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RED U-35 2020 特別座談会 第2部「RED U-35 攻略法」

若手料理人×食の先駆者

REPORT 2020.04.21

RED U-35 2020 特別座談会 第2部
審査員と過去大会ファイナリストが語る「RED U-35 攻略法」


RED U-35の元審査員と、同2018年大会でファイナリストとなった若き料理人、そして同事務局スタッフのマル秘アンケートが明かす「RED U-35 攻略法」とは?

参加者
・小山薫堂氏 放送作家(RED U-35総合プロデューサー)
・落合務氏 LA BETTOLA オーナーシェフ(RED U-35 13/14/17/18審査員)
・千住明氏 作曲家(RED U-35 17/18審査員)
・糸井章太氏 Maison de Taka Ashiya 料理人(2018 グランプリ RED EGG)
・本岡将氏 Restaurant Bio-s シェフ(2018 準グランプリ GOLD EGG)
・山本紗希氏 コンラッド東京 料理人(2018 岸朝子賞 GOLD EGG)

※本対談は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を考慮して、2020年3月20日(金・祝)に開催を予定していた「RED U-35 2020 オープニングレセプション」を中止し、オンラインコンテンツに切り替えて制作したものです。



小山薫堂氏(以下小山):第2部は、第1部からややメンバーを入れ替えまして、「RED U-35 攻略法」について語り合います。2020年大会に参加されるみなさんのための攻略法ですから、現審査員の方々にはご遠慮いただき、元審査員である落合務さんと千住明さんに出席をお願いしました。2018年大会でRED EGGを受賞された糸井さんと、準グランプリ GOLD EGGの本岡さん、そしてGOLD EGGと岸朝子賞を受賞された山本紗希さんにも参加していただき、アドバイスを期待したいと思います。

小山:まずは落合さんに伺います。僕は落合さんの審査スタイルが最もRED U-35らしいなと思うんです。印象的だったのは、2017年大会でグランプリを獲得した赤井顕治さんのこと。彼は、最初の審査で実は落ちていたんですよ。でも、彼のアピールシートを見た落合さんが、「この子面白いと思うんだけどな」とすごく推したことで、滑り込みで次の審査に進み、最終的にはグランプリを獲得しました。あのとき、落合さんは、彼に何か光るものを感じたのですか?

落合務氏(以下落合):誰もが評価する人よりも、賛否の分かれる人のほうが、将来的な可能性があるような気がするんです。その時点ではダメでも、明確な目標に向かって邁進すれば、とてもいい料理人になるんじゃないか、という予感があったのは確かです。

小山:平均点じゃない方がいいということでしょうか?

落合:初代グランプリの杉本敬三さん(「Restaurant La FinS」オーナーシェフ)のときにも審査員の意見が分かれましたよね。でも僕は「絶対に面白いです!」と推しました。平均点をとる料理人よりも、いい意味での問題児のほうに可能性を感じるんですよ。

小山:千住明さんは、どのような基準で審査をされていたのですか?

千住明氏(以下千住):音楽家と料理人に共通点があるとすると、それはともに「時間をクリエイトする職人」であるという点です。たとえばメニューのどこにピークをもってくるのか、あるいは料理を提供する順番や温度など、そうしたことを短時間で即断しなければならない料理人は、僕らと同じ脳を使っていると感じています。そういった視点で、キラリと光るクリエイティビティのようなものを見出そうとしていました。

小山:大会で結果を残したみなさんから、これから挑戦する人たちにメッセージやアドバイスをお願いします。

本岡将氏(以下本岡):2018年大会の最終審査で糸井さんが、生徒をリラックスさせるためにBGMを流し、温かいコンソメスープを出しましたよね。あの行動は、大会を勝ちに行くという強い意気込みよりも、審査に参加していた生徒たちへの思いやりが優ったもの。心の余裕がなければできないことだったと思います。

糸井章太(以下糸井):褒めすぎですよ…(苦笑)

全員:(笑)

本岡:生江さんが「自分の料理に集中するだけではなく、審査員のことも考えなければダメ」とおっしゃっていたように、審査をしてくださる人にも気が回らなければグランプリの獲得は難しいんですよね。

