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【Report】Professional Workshop 2018「サステナブルって何?」次世代を担う料理人が考えた1日

プロフェッショナルワークショップ 2018.11.04

10/22開催レポート CLUB RED presents Professional Workshop 2018〜夢の講師陣に学ぶ次世代料理人塾〜

「サステナブルって何?」
次世代を担う料理人が考えた1日
未来のイノベーションへとつながる活発な議論とアイデアの共有

■基調講演|世界を知るシェフが語るなぜ今”サステナブル“なのか?

才能あふれる若き料理人と食のエキスパートが集結

CHANGE THE WORLD〜料理界から未来と世界を変える〜。この壮大なビジョンを実現するべく、食のクリエイティブ・ラボとして活動するCLUB RED。その活動の一環として、2018年10月22日(月)、東京ミッドタウン日比谷内 BASE Q(東京・日比谷)にて《CLUB RED presents Professional Workshop 2018 〜夢の講師陣に学ぶ次世代料理人塾〜》が開催された。日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」で優秀な成績をおさめた若手料理人と歴代の審査員、そして飲食業界の最前線で活躍するエキスパートが集い、社会的課題を議論することで、〝食〞の未来を創っていくことを目的としたワークショップだ。3回目となる今回のテーマは【次世代が〝食とサステナブル〞を考える】である。

(この日集まった若き料理人たちにエールを送った滝久雄氏[右]と脇屋友詞氏[左])

最初に「RED U-35 2018」審査員長の脇屋友詞氏(「Wakiya一笑美茶樓」オーナーシェフ)が「若いみなさんが、テーマについてどう感じ、それをどう次世代に伝えていくのかをしっかり議論して、飲食業界を盛り上げていってほしい」と開会を宣言。「RED U-35」発起人の滝久雄氏(株式会社ぐるなび代表取締役会長CEO・創業者)は「日本の食文化を守っていくのは若い人。今日は多いに学び、仲間を作って、今後に生かしてほしいと思います」とエールを送った。

(基調講演を行った生江史伸氏。世界各地の学会に出席している氏は、見聞してきた食の最新事情を交えて熱く語った)

地球の持続可能性を脅かす爆発的な人口増加

次に「サステナブルって何?」と題して基調講演を行ったのは「RED U-35」審査員であり、「アジアのベストレストラン50 2018」の「サステナブルレストラン賞」を受賞した生江史伸氏(「レフェルヴェソンス」シェフ)。そもそ「サステナブル」とは、「持続可能性」のこと。近年、自然環境や経済システムなどの「持続可能性」が議論されており、料理人を取り巻く環境にもその傾向が見られる。飲食店から出るゴミやフードロスが環境に与える問題などは、地球や人類の「サステナブル」に大きく影響するからだ。生江氏は、近代以降の農業の工業化、窒素肥料の発明、品種改良などによる農業生産率の向上が、爆発的な人口増加を引き起こし、それにともなって発生した食料危機、環境汚染などの問題が地球のサステナビリティを脅かしていることを指摘。その上で、国や地域によって異なる事情に十分配慮しながらも、「未来に何を残していけるのか」「そのために何をするべきか」を自分たちで考え、「できることから行動しよう」、と若い料理人たちに呼びかけた。

■特別講演1|「おいしさ」が鍵を握る?食材のサステナビリティ

(飲食業会を知り尽くした賢人ばかりが登壇。左から辻芳樹氏、山本泰幸氏、松井大輔氏、生江史伸氏)

基調講演に続く特別講演1「食材のサステナビリティ」に登壇したのは、山本泰幸氏(イオン株式会社グループ商品戦略部マネージャー)、松井大輔氏(株式会社シーフードレガシー企画営業部統括部長)、ファシリテーターを辻芳樹氏(学校法人辻料理学館辻調理師専門学校理事長・校長)、コメンテーターを生江氏が務めた。イオンの山本氏は主に天然シーフードの安心安全のための認証制度「MSC」と、養殖シーフードの安心安全のための認証制度「ASC」のイオンの取り組みについて報告。認証制度の普及に務める松井氏は、日頃の地道な活動を報告した。山本氏と松井氏は、認証取得のためのコストがネックとなり、普及がうまく進まないため、消費者にはまだ十分に認知されていないという認識で一致。松井氏は、認証制度を普及させることは、あくまで環境保全のためのツールであって、認証制度を推し進めるあまり、コスト的に企業や漁師の経営が立ち行かなくなるのでは本末転倒であるとし、現時点では、段階的に環境に配慮した食材の重要性を企業から消費者まで、広く社会に認知してもらえるよう働きかけることが必要だとした。これに対し、「どんなに環境にやさしい食材であろうとも、おいしさが伝わってはじめて、消費者はその食材の持続可能性を考えるのではないか」という生江氏の指摘は、日頃から料理を通して消費者と接している料理人ならではの示唆に富んでいた。

