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Report|RED U-35 2022 ゴールドエッグ6名が決定!

RED U-35 2022 2022.11.07

新たな時代を切り拓く“食のクリエイター”を発掘する、日本最大級の若手料理人コンペティション「RED U-35」。オンライン形式で実施された「RED U-35 2021 ONLINE」は、世界各地から多彩な人材が挑んだ大会となったが、「RED U-35 2022」は大会史上3番目となる478名が応募し、その顔ぶれがさらに多様に。女性応募者数は42名で過去最多。応募があった都道府県数(国内46都道府県)も過去最多である。地方に新たな可能性を見出す料理人たちの意気込みの強さを示すかのような結果となった。

そんな「RED U-35 2022」も、いよいよ11月14日(月)に開催されるファイナルを残すのみ。決勝の舞台に進むゴールドエッグ6名は、どのような戦いを勝ち抜き、選ばれたのか--。2次審査の映像審査を突破したシルバーエッグ21名が挑んだ、10月18日(火)オンラインによる3次審査をレポートする。

若手料理人の問題意識を浮き彫りにしたグループディスカッション

3次審査は、グループディスカッションからスタートした。シルバーエッグ21名は(エントリーNo.順に)2グループに分けられ、テーマに沿って30分間自由に討論。テーマは「CLUB RED 5つの誓い」である。「RED U-35」で優秀な成績をおさめた選ばれし若手料理人と、歴代の審査員によって構成される「CLUB RED」はこれまで、フードロスの削減や地方創生など、社会課題解決の糸口を見つけるべく活動してきた。

そんなコミュニティの一員となる彼ら自身が、より良い未来のために、ともに何を考え実行していくべきか。彼らの決意と、日頃の問題意識が顔を覗かせるセッションとなった。

まず彼らが、共通認識として提示したのが、持続可能な社会の実現に貢献すること。この点をベースに、新たな課題を見出し、料理人として、あるいは社会の一員として何を重視するべきか--各自の個性きわだつアイデアが続々と提案された。

たとえば、食の可能性を広げるためにも、まずは食に関心をもつ人口を増やす取り組みをするべきではないか、といった飲食業界全体を俯瞰した意見や、失われつつある伝統料理の保存、受け継がれる知恵や知識のシェア、料理人による学生を対象としたキャリア教育の重要性、あるいは女性料理人としての働き方の可能性などなど、料理人たちのバックグラウンドを反映するかのような真摯な意見が目立った。

今回が6度目の挑戦となる酒井研野氏(「日本料理 研野」オーナーシェフ 京都府)の「挑戦者同士の絆を深め、CLUB REDをより強固なチームにしたい」という発言に見られるように、共通するのは、ジャンルを超えて集った仲間とともに、社会貢献への強い想いである。同世代の料理人たちが、互いの考えを共有することで、食の新たな可能性が切り開かれるのではないか--そんな期待を抱かせる有意義なセッションだった。

多彩な才能が切り拓く食の未来

グループディスカッションを終えた彼らが次に臨んだのは、審査員との個人面談である。与えられた時間は、自己PR1分、審査員との質疑応答6分の計7分。万全の準備をしてきたであろう挑戦者たちはみな一様に緊張の面持ちを隠せない様子だったが、彼らの可能性をいかにして見出すかと審査員にも同様の緊張感が漂っていた。

面談においては、今大会のテーマである「旅」や、グループディスカッションでの発言に対する質問や、なかには「無人島で最高質の厨房があるとしたら何をつくるか?」など、万全の準備をしてきたであろう挑戦者の意表を突くものも。限られた時間のなかで、シルバーエッグの21名は懸命に自身の考えを披露するのみならず、審査員たちの質問に応答する際に、改めて自分のやるべき未来像が見えてきた貴重な経験となっただろう。

こうして終えた3次審査の結果、選ばれたゴールドエッグ6名は以下の通りである。5名の予定が最終的に6名が選出されることになったことからも、僅差の勝負であったことが窺い知れるだろう。

【RED U-35 2022 ゴールドエッグ(最終審査進出者)】
(氏名/年齢/専門ジャンル/所属先名/所在地/肩書・役職)
・大野 尚斗(33歳) モダンフレンチ 「Syn」(開業準備中)福岡県 オーナーシェフ
・木本 陽子(31歳) フランス料理 「RESTAURANT HYÈNE」東京都 シェフ
・窪田 修輔(30歳) 無国籍 「Omakase@Stevens」シンガポール シェフ
・酒井 研野(32歳) 日本料理 「日本料理 研野」京都府 オーナーシェフ
・澤井 隆太(30歳) フランス料理 「Blanc」パリ オープン予定 料理人
・町田 亮治(32歳) 日本料理 「赤坂 菊乃井」東京都 副料理長

※敬称略/ゴールドエッグNo.順
※年齢は3次審査時点(2022年10月18日時点)

それでは3次審査において審査員と交わされた質疑応答を交えながら6名を紹介する。

「食に関わる人口を増やすための環境をつくりたい」と、日本の食の将来性について熱く語ったのは大野尚斗氏。現在、地元福岡県で自店の開業を準備中である。同郷の審査員、吉武広樹氏からの「福岡のあとは、どこをめざすのか?」と質問に対して氏は、「福岡は僕にとって“世界の玄関口”。フェスを開催し、日本のおいしい料理を表現した作品を披露するなど、食に関心をもたないような人にもその魅力を届けたい」と回答。

