【ジビエ×CLUB RED シェフたちの考えるジビエメニュー】
【Makuake×CLUB RED】オンライン催事「未来のための一皿」を開催
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私の料理は腐敗した鍋、オジャポドリーダです。料理にはふさわしくない名前ですが、スペインにおいて旅を象徴する料理です。料理自体が人を介して旅をして、各地方の文化や素材、環境などにより、特徴のあるオジャとして定着しました。料理人にとって旅は食文化を知り、伝えることです。私の育った兵庫県では猪を鍋で食べる文化があります。しかし有害鳥獣捕獲された夏の猪は処分されることがほとんどです。脂身が少なく旨味が強い夏の猪で新たな食文化を作り出すきっかけになればと料理を考えました。マドリッドではオジャはコシードという名前に発展し、最初にスープ、その後具材を2皿目とします。そこから着想を得て、煮込んだ後スープはミンチでコンソメに、ひよこ豆は猪のチョリソと猪の皮に乗せてスナックに、崩れた具はコロッケ、煮込んだ腕肉はメインとし、コース仕立にしました。今回は凝縮した第1の皿で食文化を感じ、旅をしていただきます。
清水 和博
KAZUHIRO SHIMIZU
所属:RESTAURANTE ETXOLA
所在地:大阪府
ジャンル:スペイン料理
役職:シェフ(料理長)
年齢(開催年末時点):32歳
2021 BRONZE EGG
去年のテーマ発表時とは視点を変え、持続性に焦点を当てつつ、日本におけるスペイン料理の未来のためのシンボルとなる料理を目指しました。日本においてスペイン料理人は数も少なく、技術や考え方も広く普及していません。スペインでは豚は頭から尻尾まで余すことなく料理します。その考え方はサステナビリティへの取り組みにおいても、スペイン料理を語る上でも強いメッセージ性を示すことができるのでは無いかと考えました。この料理では脂が多かったり硬い部位はチョリソに、豚の血や背脂はソーセージに、生ハムの硬い部分とその骨は旨味を補填し、豚足はゼラチンを与え全体をまとめています。あえてそれらと共に煮込んだ豆のみを提供することで豆から豚の味を想像し、感じて頂きます。この一皿でスペイン料理界の未来への架け橋を作り、様々なジャンルの料理人に刺激を与え、日本の食文化の未来の可能性をも広げてみせます。