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谷口英司|圧倒的においしい料理を作る才能の登場に期待

谷口 英司(Cuisine régionale L’évo オーナーシェフ)2022審査員Interview

INTERVIEW 2022.06.23

「RED U-35」の審査員に就任した「Cuisine régionale L’évo」のオーナーシェフ谷口英司氏は、今最も注目される料理人と言っても過言ではない。2020年12月に富山県南砺市利賀村に移転オープンした同店は、『ミシュランガイド北陸 2021 特別版』で2つ星を獲得。
秘境にありながら、谷口氏が掲げる“前衛的地方料理”を求め全国からゲストが訪れるオーベルジュである。トレンドには目もくれず、大自然に囲まれながらひたすら己の料理を追い求める谷口氏が挑戦者に求めることとは? 

——富山に拠点を移された2010年当時34歳だった谷口さんは何を考え、実践されていたのでしょうか?

富山に移ったのは、富山にあるホテルからお声がけいただいたのがきっかけです。まさか、この地でレストランを開くことになるとは思いもよりませんでした。パリで修行していた20代のころはとくに、流行に敏感で、新しい料理を目にしたらすぐに自分のものにしようと、とことんまで研究する、そんなタイプでした。

ところが、当時パリで一緒に働いていた16〜18歳くらいのフランスの若い料理人たちが自慢するのは、自分が生まれ育った地域の食文化がいかに豊かであるか、でした。その記憶がずっと頭の片隅に残っていたのです。その後、僕が富山に魅了され、この地の歴史、風土に根ざした料理を追求しはじめたときにはじめて、彼らが語っていたことの大切さに気がつきました。

——つまり、その土地の食文化を理解し、愛着をもって伝えることが料理人にとって最も大切なことだということでしょうか?

そのとおりです。そのことを僕は富山に移り住み、身をもって知りました。利賀村に生まれ育った方々は、採れたての山菜をすぐに干したり、塩漬けにしたりします。それを見た僕は当初、「採れたてをすぐ天ぷらにしたほうがおいしいのに」と思っていました。

冬になり、とんでもない降雪が続き、道路が閉ざされて、買い出しにもいけない日々が続いたときのこと。そこでようやく、保存食の本当の意味を知ったような気がします。その土地の食文化は、長い時間をかけて育まれた知恵や習慣によって形成されるもの。そんな当たり前のことを身をもって知ったことで、富山の歴史、食文化をより深く勉強するように。その理解が深まるにつれ、自分の料理に自信がもてるようにもなりました。

我々はただシンプルに、「この土地のものは、こんなにおいしいんですよ、すごいでしょう」と、パリで出会った若者たちのように、利賀村の魅力を心から自慢すればいい。それがゲストの方々にとって何よりのおもてなしになると確信しています。

※谷口氏提供写真/レヴォの施設内にあるジビエ熟成庫

——地方レストランが注目される昨今、将来は「L'évo」のようなデスティネーションレストランを開きたいと考える挑戦者も多いはずです。地方でレストランを営むうえで大切なこととは?

富山に来て12年目。これくらいの時間をかけてようやく僕にとって財産と呼べるような人間関係が構築できたと感じています。すべては地元の生産者さんやお皿や家具などの作家さんなど、いろいろな人たちとの出会いのおかげ。1〜2年では絶対に成し得なかったことだと思います。

業界の垣根を越え、いろんな人を巻き込んで協力していただくには、ある程度時間がかかるもの。ですから、地方でレストランをやるには、未来を見据え、努力を重ねながら、少しずつ前進していける忍耐力が何よりも必要だと思います。

——では、「RED U-35」のグランプリにふさわしい料理人とは?

どれだけ優れた料理哲学をもっていても、それだけで「RED U-35」を制するのは難しいでしょう。この大会は優勝して終わりではありません。優勝すれば周囲からの期待はさらに高まります。ですから、僕の答えはとてもシンプルです。

決勝の勝敗を分けるのは、やはり料理の完成度。料理への飽くなき探究心と確かな技術で、みんなをあっと言わせるような、圧倒的においしい料理を作る才能の登場に期待しています。

※谷口氏提供写真/レヴォの施設内にあるジビエ熟成庫

*text by Moji Company

プロフィール

谷口英司

Cuisine régionale L’évo オーナーシェフ
1976年大阪府生まれ。料理人一家に育ち、幼い頃から料理人を目指す。高校卒業後に就職したホテルでフレンチと出会い、国内外の様々なレストランで経験を積み重ねる。2010年富山に移り、2014年「レヴォ」を立ち上げる。2020年、富山県南砺市利賀村にてオーベルジュとして移転オープン。『ミシュランガイド北陸 2021』では2つ星にて掲載、『ゴ・エ・ミヨ2022』で2017年に続き2度目の「今年のシェフ賞」を受賞。

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