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"Eat Better" 人と地球にやさしい未来に向かって、よりよく食べるってなんだろう?

SusHi Tech Tokyo 2024 生江史伸(L'Effervescence)/ 下川哲(早稲田大学)

INTERVIEW 2024.05.10

SusHi Tech Tokyo 2024ショーケースプログラム

2024年4月から5月にかけて、東京ベイエリアで開催されるイベント「SusHi Tech Tokyo 2024 ショーケースプログラム」。見て、触れて、聞いて、味わって――“2050年の東京”を感じられるコンテンツが盛りだくさん。
FOODのトータルコンセプトは「“EAT BETTER”」。さまざまな食体験を通して、それぞれが自分にとっての「“EAT BETTER” より良く食べる」ことについての気づきが提供されます。
CLUB REDではこのプロジェクトに参加し、シンボルプロムナード公園にて特別メニューを提供します。

公式HP:SusHi Tech Tokyo 2024 ショーケースプログラム
公式HP:EAT BETTER 未来のサステナブルフード


わたしたちは生きるために毎日食べています。

食とは、生きることの根源であり、
人とつながる喜びであり、幸福をもたらしてくれるもの。

世界はいま、食の未来に向きあっています。
おいしくいただく、をずっと持続するため。
母なる地球の恵みをたいせつに守りながら、

よりよい食べもの、よりよい食べかたにシフト。
未来を向いて「いただきます」といえるくらしをつくる。

だからいまこそみんなで、Eat Betterです。
さあいま、東京から。


CLUB REDでは、「シンボルプロムナード公園」の「Z品(ゼッピン)グルメガーデン」に2つの特設ブースをプロデュース。CLUB REDを含む4つの特設フードブース、20台以上の多彩なキッチンカーが集い、食のスペシャリストたちによる“EAT BETTER”なメニューを提供。ぜひ未来の味覚を体験してください。

SusHi Tech Tokyo 2024 ショーケースプログラム
シンボルプロムナード公園「Z品グルメガーデン」
開催日:5/12(日)18(土)19(日)25(土)26(日)
参加シェフ:本岡将(restaurant KAM オーナーシェフ)、清藤洸希(枯朽 オーナーシェフ)
CLUB REDによる提供メニューの詳細はこちら


「カラダにやさしい」が地球にもやさしいわけ

「より良い未来のために、何を選択すべきかを考えること」——それこそが「Eat Better」だと語るのは、東京を舞台にリジェネラティブレストラン(環境再生型レストラン)を標榜し、世界のガストロノミーシーンをリードする「レフェルヴェソンス」エグゼクティブシェフ・生江史伸氏である。東京大学大学院にて農学生命科学を専攻し、食や農の持続可能性について研究するなど、科学的知識と旺盛なフィールドワークによって得たリアルな知見をもとに、「Eat Better」のメッセージを発信し続ける食の賢人でもある。5月19日(日)に行われるパネルディスカッションに登壇予定の生江氏に、持続可能な地球と食との密接な関わりについて伺った。

——「SusHi Tech Tokyo 2024」では、「Eat Better」をキーワードに、プラントベースの肉やアイスクリームなど環境負荷の少ない食品に加え、市場に流通しない規格外野菜などを使用したおいしくて地球にもやさしいグルメが各エリアに並びます。なぜ今、私たちはこうしたサステナブルフードを選択する必要があるのでしょうか?

気候変動による生物多様性への影響は日々深刻化しています。だからこそ、地球の持続可能性についての議論が活発化しているわけです。生態系の多様性を保つためには、よりよい食べ物、よりよい食べ方にシフトしていかなければならない、今がそのタイミング。Z品グルメガーデンはじめ、持続可能な飲食や新しい技術による食体験など、さまざまなコンテンツが用意される「SusHi Tech Tokyo 2024」は、おいしい料理をいただきながら食の未来について学び、考える絶好の機会ではないでしょうか。

——そもそもなぜ多様性を保つことが重要なのでしょうか?

多様性の失われた環境はとても脆弱です。たとえば、19世紀中頃のアイルランドで発生したジャガイモ飢饉の主たる原因は、主食のほとんどをジャガイモに頼らざるを得なかった状況と、収量の多い品種に極端に偏った栽培により多様性が失われてしまったことにあります。偏った食生活や何かに過度に依存することは危険なのです。多彩な食材をバランスよく食すことがヒトにも地球環境にもやさしいのです。

——和食を中心に多様な食生活を送る私たちはいろんなものを食しているつもりです。

本当にそうでしょうか? 私たちが通常手にできるのは各地で生産される農産物のごく一部です。先史時代の人骨を炭素や窒素などの同位体分析によって当時の食生活を探る研究者によれば、日本において最も食の多様性が確保されていたのは縄文時代であり、狩猟採集と農耕がミックスされはじめた弥生時代、そして都市化の進んだ江戸時代など、時代が進むにつれ多様性は損なわれていったそうです。また、微量ミネラルなど主要ではない栄養素が実は体のコントロールにとても大きな貢献を果たしていることを明らかにした近年の研究が示すように、多様性を確保するためには、メジャーではなくマイナーなもの、あるいは今や失われつつあるものや辺境の地にあるものに目を向ける必要があります。そうしたものを見つけ出し最良のカタチでみなさんに披露すること。これこそが私たちのようなガストロノミーの重要な役割のひとつだと考えています。

——より良い未来を実現するべく食の可能性を拡張してきた生江さんが考える「Eat Better」とは?