糸井:実食審査の際、審査員のみなさんは、和食、中華、フレンチ、そしてまた和食といったように長時間にわたってさまざまな料理を召し上がります。そんな状況で美味しく感じられて、なおかつインパクトを残せる料理とは何か? 僕はそこを最も意識しました。

落合:たくさん食べないといけないので正直完食はできません。そんな状況で最も印象に残るのは、一口だけでこちらの舌を唸らせるもの。短期決戦ですからね。

千住:一次の書類審査で膨大な量をチェックする我々が最終的に頼るのは、勘のようなものです。

落合:いや勘ではないですよ! 一生懸命選んでますよ!(笑)

千住:もちろんそうですよ(笑)。ただ、数が多いので、途中で悩んで手を止めるわけにはいきません。そうすると、まとまりなくダラダラと何を書いているのかがはっきりわからない書類は弾かれてしまいますよね。

小山:審査現場をよく知る事務局スタッフからとったマル秘アンケートの、「書き方ガイドライン、取り組み・姿勢などのアドバイス」という欄にはこうあります。「アピールシートでは、見せることを意識して丁寧に自分らしく自由に作成してほしい。たとえば鉛筆で雑に殴り書きしたものをスマホで斜めに撮ったもの、自分の影が写り込んでいて文字が読めなかったりするのは、どんなに内容が良くてもダメ。最後まで読みたいと思わせる魅力的なつくり方をしてはどうでしょうか?」。

落合:そこは大事。雑なものだと意気込みが伝わりません。

千住:審査をしながら、人に読ませるということはこういうことなのかと、勉強になる部分もありました。音楽においても譜面が汚いと、良い音にはならないんです。そこはまったく同じですね。

落合:字が下手でも一生懸命さが伝わってくるものは、真剣に読みますよ。

小山:山本さんから何かアドバイスはありますか?

山本紗希氏(以下山本):私はこれまで過去3度挑戦してきました。初挑戦の際に実力不足を痛感し、日々のトレーニングの重要性を改めて確認しました。たとえば、このテーマだったら自分はどんな料理をつくろうとか、この食材ならこんな一皿に仕上げようとイメージしてみたり。そうした日々の積み重ねが、2018年大会の結果につながったのだと思っています。

小山:ちなみにこれまでのデータによりますと、歴代ファイナリストの平均応募回数は2回、平均調理年数は13年、最多出身地は東京です。歴代グランプリ最多出身地は京都。興味深いのは応募地区。1位は東京、2位が大阪、3位が海外。その後京都、神奈川、兵庫と続くわけですが、実は今まで47都道府県のなかで1人も応募がなかった県があるんです。どこだと思いますか? 実は秋田県なんです。だから今年、秋田の人から応募があれば、その時点で注目されるかもしれません!

全員:(笑)

小山:事務局スタッフのマル秘アンケートをもとにした攻略法を明かしましょう。REDでは審査員から必ず出る質問がいくつかあります。そのひとつが「もしあなたがRED EGGを獲得したら、どうしたいですか?」。今後も問われるはずなので、明確な答えを用意しておくべきでしょうね。みなさんはどう答えたか覚えていますか?

本岡:覚えています。僕は「変わらない」と。

小山:審査員の攻略法には、こんな意見もあります。「審査員がみな優等生好きなわけではない。すでに名声を得ている人ではなく、新しい感性やスタイルをもつ“原石”を求めている。多くの人が助けてあげたくなる人、応援したくなる人を探している」。そういう意味で謙虚さって大事ですか?

落合:お互い初対面になるわけですから、そこには謙虚さがなければなりません。普通に挨拶ができてコミュニケーションができる人は気持ちがいいですよね。そうした前提もなく、「僕はこういう性格でこういう人間です!」と言われても、何も伝わりませんから。

糸井:僕はめちゃくちゃ緊張してしまって、普段の自分が出せたかどうか……。

落合:まあ、あがってしまうことは当たり前です。多くの審査員を前にたった一人でプレゼンテーションするわけですから。僕だっていやですよ!(笑)

山本:やはり人前で話すことに慣れることは大切かもしれません。料理人は料理長などの立場にならない限り、人前で話をしたり、人を統率して自分の料理をするという経験ができないので、REDのようなコンクールの場はとても貴重だと思います。

落合:本当にそのとおり。それに、こういう場だからこそ、普段の仕事ぶりが如実に現れるんですよ。仕事の段取りなど、こちらが勉強になることもあります。

山本:短い時間で準備できることって結構少ないんです。私の場合は、挑戦を決めた瞬間から、その時点で自分に不足しているもの、たとえば時間と場所、そしてお金などを確保してスタンバイしました。応募テーマの発表と同時に思い切ったスタートがきれるように。3度目のチャレンジでは、いい準備ができたと思っています。

小山:その前の2回はいつだったんですか?

