中川 寛大
NORIHIRO NAKAGAWA
所属:cenci
リンク:店舗独自ページ
所在地:京都府
ジャンル:イノベーティブ
役職:料理人
年齢(開催年末時点):30歳
2024 GOLD EGG
【湖魚を使ったイノベーション料理】 水産資源の問題。魚を獲る事で生計を立てておられる方々がいらっしゃるのはもちろんの事です。ただ、私達料理人も正しい知識を学ぶことが必要だとおもっています。一極集中の食材使いではなく、バランスをとりながらメニュー提案をする事で料理人発信から世論を変えていく事は可能だと思いますし、その為に、こういったred U-35という若い世代が発信・発言できる場を頂いていると思っております。どの人の意見が正解でどの人の意見が間違いとかではなくて、皆んなが1つの共通認識を持つ事が大切で、その力がまだ先の見えない大きい問題を解決していくんだと信じて、今回の一皿に思いを込めます。 ●メイン食材:本モロコ(滋賀県琵琶湖産) 一次審査では鯖を使いました。今の日本がが抱える水産資源問題として、成長乱獲などが行われ、資源として枯渇の一途を辿っている食材を用い、強いメッセージを残したかった。それと相反して同じ水産資源の中でも一時は食文化が途絶えてしまう迄に危ぶまれた、本モロコ。漁業者の自らの取り組みから、近年資源が稚魚放流由来ではなく天然の資源が増えている状況。 ですが、資源が回復してきた時に、料理屋の代替わりがあり、本モロコを知る料理人が減っており、本モロコの資源は豊富にあるのに売れない状況下になってしまった。そうなってしまった本モロコや魚種の豊富な琵琶湖の水産資源に光をあてたいという思いからです。
日本はかつて水産資源大国でした。近年では最も漁獲高があった1980年代に比べて1/3以下に減少、沿岸漁業だけでも6割以上減少し、魚介類の自給率は56%もはや日本の食文化を維持継承する事すら困難な危機的状況にある。[鯖]は大衆魚として日本、そして京都の食文化になくてはならない食材です。現状大きい物が取れなくなってきているなか、小さな物を取り続け発展途上国への輸出・養殖魚の餌に使用され国内の需要には回っていない状況です。このままでは鯖の資源が無くなってしまい、私達が食べる事すらも出来なくなる。そんな中で私はあえて危機的状況にある海の魚を使い、料理人だけでなく、一般消費者の方々に、海で何が起こっているかを知ってもらうこと、そして魚食文化・海産物を未来に[繋ぐ]責任が毎日魚を扱うものとしての使命でもあると思います。皆んなの認識が変われば海も変わるそのメッセージをこの一皿に込めます。
中川 寛大
NORIHIRO NAKAGAWA
所属:祇園さゝ木
リンク:ぐるなび掲載ページ
所在地:京都府
ジャンル:日本料理
役職:料理人
2018 BRONZE EGG
日本料理人として、根源から考え直し辿り着いた精進料理にとっての「あぶら」の重要性、その中で油の特性の一つでもある香り(風味)を吸収する性質、栄養面では脂溶性ビタミンとあぶらの相性の良さを、効率よく料理に反映し、新しい精進と形に対してのあぶらの可能性を考えました。精進では動物性の食材、五葷と呼ばれる野菜類は禁忌とされている。真ん中には精進アイス、これは飲む点滴ともされる「甘酒」、人参から脂溶性ビタミンを油に移し出し、ビタミンオイルを作り、甘酒と撹拌し「和のクリーム」を作りアイスに仕立てた。甘酒で不足する要素をビタミンオイルを入れる事で深み、栄養価を上げる事が狙い。脂溶性ビタミンを持つ野菜であれば、何でも代用可能な所も利点。摺り流しは油と相性の良い茄子を使い翡翠色摺り流しを表現。アクセントに茄子には存在しない苦味を表現したく、油の香りを吸収する性質を使い苦味の強い苦瓜から取り出し、合わせた。苦瓜は油で加熱しても、栄養価の損失する事は少ない。 |