料理名：Shiro Kuro

この一皿は、素朴な日常食材である大根を主役に、日本人の美意識と自然観を形にした料理です。着想の原点は、日本の家庭料理「イカ大根」。グルタミン酸が豊富で煮込みに適した源助大根を使用し、干して旨味を凝縮。塩漬けにより甘味を引き出し、昆布とイカの出汁でじっくり煮込むことで、素材本来の力を活かしています。ソースにはイカの塩辛と墨を加え、深みと余韻を持たせました。白と黒、二色の対比で「余白」や「間」といった日本文化の美を体現しています。京都・嵐山で過ごす中で感じた冬の空気や季節の情景を、この一皿に描きました。大根という何気ない食材に、日本人が育んできた繊細な感性を宿し、無理なく自然体で世界に伝える「本当の日本の姿」を表現しました。