米国やスウェーデンなど、海外での修行経験の豊富な大野氏にとって、料理人生は「旅」そのもの。故郷を新天地として、己の信じる道を力強く歩もうとする姿勢が評価された。

東京・表参道にある築70年の古民家でイノベーティブレストランのシェフを務める木本陽子氏は、「あえてディナーだけにするだけでも、労働時間を最小限に抑えることができる。労働時間8時間が私の目標」と、結婚、出産、育児を経験する女性料理人の働き方の自由について訴えた。

「日本の協調性についてどう思うか?」という川手寛康氏の質問に対し、日韓のハーフである木本氏は「韓国と比べて、日本における“チームワーク”においては、人と同じであることを優先させる傾向があるように思う。もっと自分の意見を相手に伝えることで、適度な距離感を保つよう心がけたい」と答える姿が印象的だった。

シンガポールを拠点とする窪田修輔氏は、グローバルな発想の持ち主だ。「世界で活躍する料理人が、日本にいる若手料理人に対し、海外で活動することの魅力を伝えることが重要ではないか」と、海外でチャレンジすることの意義をアピールした。

川手氏からの「最終目標は?」との問いには、「日本文化の価値を最大化させて海外で広めること。日本には多くの素晴らしいものがあるが、日本にいるだけではその素晴らしさに気づきにくいケースもある。海外のニーズを知る料理人が、その魅力を発掘し、世界に広めることで、食に関心をもつ人をさらに増やしていきたい」と夢を語った。

今回が6回目の挑戦となる酒井研野氏が、新たに取り組みはじめたのは、山形大学が開発した「レーザー式3Dフードプリンタ」のプロジェクト。1次審査で披露された「ウニ寿司」はその成果の一部。魚、米粉、海苔や醤油をベースにした殻部分に、黄色い身の素材は、生魚の切れ端を集めて昆布出汁、米粉、卵黄をミキサーにかけたもの。

「伝統を重んじる日本料理とはかけ離れているように感じるが、その点どう反論するか?」という狐野扶実子氏の質問には、「もちろん先人たちが培ってきた食文化を大事にしている。それを次世代に継承するためにも、新たなアクションを起こすチャレンジが必要だ」と、自信と決意を込めて回答していた。

グループディスカッションにおいて、終始的確なコミュニケーションによって細かな部分を修正し、意見をまとめる積極的な姿勢を見せていたのが澤井隆太氏だった。彼が尊敬するのは、パリで日本人初のミシュラン2つ星を獲得し、新たに「Blanc」をオープンする佐藤伸一氏と「RED U-35」で準グランプリを3度受賞した「nôl」のディレクター 野田達也氏。

「彼らの料理と自身の料理とのちがいは?」という狐野氏の質問に、澤井氏は「まずは技法。魚の火の入れ方やソースのつくり方など、すべてのレベルが異なっていた。それに、料理に対する考え方。常にSDGsに目を向けているので、日々勉強になる」と真摯な姿勢を伝えていた。

今回2度目の挑戦となる町田亮治氏は、「赤坂 菊乃井」一筋である。佐々木浩氏より「1次審査に鱧を使用した理由は?」と尋ねられた氏は、「一番自信のある食材だから」と即答。「入社3年目の際、大阪に暮らす祖母にはじめて振る舞ったのが鱧料理。そんな初心を見つめ直しつつ、“原点回帰”として調理した」とも。これに佐々木氏は「あなたらしい優しさを感じる」と評価。

君島佐和子氏は「経歴が『赤坂 菊乃井』だけというのは珍しいと思うが、その理由は?」と質問。これに対する「うちが日本で一番の日本料理店だと思うので、僕がやるべきは、ここで学ぶべきことをすべて吸収すること。独立はそれから」という答えには、己の信じた道を進む強い意志が顔を覗かせていた。

6名が示すコラボレーションの新たなカタチ

翌10月19日(火)。ゴールドエッグ選出の知らせを受けたばかりで、興奮冷めやらぬ6名の挑戦者たちに向けて審査員長である狐野扶実子氏より、来たる11月14日(月)の最終審査の課題が告げられた。

それは、「旅というテーマで挑んできた今大会の課程を踏まえ、この6名で自由にテーマを設定し、料理を提供してください」というもの。どこまでも自由な解釈が可能な課題に戸惑いを見せつつも、ファイナリストとして選ばれた仲間とともに協働できることの喜びを表していた。後日行われた挑戦者同士のミーティングでは、「異なるジャンルの6人でやることの意義」、「旅というテーマをどう盛り込むか」、「テーマに沿って各自がひと皿ずつ担当するのか、あるいはひと皿ごとにコラボレーションをするのか」など、課題の解釈をめぐり改めて意見を交わしていた。

「2022年のファイナリストたちが手がける料理が、私の一番の思い出のディナーになると思う」と、狐野扶実子氏が期待を込める最終審査。最高の舞台において、挑戦者たちは、果たしてどんなメニューを披露してくれるのか。まだまだ続くゴールドエッグ6名の“旅”に注目だ。

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