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日本最大級の料理人コンペティション RED U-35 2022 グランプリが決定!|料理王国2023年2月号

料理王国2023年2月号

COLUMN 2023.01.16

日本最大級の料理人コンペティション RED U-35 2022 グランプリが決定!

478人の熱き挑戦者達が参加した「RYORININ’s EMERGING DREAM U-35 2022」は、2022年11月14日(月)に最終審査を迎え、その頂点に立つグランプリ“レッドエッグ”が決定した。果たしてその戦いは? ゴールドエッグ6人の戦いぶりを追った。

《 2022最終審査会 概要 》
5月13日に開幕した「RED U-35 2022」は、一次審査(ドキュメント審査)、二次審査(映像審査)、三次審査(オンライン面談審査)を経て、11月14日の最終審査を迎えた。テーマは、一次審査から最終審査までを通して「旅」。今年度の最終審査会には9名の一般の方も参加。255名の応募者のなかから抽選で選ばれた方々が、ランチコースのゲストとして入店し、6人が作ったフルコースを味わった。審査員はファイナリスト6名のゲスト対応などを評価項目とした。


※カウンターにずらりと並んだ審査員の前で、料理に集中する6人のファイナリストたち。

2022年11月14日、東京・青山のフレンチレストラン「フロリレージュ」で、「RED U-35 2022」の最終審査が行われた。ファイナリストに選ばれたのは、大野尚斗さん(33歳・モダンフレンチ)、木本陽子さん(31歳・フランス料理)、窪田修輔さん(30歳・無国籍料理)、酒井研野さん(32歳・日本料理)、澤井隆太さん(30歳・フランス料理)、町田亮治さん(32歳・日本料理)の6人だ。

この日、6人に課せられたミッションは、6人がひとつのチームとなって、ランチとディナーを提供すること。互いにトップを目指すライバルであり、ひとつのコースを作り上げる仲間でもある。チームワークを大切にしながら、自分の個性も表現しなければいけない難しいミッションだ。6人は事前にオンラインでディスカッション。前日に厨房で最終確認をし、最終決戦の場に臨んだ。

最終審査が行われた「フロリレージュ」は、キッチンを囲むようにコの字にカウンターが配置されている。審査員長の狐野扶実子氏(食プロデューサー・コンサルタント)や辻󠄀芳樹氏(辻󠄀調理師専門学校校長・辻󠄀調グループ代表)など錚々たるたる審査員がカウンターから見つめるなか、6人は互いに声を掛けながら料理を作り上げていく。コースのテーマは「縁えにしたび旅」。6人それぞれが前菜、魚料理、肉料理などを担当し、他者が作る料理を見ながら、バランスをとりつつ自分の料理を作っていく。しかも、各人が作った料理には、審査員から厳しい質問も飛ぶ。気が抜けない2時間が終わると、6人の顔にようやく笑顔が戻った。

場所を東京・青山の「バルーム」に移して行われた授賞セレモニーで、478人の頂点に立ったのは、京都「日本料理 研野」のオーナーシェフ・酒井研野さん。6回目の挑戦で、見事グランプリの「レッドエッグ」に輝いた。その理由を、審査員長の狐野扶実子氏はこう説明する。

「最終審査において酒井さんは、各々が担当する料理の内容を細部にわたって把握し、コースメニューの提供プロセスにおいて全体を俯瞰した対応でリーダーシップをとりました。その結果、志向性が異なる6人の料理人がワンチームとなってコラボレーションするという極めて難しい試みの中で、それぞれの個性が生かされたクオリティの高い料理と安定感のある料理提供が実現しました。そういう点が評価されてのグランプリでした」

授賞セレモニーでは、大粒の涙を流した酒井さん。審査員の一人、佐々木浩氏(「祇園さゝ木」主人)は「日本料理で初めてのグランプリが京都の店だということが、本当に嬉しい」と相好を崩す。


※酒井さんが作った料理は、「もちクジラ」と呼ばれるクジラの皮下脂肪をお椀仕立てにしたもの。クジラの脂肪に負けないように、かつお出汁に中国料理の清湯を加え、奥行きのある味わいを表現した。

「6人でコース料理を作るということで、ほかの人が作りたい料理とのバランスを考えてメニューを決めました。僕が作ったのは鯨のお椀です。日本には縄文時代から続く捕鯨文化があります。今では貴重なものですが、ひと昔前までは牛や豚よりも日本人にとって身近な食材でした。年上のお客様から教えてもらった『コロのおでん』からインスピレーションを得た料理で、『懐かしい味が新しい』というタイトルをつけました。こんな風に人々の記憶を繋ぐような料理を作っていきたいと思っています」

25歳から「RED U-35」に挑戦し続け、様々な気づきを得ながら成長してきた、と酒井さん。「初挑戦の時は、日本料理のことすらきちんと分かっていませんでした。質問されることに山を張ってみたりもしましたけれど、審査員は一流の方たちばかりなので、そんな付け焼き刃の対応なんて通用しないことも身をもって体験しました」と酒井さんは苦笑する。だからこそ、一つ一つの仕事に真摯に向き合い、自分のものにするようにした。

「優勝賞金で車を買って全国各地を訪ね、その土地の郷土料理を学びたいです。また、海外を舞台に挑戦したい気持ちもあります。これを機に、若手料理人という立場を卒業し、後輩たちのためにも料理業界によりよい未来が訪れるように貢献できたらいいな、と思っています」

料理業界にまた一人、熱き思いを胸に抱いた頼もしい料理人が誕生した。

text: Shoko Yamauchi

※本記事は雑誌「料理王国」2023年2月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2023年2月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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プロフィール

酒井研野

2009年「菊乃井」入社。本店で8年勤務。2017年「菊乃井 無碍山房」料理長に就任。2019年同社を退職。その後、ニューヨークの「Shoji at 69 Leonard Street」、京都の「LURRA°」「京、静華」を経て、2021年京都にオーナーシェフとして「日本料理 研野」を開業。「現代の日本を映し出す料理」をテーマに、日本料理のアイデンティティを追求。ヒトサラ「Best Chef & Restaurant 2021-2022」受賞。「ミシュランガイド京都・大阪2023」にて1つ星を獲得。

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