料理名：郷里と共に

郷里に帰り、料理屋を始めた自分にとってのアイデンティティーでもある村の伝統料理［鯖の熟鮓］を軸にしました。山に入り、自らの手で採取した様々な山野草と鯖の熟鮓を組み合わせて、昔から伝えられてきた調理法をベースに新たな形の料理を作り出す事が「自分らしさ」であると考えました。 村のおばあさんに教わり仕込んだ鯖の熟鮓を台にし、その上に熟鮓の飯、朴葉味噌、虎杖の油炒めを敷いた上に、塩漬けし乳酸菌発酵させたコシアブラ、コゴミ、ワラビ、うわばみ草を、本来持つ風味、歯ごたえを味わえる様に塩抜きをして盛り付け、木の芽をあしらい、フレッシュな朴葉で包み、藁で縛りオーブンで焼き上げました。この村の歴史、香りを味わって頂く一皿です。このような料理を作り続け、この村の伝統、そしてこれからを発信し続ける事が僕がここで料理人として生きていく使命であり、自分らしさであると考えて仕立てました。