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狐野扶実子|食の未来をともに考える“同志”に出会いたい

狐野扶実子(食プロデューサー・コンサルタント)2022審査員長Interview

INTERVIEW 2022.06.10

2015年より「RED U-35」の審査員を務めてきた狐野扶実子氏が、女性初の審査員長に就任した。出張料理人として、あるいは食プロデューサーとして国際的な舞台で活躍してきた狐野氏の経験が大会にどんな変化をもたらすのか。「挑戦者と審査員が一丸となり、よりよい食の未来に貢献できる大会にしたい」と語る氏に、その真意を聞いた。

——長年にわたり「RED U-35」の審査員を務めてこられた狐野さんが、改めて考えるこの大会の意義とは?

料理人がフードロス問題など環境に配慮した取り組みを実践することは今や当たり前。「RED U-35」は料理人のコンペティションではありますが、同時に、参加者全員が、よりよい食の未来を創造していく場でもあると考えます。挑戦者と審査員は、いわばそのための“同志”。料理人が社会課題の解決に貢献しようとするのは、私たちの幸せのため。そんな「幸せ」につながることを、挑戦者と審査員が“同志”となって、ともに考えていきたいですね。

——「RED U-35」がスタートした2013年以降の約10年間だけを見ても、料理人に求められる社会的役割、責任は大きく変化しています。そんな状況において、狐野さんが審査に際し重視するポイントとは?

先ほども申し上げたように、料理人はただ調理をするだけではなく、食の未来を考えなければいけなくなりました。その上で私が重視するのは、料理人がもつべき「ふたつの目」です。ひとつは「虫の目」。これは味や調理技術を追求するために、複眼的に細かなところまで目配せできる目です。もうひとつの「鳥の目」とは、味や伝統技術を継承することにどんな意義があるのか、あるいはその先に何があるのかを想像する力、あるいは貧困問題や環境問題などに思いを馳せる広い視野のことです。社会を俯瞰する視点、あるいは未来を見通す力と言い換えてもいいでしょう。

ただし、無理に大きな社会課題に取り組む必要はありません。身近にある小さな課題でもいいのです。それがどれだけ自分にとって切実な問題として捉えることができるか否か。これが大事です。目の前にある課題の存在を可視化し、多くの共感を得られる人物こそが、この大会のグランプリにふさわしいのではないかと思っています。

※狐野氏提供の写真/狐野氏がたまたま目にしたマンハッタンの街角

——今大会の応募テーマを「旅」とした理由とは?

料理はまるで私のパスポートのようなものだと感じてきました。出張料理など、国境を越えて本当にいろんな場所に行きましたから。私の料理を口にされたお客さまから「昔の旅の記憶が甦った」と感想をいただいたことも。それゆえ、料理には旅に誘うものというイメージがあるのです。挑戦するみなさんにも、きっと旅と結びつく体験があるはず。どんな発想が出てくるのか、とても楽しみにしています。

——狐野さんが現在拠点を置かれるニューヨークは、ツーリストをはじめ、多彩な人びとが集う土地です。そんなニューヨークを代表する三つ星レストラン「イレブン・マディソン・パーク」が、2021年にヴィーガン料理のみを提供するスタイルにリニューアルしたことで話題になりました。こうした流れを狐野さんはどのように感じていらっしゃいますか?

ヴィーガン・メニュー専門のレストランに変貌した「イレブン・マディソン・パーク」は、私も体験しました。いろんな反響があるようですが、個人的にはとても興味深い取り組みだと思います。

多民族社会の象徴でもあるニューヨークにはほかに、ヴィーガンのみならず、ベジタリアン、ペスカタリアンなど、さまざまな人が同じテーブルを囲めるようなスタイルにチャレンジしているレストランも。思想信条を超え多彩な人がひとつのテーブルを囲むことの幸せを教えてくれるこれらの例のように、誰かの幸せに貢献していることを実感させてくれるレストラン体験は今後、ますます注目を集めるはずです。

——狐野さん自身が20代から35歳にかけて感じていたことをふまえ、挑戦する若き料理人にメッセージをお願いします。

20〜30代にかけては、思い悩むばかりの日々でした。目の前の仕事を成功させるべくがむしゃらに走り、それが終わると思い悩み立ち止まり、しばらくしてまた走り出す、という繰り返しだった気がします。

たとえば、パリのレストランで、まかないの料理を担当したときのこと。店側がまかない用の材料を用意してくれるわけではないので、自分で素材を確保しなければなりません。お客さまにお出しできない茎が折れた野菜をかき集めたり、鶏の骨に残っている肉をこそげ落としてストックしたり、とにかく必死でした。

そんな苦労も体験できてよかったと、今は思っています。広い視野をもつためにはさまざまな経験から学ぶことが必要です。「RED U-35」においても、挑戦者である“同志”のみなさんとともに考え、視野を広げていけたらいいなと思っています。

*text by Moji Company

プロフィール

狐野扶実子

食プロデューサー・コンサルタント
パリの老舗「FAUCHON」のエグゼクティブシェフを経て、アラン・デュカス氏主宰の料理学校で非常勤講師を務める。著書「La cuisine de Fumiko」がグルマン世界料理本大賞でグランプリ受賞。2022年AMBASSADOR OF TASTE 日本代表。

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