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川手寛康|料理で0から1を生み出す難しさと苦しさを経験してほしい

川手寛康(Florilège オーナーシェフ)2022審査員Interview

INTERVIEW 2022.06.10

2022年版「アジアのベストレストラン50」にて3位にランキングされるなど世界的な評価も高く、日本の料理界を牽引する川手寛康氏。革新的な料理で新たな価値観を提示し続けるだけでなく、数々のプロデュース業でもその才能を発揮する川手氏は、まさに次世代料理人のロールモデルとも言える存在だ。そんな氏が若き料理人に期待することとは?

——昨今、食の世界においても最重要キーワードのひとつになっているサステナブルは、料理界では昔から意識されてきた問題でもあります。なぜ今改めてクローズアップされるのでしょうか?

考えるべきは、料理人がこの課題をどう表現し、伝えていくのか、です。たとえば、オーガニックを例に考えてみましょう。日本では身体にいい、あるいはおいしいからオーガニック食材を摂るという感覚の人が多い印象があり、それを集客のためのキーワードとして使っているレストランも少なくありません。ところが、ヨーロッパでは地球環境を守るため、あるいは土壌に負荷をかけないためにオーガニックを選択するという大前提がある。

つまり、「おいしさのため」という利己的な理由ではなく、「地球環境のため」という利他的な理由からなのです。生産者と消費者の間に入って橋渡しをするのが料理人の役目のひとつですから、今後、日本では、利他的な理由にもとづいたサステナブルをどう消費者に伝えていくかが課題だと感じています。

——地方においてサステナブルな取り組みを実践するレストランも増えています。

昨今、食のトレンドの流れは都市部から地方へと向かっていて、意識の高い料理人が地方に拠点を構え実践する取り組みに注目が集まっているという側面もあるでしょう。その一方で、都市部のレストランには、人口が集中する場所だからこそ実践可能なことはまだまだあるし、広く多くの人にアピールできるチャンスもある。これはあくまで個人的な意見ですし、偏った考えかもしれませんが、都市ならではの表現を目指す若く優れた料理人の登場に期待しています。

※川手氏が最近記憶に残った写真/海外あるいはフロリレージュにて実施された多くのシェフとコラボレーションイベントのスナップ

——審査に際し、注目するポイントとは?

料理人にとって何よりも大切なのことは、好奇心だと思っています。他人の料理を見て、そこにどんな考えが込められているのか、どんな技術が隠れているのか、強い興味をもって思索すること。こうしたマインドこそが新たなクリエイションを生むきっかけになると思うので、その点にも着目するつもりです。若き料理人が、「RED U-35」にかける想いは相当のものであるはず。審査をとおして、そんな彼らの明るい未来に繋がるようなコミュニケーションを図ることができればいいなと思っています。

——挑戦者に期待することとは?

僕はどちらかというと、新しい価値観を生み出す料理人が好きなので、驚くほどのアイデアをもつ料理人との出会いに期待しています。その料理は、きっと思考に思考を重ねた末に導き出されたものだと思うので、そのプロセスをじっくり聞いてみたいですね。先人が生み出した優れたものを、さらに磨き上げ自分のものにしていくことも大切です。

しかし、それ以上に料理人にとって重要だと考えるのは、独力で0から1を生み出すこと。さまざまな経験をしてきたと思える僕でさえ、その過程は今でもとても苦しいものです。でも、それが達成できたときの満足感や喜びは、無上のもの。「RED U-35」で僕が見たいのは、0から1を生み出すことを目指してつくられたひと皿。そこに、どれだけ自分のピュアで強い想いが込められているかをアピールしてほしいですね。

※川手氏が最近記憶に残った写真/ペルーにて目にした、現地の生活やカカオの栽培・収穫の様子

*text by Moji Company

プロフィール

川手寛康

Florilège オーナーシェフ
1978年生まれ。「ル ブルギニオン」を経て渡仏。帰国後「カンテサンス」にてスーシェフとして活躍。2009年6月に南青山にて「フロリレージュ」をオープン。2015年に神宮前に移転。2016年アジア50ベストでone to watchに選ばれ 2018年にはアジア3位までランクを上げる。同年ミシュラン2つ星を獲得。2021年アジア50ベストレストラン7位、ワールド50ベストレストラン39位。

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