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第1回「食のサステナブルAWARD」アフターミーティング 〜世代や地域を越えて共有される持続可能性の未来〜

RED U-35 spinoff 2021.05.24

食の未来を創造するクリエイティビティにフォーカス

食料不足やフードロスなど食にまつわるさまざまな課題に対し、真摯に向き合い解決へと導こうとする料理人たち。そんな食のイノベーターにスポットをあてるべく開催された「RED U-35」のスピンオフ大会--第1回「食のサステナブルAWARD」は、明るい未来を予感させるプロジェクトの数々が登場するなど、盛況のうちに幕を閉じた。

一次選考会(2021年2月26日実施)で選ばれた“SEEDS 10”サステナブル金賞(金賞認定証と1組10万円の支援金を贈呈)受賞者は、続く3月18日実施の「オンライン発表会~プレゼンテーション&アクセラレーション~」に参加。小山薫堂氏(RED U-35総合プロデューサー、放送作家)、狐野扶実子氏(RED U-35審査員、食プロデューサー)、生江史伸氏(RED U-35審査員、L'Effervescenceシェフ)ら3名の審査員に対し、改めて取り組みをアピール。その後のディスカッションでは審査員らとともに、プロジェクトの新たな可能性を追求した。その結果、下記の3組が審査員特別賞に選ばれ、それぞれには各審査員の個性際立つ副賞が贈られた。

[小山薫堂賞]京都里山プロジェクト
京都の料理人が共同で府北部の山を借り、そこで育てた野菜を京都中心部のレストランで提供するという独自の“地産都消”に取り組む。また、凍って使い物にならない野菜や、レストランから出る端材を一流料理人の調理技術で商品として再生させ、京都の八百屋を拠点に流通させる仕組みの構築にもトライ。料理人が里山で食材を育てるというプロジェクトには、多くの人が期待に胸を膨らませ応援したくなるような“ワクワク感”があるとの評価も。
*副賞:snow peakの焚き火台スターターセット

[狐野扶実子賞]ITADAKIMASU
食の知恵をおばあちゃんに学びながら、話をしてくれたおばあちゃんの写真を撮り発信していくというプロジェクト。これまでにない斬新な発想で問題解決を図ろうとするチームが多いなかで、唯一、過去に学ぶ姿勢を明確に打ち出す独自の姿勢や、先人たちとの心温まる対話が人びとに与える影響に対する視点も高く評価された。
*副賞:ヘラルボニーのオリジナルアートエコバッグ6種類

[生江史伸賞]Otto e Sette Oita
別府の鉄輪温泉にあるイタリアン・レストラン「Otto e Sette Oita」は、パスタを茹でる、あるいは食材を蒸すなどの際に温泉を活用するなど、温泉資源を活用することで、電気、ガス、水などの消費エネルギーの削減を実現している。地元にある資源を見出し、その有効活用方法を考案。さらにそのアイデアを広く共有せんとする姿勢が評価された。今後は、硬水に相当する温泉の水質が、パンづくりに及ぼす影響などを検証して、温泉資源のさらなる活用方法を模索していく。
*副賞:本『DRAWDOWN ドローダウン−地球温暖化を逆転させる100の方法』、ハリオの茶・急須・湯呑み5客セット、ミアーのワイドマウスボトル(3点)

アフターミーティング〜試食会
審査員特別賞受賞チームによる渾身のひと皿が集結

上記3組の代表者が参加した「食のサステナブルAWARD」アフターミーティングが、2021年3月31日に開催された。会場となったのは、同コンペティションをサポートする株式会社J-オイルミルズのテストキッチン「おいしさデザイン工房®」(東京都中央区八丁堀1-10-7)である。厨房設備の整う会場に集った彼らは、この日のために「食のサステナブル」をテーマに考案した料理をつくってくれた(各料理には、J-オイルミルズが開発したJOYL PRO調味油シリーズが使用された)。

京都里山プロジェクトを代表して参加した神田風太氏と酒井研野氏が披露したのは、彼らが拠点とする山で採れたわらびやこごみなどを活かした「里山おこわ」。山菜のみならず、山に生息する猪肉も存在感を放つ一品は、『プレミアバターフレーバーオイル』のコクと香りによって奥行きのある味わいに仕上げられていた。