■特別講演2|料理人の敵か味方か?AI(人工知能)とロボティクスの可能性

(左から辻芳樹氏、真鍋馨氏、井澤裕司氏、脇屋友詞氏。質疑応答では鋭い質問も)

引き続き辻氏がファシリテーターを務めた特別講演2「シェフのサステナビリティ」には、真鍋馨氏(パナソニック株式会社アプライアンス社Game Changer Catapult事業開発総括)、井澤裕司氏(立命館大学食マネジメント学部教授)、脇屋友詞氏が登壇。AI(人工知能)やロボティクスの技術の進展は、飲食業会の救世主となるのか。その可能性を話し合った。さまざまな食の現場でAIの活用に取り組む真鍋氏は、来店者数や客の嗜好、食材管理など、飲食店現場でデータのデジタル化が加速すると予測。飲食業界の今後を柔軟に考えていく必要性を説いた。一方、食の情報を収集し、アーカイブ化することを目指す井澤氏は、どんなに技術が進んでも、シェフは情報をまず知ることが大事であるとした。というのも、シェフは料理を作る技術者であると同時に多くの場合、レストラン経営者でもあるので、現場の労働生産性を上げるために、あるいは新たな付加価値となるようなエンターテイメント性のあるサービスを生み出すために、AI技術を活用していく発想が必要だからだ。また、真鍋氏と井澤氏は、レシピに著作権が発生し、シェフの新しいビジネスにつながる可能性を示唆した。一方、シェフの脇屋氏は、「どんな人間が作った料理なのか」という商品背景の価値や臨機応変な現場統括能力および判断・責任能力を例にとり、血の通ったサービスの重要性を指摘した。会場では熱心にメモをとる参加者の姿が見られた。

■ディスカッション&プレゼンテーション|若き才能たちが議論を通して描き出した明るい食の未来とは?

(初対面同士でも一切の遠慮なし。それぞれが自身の仕事の経験を交えながら真剣に食の未来について語り合った)

10年後、20年後を創造するアクティブラーニング

食の最前線を知るプロたちが熱く議論した特別講演の内容を踏まえ、参加者たちはグループディスカッションへ。若き料理人と食関連企業の社員が一つのテーブルを囲み、「食材の環境に関し、10年後、20年後の理想の姿を想像し、そうなるために、料理人または飲食店が〝今〞何をすべきか議論してください」「シェフの労働環境に関し、10年後、20年後、あなたが料理人としてどのような働き方をしているのか希望的観測を交えて議論してください」という議題で話し合った。意見の集約に苦労するテーブルが続出するほど、制限時間ぎりぎりまで活発な議論がなされ、その後、グループごとの発表へ。「料理人こそ、食のサステナブルを消費者に一番伝えられる存在になるべき」「AIやロボティクスの技術が料理人の労働環境を改善してくれることで、精神的な余裕が生まれ、今以上に創造性を発揮できるようになっているはず」といった前向きな料理人像を提示したグループが多く、総評では「現場で働く人が笑顔になることがお客様の笑顔につながるという発想が出たのはよかった」(真鍋氏)、「子供たちにとって、料理人は今も人気の職業。子供たちの夢のためにも、AIなどの技術が料理人の社会的地位の向上につながればいい」(井澤氏)、「一緒に食事をしてくれるAIが登場するという未来予測はおもしろいなと思った」(生江氏)といった意見が出た。講演で学んだことをすぐさま自分で考え、みなで意見をまとめる作業は、知識の定着を促したにちがいない。その意味で、このグループディスカッションは、新たなイノベーションを生むよき土台作りとなるだろう。

(ディスカッション後のプレゼンテーションの様子)

人と人のつながりが生む新たな気づきと発想

続く懇親会は、若き料理人らの交流の場となった。日頃は別々の環境で腕を磨く者同士が歓談する様子がうかがえた。また、一流料理人や食関連企業のエキスパートたちと直に話せる貴重な機会とあって、若き料理人たちは積極的にコミュニケーションを図っていた。会場では「グループディスカッションは、同世代の料理人と楽しく話し合えて、あっという間に時間が過ぎました」(崎楓真氏 京都 吉兆 嵐山本店料理人)、「議題は難しかったですが、考えるきっかけをもらえて、とても充実した時間を過ごせました。この場に来ることで新しい友人に出会えたことも、自分にとってはプラスになりました(川嶋亨氏 日本の宿のと楽 宵待 料理長)、「地球の未来がいかに深刻な状況にあるか、危機意識を新たにしました。自分が料理人としてやれることはたくさんあるし、同じ気持ちの仲間がたくさんいることを確認できました」(山本紗希氏 コンラッド東京 料理人)などの声が聞かれ、その表情は明るく希望に満ちていた。この日の出会いから新たな発想が生まれ、彼らが素晴らしい食の未来を創造してくれることを期待したい。

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