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辻󠄀芳樹|出場するからには、勝ちに行け

辻󠄀 芳樹(辻󠄀調理師専門学校校長、辻󠄀調グループ代表)2022審査員Interview

INTERVIEW 2022.06.01

常にグローバルな視野で料理界を見つめてきた辻󠄀芳樹氏は、「RED U-35」のスタート当初から審査員として、次世代の料理人を発掘すべく情熱を注いできた。4年ぶりに審査員に復帰したその目に、「RED U-35」はどのように映っているのか。料理の国際化、環境問題、芸術、哲学……さまざまな領域を横断して語る辻󠄀氏の評価軸に迫った。

——「RED U-35」がスタートしてまもなく10年が経とうとしていますが、辻󠄀さんは大会の変化をどのように感じていらっしゃいますか?

はじまったのは2013年ですよね。すごく昔のことのように感じます。当初は、あくまでもセレンディピティに期待して、ユニークな人材を発掘しようとしていました。

重視していたポイントは、彼らが積み上げてきた努力をどのように表現し、今後に活かそうとしているのか。近年のように料理業界の未来予想図を描いてくれるような人材を、我々審査員は探していなかった気がします。

——料理界そのものが変化したということでしょうか?

10年前は、まだまだフランス料理至上主義。世界各国の料理に共通する部分が少なかったように思います。その後さらなる国際化が進み、世界の料理に共通する部分が醸成され、革新性も増していきました。日本では、6~7年前からでしょうか。世界を広く見渡したうえで、自身の料理を確立する人材が出てきたように思います。

一方で、世界共通の部分ばかりを追いかけてしまうと、料理がより簡素化され、個性がなくなってしまうように感じてもいます。もちろん、コンペティションでは、課されたテーマに即して、限られた時間と食材で仕上げなければなりませんから、大会中の料理が簡素化してしまうのは仕方のない面もあります。そのなかで実力を示し、個性をアピールするのは至難の技でしょう。

※辻󠄀氏が最近記憶に残った場所/富山県白岩地方にある、ドンペリ元醸造最高責任者リシャール・ジョフロワ氏がプロデュースする「IWA」の酒蔵。設計は隈研吾氏。

——審査に際し重視するポイントとは?

日本はあらゆる面で、持続可能な社会に貢献するという世界的な潮流にかなり遅れをとっています。単なるファッションのひとつとしてサステナブルを語ってしまう料理人も少なくありません。大事なのは、それを喫緊の課題として捉え、どのような実践に繋げていくのか。たとえばこうした社会的な課題に対し、どれくらい本気で深く考えているのかを、審査員としてしっかり聞き出せるよう努めるつもりです。

一方で、流行のスタイルが瞬く間に世界に広がる現状にあって、トレンドに流されることなく、確固たる個性を確立できているかも重要です。料理のみならず、アートや哲学、流通、あるいは農林水産などなど、さまざまな分野の知識を横断的に吸収し、そのうえで、独自のクリエーションを生み出せる料理人の登場に期待します。ただ、過去のグランプリ受賞者を見ていると、バランスのとれた人が多すぎるな、とも思うので、個人的にはある1点において突出した才能をもつ人材を見出し、評価していきたいですね。

——改めて「RED U-35」の意義をどのようにお考えですか?

若い人たちにチャンスを与えること。これは大会がはじまったときから一貫しています。今や、長い年月を汗水垂らし、耐え難きを耐えて修業する時代ではありません。料理人として完成される前の段階で、光を当ててあげたい。

また、参加者のジャンルを問わないという点にも、意義があります。伝統にとらわれることなく、幅広い視点で評価する「RED U-35」は、今の時代にふさわしい、特異性のある大会だと思います。

——「RED U-35」の挑戦者たちにメッセージをお願いします。

自分の腕を確かめるためにコンペティションに挑戦するという姿勢を、僕は評価しません。みなで手を繋ぎ仲良くゴールする場ではないのですから。出場を躊躇している人の背中を押す気もありません。そうではなく、勝つために出場しろ! と言いたい。出場するからには、勝ちに行ってほしい。勝ちにいくからこそ得られるものがきっとあるはずですから。

*text by Moji Company

プロフィール

辻󠄀 芳樹

辻󠄀調理師専門学校校長、辻󠄀調グループ代表
大阪、東京、フランスにある食のプロを育成する教育機関の代表。これまで14万人以上の卒業生を国内外の飲食業界に輩出。2018年フランス国家功労勲章受章。2019年G20大阪サミットの首脳夕食会でエグゼクティヴプロデューサーを務める。農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」の審査委員や国内外での講演など様々な形で食文化の発展に貢献。

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