音羽 創
SO OTOWA
所属:シエル エ ソル
リンク:ぐるなび掲載ページ
所在地:東京都
ジャンル:フランス料理
役職:シェフ(料理長)
2017 準グランプリ&GOLD EGG
塩づくりに適した日本中の浜を探し歩き、熊本県の天草諸島を選んだ塩の職人・松本明生氏(天草塩の会)。この地で、どのような手法で、どのような想いで塩を作っているのか、生産者の思いを受け取ること。そして、この塩をテーマとしたレストランのシェフとして、スペシャリテ(看板料理)を提案すること。
料理名:「天草の海、その背景」
今回、松本さんのお話を通じて私の心に響いた言葉は「残していきたい」という言葉、そして塩に適した浜を探し歩いた上で、たどり着いた場所が天草諸島という地域の須賀無田海岸なので、できうる限り天草の塩には天草の食材を合わせたいというところです。須賀無田の緑広がる丘陵地帯を青菜のフランに見立て、天草の浅利と海苔のコンソメで美しい水面を作り出しています。中には季節の天草の魚介類を浮かべ、最初の一皿で”天草の塩”、そしてその背景を表現しています。
糖の料理:「栃木の初夏 甘味と酸味」
とうもろこしのショ糖は時間の経過とともに酵素の働きによってデンプンに変わり、甘みや旨みが薄れていく。酵素の働きを止めるためには加熱するか冷凍しかないため、食材の風味や味を生かすうえでは流通時間が短いに越したことはない。朝採りのとうもろこしを使用できるのは産地と近い地方の強みである。この料理では故郷の栃木の初夏の名産「とうもろこし」の強い甘みと香り、トマトが本来持つ酸味をストレートに打ち出した。素材選びが仕上がりに大きく影響するから、生産者との信頼関係はもとより、その年の自然状況や刻々と移りゆく季節の流れによって変わる素材本来の味を見極めることで、最上の美味しさをお届けできる料理だ。トマトはソルベにすることで時間の経過とともに溶け、混ざり合う。素材個々の味わいと温度の違いや時間経過にともなう食材の調和は、自然の恵みに感謝したくなるほどの、この時季だけの味だ。