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同世代との対話で獲得した思考の柔軟性

髙木祐輔(店舗異動中)2019 Finalist インタビュー

INTERVIEW 2020.04.20

髙木祐輔氏は、2019年ファイナリストのなかで最年少の25歳。だが、誰もが緊張する決勝の舞台で、最も冷静に振る舞っているように見えた。堂々とした姿は、料理人としての器の大きさを感じさせた。だが、本人はいたって謙虚。反省の弁を口にしつつ、大会を通して見えてきた将来像を語ってくれた。

料理人である両親の姿を見て育った髙木祐輔氏にとって、親と同じ道を進むことは、ごく自然のものだった。調理科のある高校に進学した氏は、そこで中国料理の圧倒的な美味しさに魅了される。

「調理実習で麻婆豆腐をつくったときのこと。先生が中華鍋に油を注ぎ、強火で料理を仕上げていく姿、そしてそこから立ち上ってくる香りに、惹かれたんです。シンプルな力強さを感じました」

それは自身の進む道が見えた瞬間だった。

「父はフランス料理の料理人ですが、僕が中国料理をやることについては、自分で決めたのだからと尊重してくれました。そんな父のすすめもあり、高校3年生の8月にアルバイトとして、ザ・ペニンシュラ東京の広東料理レストラン、ヘイフンテラスの厨房を体験しました」

その後研修を経て高校卒業と同時にザ・ペニンシュラ東京に入社した髙木氏がRED U-35を知ったのは2015年のこと。ヘイフンテラスに在籍していたこともある大先輩、篠原裕幸氏(現「シノワ」オーナーシェフ)がグランプリに輝いたことがきっかけだった。

「RED U-35を知ったのは、篠原さんがグランプリを獲得されたのがきっかけです。翌2016年にはシルバーエッグまで残ったヘイフンテラスの先輩である梅田敏弘さんが夜遅くまで調理場に残り、試行錯誤する姿を間近に見ていましたから、俄然自分も挑戦してみたくなったんです。失うものは何もありませんでしたから」

こうして出場を決意した髙木氏だったが、2017、2018と連続出場するものの、いずれも一次審査の書類選考で落選した。しかし、2017年、19歳の若さでゴールドエッグとなった崎楓真氏や、翌2018年に大会史上最年少の26歳でレッドエッグを獲得した糸井章太氏など、躍動する同世代の姿に刺激を受け、さらに奮起。そして迎えた2019年大会、3度目の挑戦で、ようやくファイナルの舞台にたどり着いた。だが、そこで痛感したのは、またしても自身の力量不足だったと言う。

「正直にいうと、今回、ゴールドエッグをいただけたのは運がよかっただけだと思うんです。他のゴールドエッグの方々に比べると、料理人として仕事に向かう姿勢や、意気込みも含めて、自分は未熟だと感じた大会でした」

一方で、手に入れたものもある。大会を通して同世代の料理人との交流から見出した、今後の新たなビジョンである。

「さまざまなジャンルの料理人との交流によって、自分が料理人という道を志した理由を改めて考えることになりました。学生時代に何よりも美味しいと感じ、極めるべく努力してきた中国料理は、今でも大好きです。でも、“美味しい料理”であるならば、必ずしも特定のジャンルにこだわらなくてもいいのではないかと考えるようにもなりました。そもそも僕が学んできた広東料理には、貿易港として栄えた広州に世界中から集まる食材や調味料、そして調理技術を柔軟に取り入れ発展してきた歴史があります。ですから中国料理に固執する必要はないのかもしれません。ただ、ひたすら美味しさを追求することこそが自分の道を見つけるための現時点での最善の方法だと考えています」

さらなる飛躍を目指す髙木氏にとって、よき手本となるのは、やはり篠原氏の仕事だ。

「以前、篠原さんの仕事を間近で見る機会に恵まれたのですが、篠原さんはどんなに忙しくても、常に勉強を欠かしません。世界各国の料理技術を研究するだけでなく、世界のトップに君臨するレストランがどんなものなのか、そのシェフがどんな経歴の持ち主なのか、すべてをインプットされています。世界の時流を完璧に把握したうえで、自身の世界を表現されていて、その真摯な姿勢はもちろん、そうして生み出される料理は、鳥肌が立つほど美しいんです。そんな存在に一歩でも近づくべく、自分の殻を破り、今やるべきことに真正面からぶつかっていきたいと思っています」

髙木氏は今、7年間研鑽を積んだ環境を離れ、中国料理の枠にとどまらない新たな領域へと踏み出そうとしている。

*Author|RED U-35編集部(MOJI COMPANY)

プロフィール

髙木祐輔(店舗異動中)

1994年、東京都生まれ。高校在学中に中国料理に魅了され、卒業後にザ・ペニンシュラ東京の広東料理レストラン「ヘイフンテラス」(東京)へ。以後、7年にわたり腕を磨き2020年3月に退社。現在、店舗異動中。

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