その後、高麗橋𠮷兆、東京 𠮷兆での修行を経て、京都・嵐山本店に入店、1995年総料理長に。2009年6月17日 (株)京都 𠮷兆 代表取締役社長に就任。伝統を守りながらも時代に即した食へのアプローチに挑戦し続け、日本料理に多彩な演出を行う。2014年ユネスコ無形文化遺産登録フランス祝賀晩餐会に招聘。2015年イタリアのミラノ万博に招聘され国連食料農業機関(FAO)にて日本人料理人として初めて特別講演を行う。東京農業大学客員教授。その他、国内外のイベントや日本食学会でも活躍中。

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