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RED U-35 2018 史上最年少のレッドエッグ誕生

趣向を凝らした課題に果敢に挑んだ若き料理人たちの軌跡

REPORT 2018.11.24

過去最多となる567名が挑んだ日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35(RYORININ’s EMERGING DREAM)2018」。第6回となる今年もまた、日本のみならず、フランス、アメリカ、中国、オーストラリアなど、世界12カ国から挑戦者が集い、国際色豊かな大会において、グランプリ“レッドエッグ”に輝いたのは、糸井章太氏(フランス料理「Maison de Taka Ashiya」料理人 兵庫県)。「RED U-35」史上、最年少の26歳でみごと、栄冠を手にした。

5月の応募受付開始からおよそ半年にわたり、「RED U-35」らしい、趣向を凝らした課題に果敢に挑んできた若き料理人たち。奮闘する彼らの姿を追いながら、大会を振り返っていきたい。

■言葉の「解釈力」が問われた課題

挑戦者の平均年齢が昨年の29.9歳から29.0歳と、やや若返った今年の大会。総合プロデューサーである小山薫堂氏が「将来、輝くであろう、原石を発掘したい」と語ったとおり、料理技術のみならず人格や将来の展望を含む多彩な角度で審査されるのが、「RED U-35」の大きな特徴でもある。一次の書類審査を前に発表された審査項目は以下の通り。

・料理人としての「情熱、想い、夢」
・技術力、考案力、表現力、センス
・将来性、可能性

これらを審査するのにふさわしい一次審査のテーマとして発表されたのは「あぶら」である。
「さんずいの“油”、月へんの“脂”、いろいろあります。“あぶら”と聞いて、あなたは、何を、どう、おいしく調理するのか、考えてください」とは審査員長、脇屋友詞氏(「Wakiya一笑美茶樓」オーナーシェフ)の弁だ。

挑戦者は「あぶら」をテーマにレシピを考案し、思いの丈を綴ったエントリーシートとともに提出(2018年5月末日締切)。健康志向が高まる昨今、「あぶら」を、どのように、どれくらい摂取するのか、そのための適切な調理法は何か……。「あぶら」の解釈力が問われた一次審査の書類審査では、エントリーシートを熟読した審査員たちが、一堂に会して熱い議論を交わした。その結果、7月3日、一次審査通過者ブロンズエッグ55名が決定した。

■映像で試される料理人のプレゼンテーション能力

続く二次審査は、映像による審査。同審査は、一次審査で提出したレシピの狙いについて、およそ3分間の自己PR映像でプレゼンテーションをするというもの。挑戦者たちは、調理工程を解説しながら、その意図を伝えるだけでなく、信頼する生産者や地元に対する想いなどもアピールした。一次審査に続き、ここでも審査員の議論は白熱。9月3日、22名の二次審査通過者シルバーエッグが発表となった。

また、彼らの力作映像と料理写真は、8月25、26日の2日間にわたり東京ミッドタウン日比谷「BASE Q」にて開催された「ブロンズエッグ展」で公開された。彼らの熱い想いは、広く一般の人々にも伝わったはずだ。

■制限時間60分の実技で問われる総合力

シルバーエッグ22名に敗者復活の1名を加えた23名は、東京(9月30日)と京都(10月14日)で開催された三次審査へ。ここで初めて挑戦者は審査員たちと対面し、料理の実食審査と面談を受けることに。テーマ食材は「鶏」。ミッションは、福島県産伊達鶏の中抜き2羽分とハーブ鶏の内臓2羽分を使った料理13皿分を60分以内に完成させること。レシピの考案力、時間内に料理を仕上げる技術力、慣れない厨房での対応力など、料理人としての総合力が問われた。

実食後の面談では、「この料理が伊達鶏でなければならない理由は何か」など、次々に審査員たちから鋭い質問が飛んだが、自分の言葉で語ろうとする彼らの実直な姿が印象に残った。

