2024年5月21日(火)、東京ミッドタウン日比谷にて、「10th ANNIVERSARY AFTER PARTY CLUB RED 大交流会2024」が開催された。
「CLUB RED」とは、「RED U-35」で優秀な成績をおさめた BLONZE EGG以上の入賞者と歴代の審査員が所属するクリエイティブ・ラボで、企業や自治体とのコラボレーション企画などに参加している。また、CLUB REDが集う交流会やイベント、勉強会など料理ジャンルの垣根を越えた活動を行っている。
今回の交流会は、歴代のRED EGG受賞者や審査員をはじめとするメンバーが集結したほか、「RED U-35 2023」ファイナリスト5名も参加。RED EGG受賞者によるクロストークや有志メンバーによるプレゼンテーションも交えながら10年の節目を祝った。なお、会費の一部は今年1月1日に発生した能登半島沖地震の復興支援に使われる。
■ 食の未来につながる出会いと交流の場を目指して
交流会の開会挨拶をしたのはRED U-35およびCLUB REDの総合プロデューサーを務める小山薫堂さん。
「これまでのRED U-35で50位内に入賞した方はのべ391人。その若き才能を見出した審査員は合計で29名いらっしゃいます。今日は歴代の審査員の方々や、REDにご協賛いただいている企業の皆さまもお集まりです。いろんな人と新しいご縁を紡ぎ、食のよりよき未来のためのきっかけを作っていただけたら」と交流会の主旨を説明した。
RED U-35総合プロデューサーを務める小山薫堂氏
続いて、乾杯の挨拶で登場したのはRED U-35の発起人である株式会社ぐるなびの滝久雄取締役会長。
RED U-35の発起人として当初の思い出を振り返る株式会社ぐるなび 滝久雄会長
「RED U-35のもう1人の発起人である故・岸朝子さんと私は、日本の食文化が世界一だと認識する中で、それを守り育てていくためにも若い料理人を応援しようと料理人のコンペティションを実施することにしました。総合プロデューサーとして小山薫堂さんにお願いできないかと相談をしたところ、お引き受けいただくことができました。小山さんの総合プロデューサー着任後は、審査員として日本を代表する料理界の方を口説いて10人揃えたほか、コンペティションの応募資格を若手の料理人を発掘するため、35歳以下とした目の付けどころ、審査の過程、CLUB REDのコミュニティ発足など、小山さんの手腕には感動したものです」と振り返った。
■ RED U-35 2024テーマは「自分らしさ」
続いて、前回から引き続き審査員長を務める狐野扶実子さんから、RED U-35 2024の募集テーマについての説明があった。
これまで8回にわたり審査員を務め、2022年から審査員長を務める食ブロデューサー・コンサルタントの狐野扶実子氏
「今年のテーマは『自分らしさ』。自分らしさって人それぞれにバックグランドがあって、その捉え方もさまざまです。多様性の尊重が身近なものになり、ますますニーズは多様化していくと考えられます。一方で生成AIがものすごい勢いで発展している中、人間の感性を駆使して味わう、作り手の個性や自分らしさが感じられる料理の価値は、これからどんどん高まっていくことでしょう。一次審査ではいろんな作文が出てくるだろうなと楽しみにしています」とコメントした。
審査員長の狐野扶実子氏(写真右)ら歴代審査員、アドバイザーの皆さん。次回新たに審査員に加わる「villa aida」オーナーシェフの小林寛司氏(右から2人目)も会場へ駆けつけた
■ 歴代RED EGGによるトークセッション
続いて行われたのは、歴代のRED EGGによるトークセッション。過去の受賞者9名のうち、この日集結した4名は以下の面々だ。
左から順に、
堀内浩平さん(フリーランス、開業準備中/2021年RED EGG)
山本結以さん(ESqUISSE/2023年RED EGG)
井上和豊さん(szechwan restaurant 陳/2016年RED EGG)
吉武広樹さん(Restaurant Sola/2014年RED EGG)
■ テーマ:RED EGGになったことで変わったことは?
「中国料理では料理長など先輩シェフの方々が仕事をとってくるのがほとんどだったところ、当時私は副料理長で2番手でしたが、いろんな案件でお声がけをいただき、ご縁が生まれました。RED EGGを受賞した後に、2度ほどJALさんでエコノミーの機内食を担当させていただいて、今はビジネスクラスも担当させていただいております」(井上氏)
「現在は開店準備中ですが、RED EGGを受賞したことで社会的信用度が高まり、銀行がたくさんお金を貸してくれたのが一番大きいかな。私がRED EGGを受賞した年はコロナ禍で、決勝もリモートで行われました。対面での審査をしていないこともあり、大会直後は正直あまり実感がわかなくて。でも自分の店を構えられることになったり、こういった場に呼んでいただけたりすることで実感がわくようになりました」(堀内氏)
「私は受賞からまだ3ヶ月しか経ってないので、自分の身に起きた出来事はあまりないのですけれど、大会開催時はスーシェフでしたが3月から料理長を務めております。心情面での変化としては本当の意味で地に足がついたと思います。諸先輩方はオーナーシェフとして成し遂げられている方が多い中、私はまだまだ。もっともっと頑張りたいと励んでおります」(山本氏)
「私の店には『RED EGGの頃から応援してました』という若い料理人の方が食べにきてくれることがよくあって。自分の責任というものを日々感じながら仕事をするようになりました。地元の福岡に戻って活動しながらでも選んでもらえることが、同じように地方で料理人をしている人たちの励みになれば。より一層頑張ろうと思っています。」(吉武氏)
■ CLUB REDメンバーによるプレゼンテーション
この日は、日頃の取り組みや活動内容について発表したいメンバー3名によるプレゼンテーションも行われた。
「植物料理家きみえ」の野田悠子氏
神奈川県内の裏山がある自然豊かな環境で「植物料理家きみえ」として活動する、2021年度SILVER EGGの野田悠子さん。自身の料理スタイルである植物料理で子どもたちを対象にしたワークショップも実施しており、一緒に活動していく仲間を集めたいとの想いを語った。
レストラン「d’ici」の高坂星也氏
同じく2021年度SILVER EGGの高坂星也さんは、料理長を務める南麻布のレストラン「d’ici」の取り組みをプレゼンテーション。価格帯の異なる店を併設させることでフードロスの解消や循環型資源の活用につなげるという、環境問題へのアプローチを紹介した。
UMEZOOtable株式会社の梅津信吾氏
3人目のプレゼンターも2021年度SILVER EGGの受賞者で、今年の3月に「UMEZOOtable株式会社」を立ち上げた梅津信吾さん。「これから目指すところは、クリティブAIを活用した圧倒的な速さと高品質なクリエイティブ制作です」と、フードビジネスをクリエイティブの力で支援する活動についてプレゼンテーションした。
■ RED U-35は新たなステージへ!世界への発信も視野に
交流会の閉会にあたり、主催社である株式会社ぐるなびの杉原章郎代表取締役社長が挨拶。「RED U-35を皮切りにCLUB REDのコミュニティが活性化するよう、引き続き皆さんの交流と飛躍のお手伝いをさせていただければと思っています。RED U-35とCLUB REDが広く認知され、皆さんの料理にかける思いがもっと世の中に届くよう願っています」と締めくくった。
株式会社ぐるなび 杉原章郎代表取締役社長
今回の会場となったのは、「RED U-35 2023」の最終審査が実施された場所でもある東京ミッドタウン日比谷6Fの「DRAWING HOUSE HIBIYA」
交流会では審査員とCLUB REDに所属する料理人の皆さんが積極的に交流する姿が見られた