福井 康司
KOJI FUKUI
所属:緒方
所在地:京都府
ジャンル:日本料理
役職:料理人
応募時の年齢:34歳
2019 BRONZE EGG
日本人はいつも「水」に心惹かれる。草木の上の「露」、青葉に降り注ぐ雨「翠雨」自然の中の水の姿に名前を付け、その繊細な美しさに想いを馳せてきた。そして水は、日本料理という世界に誇る文化を作り上げた。「水」と「旨味」を軸に水のある美しい風景を表現した。 水と豆の出汁で、三種の豆を寄せたゼリーは山の恵み。水と蛤、新生姜のゼリーは海の恵みを。そして、透き通ったトマトの出汁は美しい水を表現した。素材それぞれの味わいは水のように澄みきり、豆と蛤、トマトは重なる事で旨味を増す。水の、自然の恵みを、その美味しさを五感で感じて欲しい。 この料理を通して、「宝」はいつも傍にあるものであり、それは決して当たり前にあるものではないことを訴えたい。誰かに守られてきたこと。世界を見れば、水に苦しむ人々がいることなど。一人一人が日本代表として、日本のことを考え、そして世界のことを想うきっかけになればと願います。
コンセプト「油を使い分ける」。表現するのは「豊かな日本の薫り」。 食材の風味を移すことができるという油の特性に着目。揚げるという調理法において、異なる日本特有の風味油を使い分けた。まるでオーケストラの様に重なり合う日本の豊かな香りや味わい。油を活用し、これまでにはない日本の一皿に挑戦した。 メインの甘鯛では、サクサクに仕上げたい鱗には胡麻と煎り米の油でコクと香ばしさを加え。淡味な身は、旨味の強い昆布と海苔の油を使い、味の底上げを狙う。そして、夏山葵油は甘鯛や餡、料理全体に散らし、口の中に一気に季節感をもたらす。風味油を使えば、見えない形で様々な香りを料理に加えることができ、食べ手に驚きを与え、想像を掻き立たせる事ができる。きっとそれは心までも豊かにしてくれる様な美味しさに繋がる。風味油には無限の組み合わせがあり、料理人の表現の幅を、非常に大きく広げてくれる強力な武器になると考える。 |
発酵の料理:「鮎鮓~発酵劇場~」
「発酵劇場」 発酵食の最大の魅力は、何より「美味しい」ということ。食べ進めるごとに、口の中で発酵による複雑で奥深い味わや香りが踊り出すような料理を目指した。 熟れ鮓や糠漬けをヒントに、発酵させたもち米を混ぜ込んだ酢飯、玄米・鮎・鮎醤・うるかで漬け込んだ胡瓜で料理を構成。よく冷えた胡瓜、炊き立て熱々の酢飯と焼いた玄米(漬け床)。一見、白ご飯と胡瓜?という料理の中に様々な発酵の役者を詰め込んだ。発酵についてのあなたの考え
世界にワインやチーズがあるように、日本には味噌や醤油、日本酒、米と魚を利用した熟れ鮓やへしこなど数多くの発酵食がある。 こうした発酵食は歴史も古く、奥深い味わいは勿論、栄養の面からみても非常に優れています。また、その土地の風土や生活を反映しており、まさに「食文化」そのものだ。 日本が誇る発酵食(食文化)を守り伝えること。そして、世界に広げていくことが私達料理人の役割であると考える。