ITADAKIMASUの高山仁志氏が用意してくれたのは、春の新芽や摘み草を美しく盛りつけた「息吹」と、金目鯛の塩汁「潮」の2皿。濃厚な卵黄に『グリルオイル』の香ばしさを合わせたソースでいただく前者に対し、後者では焼いた金目鯛の骨の出汁に切り身を浮かべ、『えび油』で甲殻類の香りをプラスしてみせた。

「ジビエの地獄蒸しパテと野草の温泉パスタ」を手がけたのはOtto e Sette Oitaの梯哲哉氏。温泉で茹でた野草のパスタと温泉で“地獄蒸し”にした猪肉のパテで構成されたひと皿だ。パスタに『ガーリックオイル』の香り、パテに『エンハンスオイル』の旨みを加え、わらび、たけのこ、のびるなどの野草で春を演出した。

「食のサステナブルAWARD」で審査員特別賞を受賞したプロジェクト同様、彼らのクリエイティビティが存分に発揮された料理の数々を試食した審査員からは、「春の幸せを噛み締めながら味わった」(小山氏)、「オイルの効果もあり、どのお皿も香り高く仕上がっていた」(狐野氏)、「さまざまな土地で別々に考案した料理なのに、日本の春を演出したひとつのコース料理のように感じられた」(生江氏)との評価が。また、特別ゲストとして参加した株式会社J-オイルミルズ 代表取締役社長執行役員 八馬史尚氏は、「弊社商品の魅力を十分に活かしていただき、とてもうれしい」と料理人に感謝の気持ちを伝えていた。

アフターミーティング〜座談会
経済効率性とは異なる価値観を求めて

試食会後、受賞3組への授賞セレモニーを挟み、アフターミーティングはいよいよ座談会へ。狐野氏がファシリテーターを務め、改めて食のサステナブルの意義を語り合った。

狐野扶実子氏(以下狐野):まずは、この大会を企画した小山薫堂さんに開催に至った経緯をお伺いします。

小山薫堂氏(以下小山):2013年の第1回大会以来、毎年開催してきた「RED U-35」でしたが、2020年大会はコロナ禍により残念ながら実施に至りませんでした。すると、その代わりとなるような大会を開催してほしいという声がたくさん寄せられたんですね。こういうときだからこそ、足元をじっくりと見つめ直すきっかけづくりができないかと考えました。それは、参加者が何かを競い合うというよりも、アイデアを披露しあって互いに刺激を与えるようなものであるべきだと……。みなさんのおかげで狙い通りの大会になったのではないでしょうか。明るい未来が待っていると思わせてくれる素晴らしい提案ばかりでしたから。ぜひ来年以降もこのアワードを継続して開催し、料理人が食の未来を創造し続けてくれることを期待しています。

八馬史尚氏(以下八馬):本当にそうですね。今回受賞されたみなさんは、過去から未来へとつながる時間の流れや地域の特性を理解して、それらをしっかりとプロジェクトに反映させているのが印象的でした。我々の企業活動も今や、サステナブルという考え方なくしては継続できない時代です。今回会場として活用いただいた「おいしさデザイン工房®」は、そうした企業姿勢を表すものの一つ。八丁堀の交差点に位置するこのテストキッチンには、お客様の課題と私たちの技術を融合させる交差点にしたいという願いも込められています。今日のイベントがみなさんとともにサステナブルについて改めて考えるきっかけになればと思います。

狐野:審査員特別賞を受賞されたみなさんが、今回のプロジェクトを思いついたきっかけは?

神田風太氏:コロナ禍で休業期間に山菜や木の芽を摘みに、スタッフを連れて山を訪れたことです。その小さな行動がやがて、京都の料理人仲間と共同で山を借り、野菜を育てて都心で消費しようというプロジェクトへと発展したのです。僕たちはこの活動が“地産地消”ではなく“地産都消”であることを強調したいと思っています。“京都の中心街で働く料理人たちの活動”であることに意味があると思っているからです。(ちょっと照れ臭そうな笑顔で)僕たちは友人であると同時にライバル。互いの存在が刺激になる、いい関係を築けていると考えています。

生江史伸氏(以下生江):今のお話に時代の変化を感じます。かつては自分のレシピを隠すことがお店の繁栄につながると信じられていました。しかし、今の若い世代は、レシピをはじめ、アイデアをみなで共有していこうという意識が強い。こうした協調が食産業全体の底上げとなり、それぞれのレストランの繁栄にも貢献するはずです。

