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自然豊かな郷土の魅力を味わう新たな料理を目指して

成田陽平(菊乃井 本店 料理人)2019 Finalist インタビュー

INTERVIEW 2020.04.15

RED U-35 2019で準グランプリに輝いた「菊乃井 本店」(京都)の成田陽平氏は、前回出場した2016年大会でも準グランプリを獲得している。再び挑戦を決意した想いと、生まれ故郷・青森で自分の店を開くという夢に向かって日々研鑽する料理人としての覚悟と未来図を聞いた。

成田陽平氏は和食一筋の料理人ではない。その道のりは一風変わっている。

青森のりんご農家に生まれ育った成田陽平氏は、「将来どんな職業に就くことになっても、とにかく外の世界を知らなければならない」と考え、料理人の道か大学進学かで迷った末に、東京の調理師学校に進学した。そこで専攻したのは、日本料理ではなく西洋料理。本場フランスでの研修では、フランス料理の繊細な調理法やソースづくり、ワインやチーズといった食文化に触れ、ますますその世界にのめり込んでいった。その後「ル・ブルギニオン」(東京・西麻布)を経て、25歳で渡仏。そこで待っていたのは、運命の出会いだった。

それは「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ」(パリ)在籍時のこと。アラン・デュカスとのコラボレーションイベントのためにパリを訪れた「菊乃井 本店」(京都)の店主・村田吉弘氏のサポート役として、数日間をともにした成田氏は、日本料理の世界にすっかり魅了されてしまったのだった。食材を丁寧に扱う技の繊細さはフランス料理を超えていると思えるほどだった。さらに、村田氏のこんなひと言が、氏の人生を大きく変えた。

「フランス料理界でどれだけ頑張っても、そうそうフランス人の上には立てへんのとちがうか?」

その言葉の意味を噛み締めながら過ごすうちに、日本の料理を勉強したいという想いが強まり、帰国するとすぐに「菊乃井」の門をたたいた。村田氏より「1年生と同じ仕事をしてもらう」と言われるまでもなくその覚悟ができていた成田氏は、包丁の使い方から出汁のとり方、食材の扱い方、季節感の取り入れ方など、日本料理のすべてを一から学んだ。

そこでは目に触れるものすべてが新鮮だった。油脂を中心にうま味を構成するフランス料理とは異なり、澄んだ水で食材のうま味を引き出す手法にとくに心を奪われたと語る成田氏はやがて、故郷の食材や気候風土を生かした料理をつくりたいとの想いを強くしていった。

初めてRED U-35に挑戦したのは、ちょうどそのころ。日本料理の修業をはじめて4年目のことだった。

「振り返ってみると、当時はまだ迷いがあったのかもしれません。自分の経験を活かして、フランス料理と日本料理をうまく融合させた料理を実現したつもりでしたが、結局はどちらつかずのものに。それが本当に悔やまれました」

そんな経験を経て臨んだRED U-35 2019の一次審査には、「日本のIdentity」をテーマに、実り豊かな日本の気候風土を想起させる渾身のひと皿で挑んだ。前回同様決勝の舞台まで残るも、またしても準グランプリ。目標にはあと一歩届くことはなかった。

「日本の食の未来を担うという覚悟がまだまだ足りていなかったのかもしれません」

己を見つめ直すことで得たものもある。それは自分にしかできない料理にチャレンジすることで、新たな日本料理を生み出せるのではないかという確かな手応えだ。そんな氏が披露してくれたのは、「手をかけすぎない郷土料理的なもので、自分らしさを表現した」と言う「イノシシ鍋」である。一番出汁に酒粕と白味噌を加えたスープで、丹波界隈で狩られたイノシシとともに、それぞれに適した味をつけた金時人参、えびいも、聖護院大根、九条ねぎなどの京都の地の野菜を煮たシンプルなひと品は、料亭料理のような華やかさはないものの、京都の水と食材の魅力をありのままに表現し、春の訪れをも感じさせてくれるものだった。

「青森には人参を鱈の子で和える“子和え”という郷土料理があります。そのままでもほんとうに美味しいのですが、たとえばこの料理に、ひと仕事を加えてさらに洗練させ、素材の滋味をより深く感じていただけるようなものに仕上げてみたいですね」

近い将来の目標は、土地の魅力を追求し、それを余すことなく伝える美味なる料理を目当てに世界中から人が訪れる店を、生まれ故郷の青森に開くこと。成田氏はすでに覚悟を決めている。

*Author|RED U-35編集部(MOJI COMPANY)

プロフィール

成田陽平(菊乃井 本店 料理人)

1985年、青森県生まれ。東京調理師専門学校西洋料理専攻。「ル・ブルギニオン」(東京・西麻布)を経て、25歳で渡仏。「ル・ジャルダン・デ・サンス」(モンペリエ)、「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ」(パリ)を経て、2013年に帰国し、27歳で「菊乃井 本店」(京都)へ。RED U-35 2016でも準グランプリに輝いている。

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