挑戦者の誠実な姿勢が伝わったのだろう。三次審査の協議はさらに紛糾した。「技術は未熟だが、伸びしろを感じる」、「人を惹きつける魅力がある。料理界を引っ張っていく存在に化けるのでは?」といった意見が出され、現在の実力のみならず、将来性をも見極めようと、熱い議論が続いた。予定時間をオーバーした議論は、5名を予定していたファイナリスト(ゴールドエッグ)を6名に増やすことで、ようやく決着。すぐさま、総合プロデューサーの小山薫堂氏が、勝ち抜いた6名のもとを訪れ、ファイナル進出の旨を直接伝えた。

激論のすえ、三次審査通過者ゴールドエッグに選ばれたのは、糸井章太氏(フランス料理「Maison de Taka Ashiya」料理人 兵庫県)、川嶋亨氏(日本料理「日本の宿のと楽 宵侍」料理長 石川県)、小林珠季氏(フランス料理「Restaurant Pèir PIERRE GAGNAIRE」スーシェフ フランス)、立岩幸四郎氏(中国料理「Wakiya一笑美茶樓」料理人 東京都)、本岡将氏(フランス料理「レストランBio-s」シェフ 静岡県)、山本紗希氏(フランス料理「コンラッド東京」料理人 東京都)の6名。

彼らに告げられた最終審査の驚きの課題は、ずばり「未来の料理人に伝えたいこと」をテーマに授業を行うこと。生徒は辻調理師専門学校から選抜された20名と審査員の質問を代弁する役者の生徒1名の計21名。持ち時間は授業10分、質疑応答10分の計20分。同時に、当日は、伊達鶏の「卵」をテーマに審査員人数分のお弁当を調理することも課された。フィナーレを目前にしたゴールドエッグの6名には、さらなる注目が集まった。


ゴールドエッグ6名による審査員への愛情弁当。写真上左から、糸井章太「たまご弁当~たまごの表現 RED U-35 2018の物語~」、川嶋亨「能登からのお届けもの」、小林珠季「多国籍 サンドウィッチ弁当」。写真下左から、立岩幸四郎「伊達卵を使った九つの喜び 九種美彩碟」、本岡将「海南鶏卵飯」、山本紗希「箱寿司 scrambles eggs」。

■ゴールドエッグ6名の個性が際立った最終決戦

迎えた11月4日、東京ミッドタウン日比谷「BASE Q」で、「RED U-35 2018」最終審査および授賞セレモニーが開催。半年にわたって繰り広げられてきた激戦のフィナーレである。最終審査の授業は一般にも公開されるため、会場にはオープニングから多くの人が訪れていた。

冒頭、総合プロデューサーの小山薫堂氏は「この大会の目的は、日本の料理界を牽引するような料理人を発掘すること。だからこそ、料理の技術ではなく、想いの発信力を試す公開授業を最終審査としました」とその意図を説明。その後、壇上にファイナリストが登場。順番はくじ引きで決定された。

別室で行われたお弁当の試食の後、いよいよ公開授業がスタート。

トップバッターの小林珠季氏は、フランスで働く彼女ならではの視点で、フランスにおける家族観などを例にあげながら、食事の重要性や、文化の伝道師としての料理人の役割を訴えた。

続く川嶋亨氏は「料理人にはなるな!」という意外な一言から話を切り出し、ただ料理をするだけではない、地域発展のために尽力する料理人像を提示した。

「中国料理の料理人を目指したい、と思ってもらえたら」と語り始めた立岩幸四郎氏は、夢や目標を見失わないための「希望」、どんな局面でも己を保つ「冷静さ」、そして料理を通して想いを伝える「情熱」の3つをキーワードにあげ、料理人としての心構えを伝授した。

自作の紙芝居を用いて授業を行ったのは山本紗希氏。紙芝居をめくりながら生徒に寄り添うように語りかけ、お客様はもちろん、厨房の仲間に対する思いやりの大切さを説いた。

ファイナリスト6名中、唯一BGMという演出方法を駆使してリラックスした空間を演出しつつ、マッシュルームのコンソメを生徒に振る舞ったのは糸井章太氏だ。伝えたかったのは、幸せに生きることの大切さ。「料理人は料理を通して人を幸せにするのが仕事。そうすることで自分もまた幸せを感じられるこの仕事はすばらしい。ぜひ、みんなも自分が幸せになれるよう頑張ってほしい」と締めくくった。