狐野:おばあちゃんに“食の知恵”を聞き、それについて話してくれたおばあちゃんの写真を撮りためていくというITADAKIMASUの取り組みも平和的ですよね。

高山仁志氏:僕らのプロジェクトも、誰かひとりの力で推進するのではなく、おばあちゃんなど、先人たちの知恵を再認識し、広く共有することで、物を無駄にしない新たな暮らし方を模索するものです。お話を伺ったおばあちゃんたちは、身の回りにあるものを工夫して活用することで、充実した楽しい生活を営んでこられました。これからの日本でも、そんな先人たちの知恵を共有することで、物がなくても豊かであることが求められていくと思います。

八馬:世代を超えた伝統の継承を意識することはとても大事ですね。食文化は、その国や地域の固有性に深く根ざしたものですから。その土地の固有性を継承していくことも必要でしょうね。

狐野:Otto e Sette Oitaは地元の温泉を調理に活用するということで、地域の固有性を存分に発揮したプロジェクトでした。

梯哲哉氏:僕たちの店がある鉄輪温泉は湧出量が豊富で、しかも源泉温度が99.6℃と高温です。湯治に訪れた人が温泉の蒸気を活用して野菜を蒸して食べるという伝統を生かし、さらに本格的に料理に活用してみようと考えたのがきっかけです。ここの温泉水には昆布茶みたいな風味がありますが、他の温泉にもそれぞれ独自の特徴があるはず。我々の取り組みが他の温泉地の方にとって何らかのヒントになれば嬉しいです。

小山:温泉を調理の熱源に活用したレストランは、あまり聞かないですよね。日本は世界有数の温泉大国ですから、梯さんたちのようなケースが増えたら、面白いことになるのではないでしょうか。今回のアワードを通して気づいたのは、持続可能性を追求する際のポイントが“自然と上手に付き合いながら人を思うこと”にもあるのではないかということ。数値目標ばかりでは、なんだか疲れそうですよね。そうではなく目の前にあることを楽しみ、身近な人を思いやること、そこから始めるべきなのだと。

八馬:食の楽しさや喜びは大切ですね。弊社の社名は株式会社J-オイルミルズですが、4月からJOYL(ジェイオイル)というコミュニケーションブランド(=弊社およびグループ会社を表す愛称)を掲げます。JOY(喜び、うれしさ)にOIL(オイル)をかけ合わせたこのワードは、油がいかに料理をおいしく、楽しくするかということに思いを馳せ、我々はJOYを生み出す会社であることを再認識する。そのうえで、お客様に“Joy For Life®”を提供していきたいと思います。今日のお話を伺っていると、立場はいろいろでもやっぱりみなさんはJOYを生み出そうとしていらっしゃる。仲間でもありライバルでもあるというお話があったとおり、本当の意味での食のサステナブルを目指すなら、競争だけでは立ち行かなくなってきています。

生江:料理人の仕事の魅力は、料理をつくる楽しさ、そして人を笑顔にする喜びにあると思います。労働効率や利益率とかけ離れたところにやりがいがあるので、つい時間を忘れて働きすぎてしまうこともありますが、僕はそれこそが自分の仕事の存在意義だと考えています。この大会は、料理人が目の前のお客様だけでなく、地球上にいるすべての人たちの幸せに貢献できる壮大な仕事であることに改めて気付かせてくれました。その自覚とプライドを持ちながら、僕は一生現役で料理人を続けていくつもりです。これはちょっとした僕の宣言でもありますが、みなさんが考えてくれるきっかけになればうれしいです。

狐野:こうした試みをとおして食の未来が次の世代へと託されていくのではないかと感じています。今日はみなさん、ありがとうございました。

冒頭の小山氏の発言にもあったとおり、「食のサステナブルAWARD」は来年もなんらかの形で継続していく予定だ。それと同時に、受賞したプロジェクトの支援も継続して行なっていく。食のサステナブルのために、次の世代に何を伝え、何を残すか。RED U-35は、みなさんとともにそれを考え続けていきたい。

RED U-35 spinoff 食のサステナブルAWARD "After Meeting"
Supported by 株式会社J-オイルミルズ

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