「食」は生命維持に欠かせないものであり、生活を彩る喜びの源泉でもあります。だからこそ、そこに込められたメッセージには、大きな共感を呼ぶ可能性があるはずです。そこで重要なのは、心身の健康のため、そして地球の健康のために、私たちは何を支持し、何を選択すべきかを考え行動に移すこと。それこそが「Eat Better」です。日本の人口の約1割を抱え、日々猛烈なスピードで新陳代謝を繰り返す世界有数の大都市・東京においてこそ、より良い選択の積み重ねは大きな変化を起こすドライブを生み出すはずです。そしてそのインパクトは日本国内のみならずアジア各国、そして世界へと波及するでしょう。「Eat Better」を東京から発信していくことにはとても大きな意味があるのです。


Eat Better for Someone Else
私のEat Betterのコンセプトは、自己の満足だけではなく、他者のためにもより良い食生活を送ることです。これまでは自分の好みだけにとらわれていましたが、今後は食べることが他にどんな良い影響をもたらせるかを考えながら選びたいと思います。


「人+技術+社会」で日本の食をおいしくサステナブルに
下川 哲(早稲田大学)

伝統の味を伝える老舗店が閉店すると聞いて、閉店を惜しむ客が殺到した、というニュースをたまにみかけます。閉店の理由は後継者の不在や建物の老朽化などですが、客はそのような見えにくい問題には閉店直前まで無関心です。そして、客に見えるほど問題が悪化した頃にはもう手遅れなのです。

同様のことが、日本の食でも起こっています。たとえば、「老舗店」は「現在の農家」、「後継者」は「将来の農家」、「建物」は「自然環境」、「客」は「消費者」と言えます。つまり、農家や環境の問題は消費者からは見えにくいため、無関心な人も多いのですが、消費者が気づくほどの悪影響が出る頃にはもう手遅れということです。しかし、食の重要性を考えると手遅れでは困るのです。

そこで注目されているのが「サステナブルな食」の実践です。というのも、日本の食を守るためには、食料生産に不可欠な水、農地、エネルギーなどの自然資源を守る必要があり、日本は世界中から食料を輸入しているため、地球全体の自然環境が重要になるからです。しかし実際にはかなりの難題で、キモは「人+技術+社会」の取り組みになります。

まずは「人」の食生活の改善です。ちょっとした改善でも、社会全体での効果は大きくなります。たとえば、約1400万人の都民が週に1回1食分の牛肉を鶏肉に置き換えるだけで、年間87万トンのCO2排出量を削減できます。これは東京都面積の半分の森林が吸収する年間CO2量と同等です。ただ、人の行動変化には限界があるため、「技術」も重要になります。たとえば、牛肉消費によるCO2排出量を1人あたり年間60㎏に抑えたい場合、従来の生産方法では月3回ほどしか牛肉を食べられませんが、技術革新で牛肉生産のCO2排出量を半分にできれば月6回は食べられ、より小さな行動変化で目標を達成できます。もしそれでも不十分な場合は、食品の生産方法や栄養成分に影響する「社会」の仕組みを変えるという手もあります。

SusHi Tech Tokyo 2024によって、このような取り組みと日本の食文化とを融合するアイデアが生まれることで、おいしくサステナブルな食の実現に一歩近づけると信じています。

下川 哲 早稲田大学政治経済学術院 准教授
米国コーネル大学でPh.D.(応用経済学)を取得。Food Policyなどの国際学術誌の編集委員も務める。専門は、「食」をとりまく社会問題を経済学的手法で研究する農業経済学。著書に「食べる経済学」(大和書房)がある。

5月19日(日)有明アリーナで行われるパネルディスカッション「FOOD」に登壇予定
日時:2024年5月19日(日)14:00-15:00
登壇者:生江史伸氏、下川哲氏、露木しいな氏
詳しくはこちら

プロフィール

生江史伸 〈L'Effervescence〉エグゼクティブシェフ

1973年神奈川県生まれ。〈アクアパッツァ〉〈ミシェル・ブラス トーヤ ジャポン〉を経て渡英。帰国後の2010年、〈レフェルヴェソンス〉シェフに就任。23年、東京大学大学院にて農業・資源経済学の修士課程修了。

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