トリを務めた本岡将氏は、料理の盛り付け方や提供の仕方によって、食す側の印象がどう変わるのか、科学的根拠や実演を交えて講義。示したのは作る側の想いが料理に表れるということ。料理が好きだという素直な気持ちを込めて作る姿勢こそ、料理人としての普遍のあり方だと熱弁した。

授業の後は、ステージ上での公開討論へ。小山薫堂氏から「2020年の東京オリンピックの選手村の料理を、この6名で作ることになりました。どんな料理を提供するかを話し合ってください」と議題が告げられると、会場に集まった聴衆を前に10分間の公開討論が行われた。「アスリートの栄養面を考えつつ、日本の食材をアピールするのはどうか」、「世界中から人が集まるので宗教の違いや各国の食文化にも配慮すべき」など、6名からはさまざまな意見が出された。続いて「料理人の労働環境を改善するにはどうするべきか」、「優勝したら何ができるか?」など、審査員からの質問に答えた挑戦者たち。すべての審査を終え、結果を待つのみとなった彼らの表情には一様に充実感が垣間見えた。


■勝負を決した自己演出能力

授賞セレモニーは、昨年同様に審査員でもある千住明氏が作曲を手掛けたテーマ曲「RED U-35 Main Theme “CHALLENGERS”」の、作者自らのピアノと、弦楽器奏者による生演奏によって、華々しく幕を開けた。そして、いよいよ2018年のグランプリ“レッドエッグ”発表の瞬間が訪れた。会場が一瞬静まり返ると、審査員長の脇屋氏がその名を告げた。

「糸井章太さん! おめでとうございます!」

「料理人は料理をするだけではだめなんです。そのことを糸井さんはわかっている。26歳であの落ち着き、そして自分を演出する能力。そこが素晴らしかった」と脇屋氏は受賞理由を説明。料理技術はもちろん、スター性、プレゼンテーション能力、自己演出能力が評価されての受賞だった。惜しくもグランプリは逃したものの、料理人としての総合力が評価された立岩幸四郎氏、科学的に料理を研究する姿勢と将来性が評価された本岡将氏の2名が準グランプリに選ばれた。

「この大会で出会った仲間たちと力を合わせて、日本の料理業界をさらに発展していけるよう、全力を尽くしたいと思います」と喜びを語った糸井氏。「出場を決意したときには、ブロンズエッグまで残れたらいいな、くらいにしか思っていなかった」そうだが、RED U-35らしい難題をクリアし、勝ち進むうちに心境に変化が訪れた。
「後悔しないためにも、今の自分にできる最大限のことを絶対にやろうと決めたんです」。

こうして料理の技術や知識、そして料理人としてのあり方を見つめ直すようになると、変わっていく自分を実感しはじめた。
「それまで、自分の料理に対して否定的な意見が出されたときには、反論したくなり、ただ落ち込んだりするだけでした。しかし、この大会へのチャレンジを通して同僚の意見や審査員の方々からの指摘を受け入れて、さらによい料理を仕上げることができました。その点も、成長できたことのひとつだと思います」。

大会を終え、ひとまわり大きく成長した糸井氏。26歳のさらなる飛躍に期待したい。

RED U-35 2018 受賞結果
《RED EGG(グランプリ)》:糸井 章太(Maison de Taka Ashiya/兵庫・芦屋市)
《準グランプリ》:立岩 幸四郎(Wakiya一笑美茶樓/東京・赤坂)、本岡 将(レストラン Bio-s/静岡・富士宮市)
《岸朝子賞》:山本 紗希(コンラッド東京/東京・汐留)
《滝久雄賞》:本多 淳一(SUN with AQUA Japanese Dining/中国・上海)、小林 珠季(Restaurant Pèir PIERRE GAGNAIRE/フランス・ゴルド)、浅沼 学(MIFUNE NY/アメリカ・NY)

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