山本:2015年大会と2017年大会です。2度目のチャレンジのときに、ノミニーに選ばれたんです。どんな小さなことでも自信がもてるきっかけがほしくて参加したので、とても励みになりました。私のような人も多かったのではないでしょうか。

小山:逆に失敗する選手というのはどういうタイプ?

山本:十分な準備ができてないパターンでしょうか。時間を確保することが難しいなか、短期間で課題を練り上げ提出しなければなりませんが、「ま、これでいいか」と思いながら提出したものでは、やはり評価はされませんよね。

落合:それは僕も思いますね。

小山:事務局が見る失敗するパターンには、こうあります。「中途半端な情報は要注意。たとえば食のサステナビリティの重要性を語る挑戦者が最近増えているが、正確な情報に基づく自分なりの主張が固まっていない場合は危険。中途半端な内容では、審査員に見透かされる」。

落合:そのテーマで話をされる方は多いですよね。でも、こちらには専門家がいますから、浅はかな考えではすぐにボロが出ます。

糸井:審査では「なぜこうしたの?」と理由を尋ねられることが多いのですが、自分の料理について細部まですべてに理由付けができていれば、おそらくどんな質問が出ても対応できるはずです。

本岡:僕の場合は逆に、質問を想定した準備をしませんでした。というのも、突拍子もない質問がきたりするので準備のしようがないと思って(笑)。たとえば、三次審査では「趣味はなに?」という質問もありました。それに対して「音楽鑑賞です」と言うと、「何が好き?」とさらに聞かれたので、「ルイ・アームストロングなどのジャズです」と答えました。たしか「渋いね〜」と言う反応だったと記憶しています(笑)。このようにまったく想定していないことを聞かれることが多くて、それについては日頃考えていること、等身大の自分をありのままに伝えるしかありません。どれだけ自分を取り繕ったところで、付け焼き刃の準備で通用するほど、この大会は甘くありません。いろんなことを考えながら日々の仕事に取り組むことが大切だと思います。

小山:あとは「ルールに縛られすぎると失敗しがち」というのもありますね。RED U-35は大学入試のように落とすための審査ではなく、光り輝く原石を見つけるためのもの。ルールはありますが基本的になんでもあり。無難にまとめるよりは、とりあえずやってみようというチャレンジ精神をもっている人が選ばれる傾向にあると思います。もし不安なことがあったらいつでも事務局に問い合わせをしてください。なんといっても今年はグランプリ賞金が1,000万円ですからね。

糸井:その分だけ審査員の方にもプレッシャーがかかるのではないですか?

落合:そこまで考えていないんじゃないかな?(笑)

千住:いや、挑戦者も審査員もともに力が入ると思うんですよ。そこでさらなる化学反応が起こることを僕は期待しています。

落合:殺気立った雰囲気になるかもしれませんね!

小山:いずれにせよ応募しなければ何もはじまりません。みなさんの応募をお待ちしています!

*Author|RED U-35編集部(MOJI COMPANY)

特別座談会 第1部「美味しさの本質と料理人のあり方」はこちら

プロフィール

RED U-35 2020 特別座談会 第2部 参加メンバー

小山薫堂 放送作家(RED U-35総合プロデューサー)、落合務 LA BETTOLA オーナーシェフ(RED U-35 13/14/17/18審査員)、千住明 作曲家(RED U-35 17/18審査員)、糸井章太 Maison de Taka Ashiya 料理人(2018 グランプリ RED EGG)、本岡将 Restaurant Bio-s シェフ(2018 準グランプリ GOLD EGG)、山本紗希 コンラッド東京 料理人(2018 岸朝子賞 GOLD EGG)

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