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【西ノ島町✕CLUB RED】食の新たな魅力を町民に伝える「西ノ島町 新メニュー試作会」

LABO 2023.10.24

■西ノ島町の食の新たな魅力を町民に伝える「西ノ島町 新メニュー試作会」

RED U-35の主催社である株式会社ぐるなびでは総務省の「地域活性化起業人制度」を活用し、⾷や観光を通じた地域の活性化を⽇本全国の⾃治体と連携しながら実施しています。(※「地域活性化起業人制度」とは・・地方公共団体が、三大都市圏に所在する民間企業等の社員(地域活性化起業人)を一定期間受け入れ、そのノウハウや知見を活かしながら地域独自の魅力や価値の向上等につながる業務に従事する制度)
西ノ島町に地域活性化起業人が派遣されていることから、令和4年度は西ノ島町×CLUB REDシェフツアーを開催し、令和5年度は西ノ島町の新メニューの試作会を開催しました。

■「西ノ島町 新メニュー試作会」開催の背景

西ノ島町では、令和4年度よりCLUB REDとの取り組みを行っています。
令和4年度は、西ノ島町の新たな食の魅力を発見する為、CLUB RED 3名が西ノ島町を訪れ、産地ツアーや地元の食団体との交流会を行いました。
令和5年度に関しては、西ノ島町の新たな食文化を町民に知ってもらい、食文化継承に繋げるということを目的とし、CLUB RED 3名が西ノ島町の食材を使ったメニューを開発し、そのメニューの試作会を町内の食団体に向けて開催するという企画を行いました。
また、今回のメニューに関しては、町民に広く披露する場として11月に町内で行われるイベントで今回の試作会の参加者である西ノ島町食生活改善推進協議会の皆様によって一部ふるまわれる予定です。

■開発メニュー依頼内容

今回、CLUB REDには下記条件でメニューの開発依頼を行いました。
食文化を継承することが目的の為、家庭で簡単に作れるということを重要視しました。


・「なめみそ」か「さざえの肝」、又は両方を使った料理1品
・家庭用調理器具で作れる料理、家庭で作れる料理
・普及し易い料理
・作ってみたいと思える料理

■開発メニューの対象食材①「なめみそ」

「なめみそ」とは、西ノ島町で古くから伝わる万能調味料です。
現在西ノ島町では農業を生業としている人は殆どいませんが、昭和30年代までは「牧畑」という隠岐諸島特有の農法がありました。
「牧畑(まきはた)・4圃式農法」は、畑作と放牧を4年でローテーションする農法で、交通手段の発達していなかった時代に食糧自給の手段として考案され、隠岐諸島で独自に発展しました。
主な農作物は大豆、稗・粟、麦で、大豆や麦を使った万能調味料として「なめみそ」が生まれました。
そんな歴史的背景のある「なめみそ」は今でも受け継がれ、西ノ島町では、各家庭で「なめみそ」が作られています。
一方で、少子高齢化や島外への人口流出、Iターン者の増加により、「なめみそ」が継承されづらい環境になりつつあります。
そこで、作ってみたいと思われるような「なめみそ」メニューを開発し、「なめみそ」を若者やIターン者へも継承していくために、レシピ開発対象食材にすることとなりました。

■開発メニューの対象食材②「さざえの肝」

西ノ島町は漁業の町であり、主に獲れる海産物の一つがさざえです。
西ノ島町の伝統的な漁法である、かなぎ漁で主に獲られています。
町民の食卓にも並ぶ食材ですが、殆どの町民はさざえを食べるとき、「肝」の部分は食べません。
また、西ノ島町のお土産品である「さざえ缶詰」を製造する際にも、肝は廃棄されています。
令和4年度は製造過程で、約3.6万個分のさざえの肝が廃棄されました。
この肝を活用したレシピを開発すれば、フードロス削減にもつながるほか、西ノ島町の新たな食の魅力になりうるのではと考え、レシピ開発対象食材にすることとなりました。

■CLUB RED 開発メニュー


桂シェフ
桂 有紀乃
(2015年 BRONZE EGG、2016年 GOLD EGG/岸朝子賞 フランス料理)
1984年生まれ。埼玉県出身。シェフ・フードデザイナー。Forkreator(フォークリエイター)代表。
2005年「ザ・プリンス パークタワー東京」入社。ホテル内の宴会部門やフレンチレストラン「ブリーズ・ヴェール」にて12年半勤務。

なめみそのとろけるプリン
「なめみそのとろけるプリン」
なめみそをキャラメルの代わりに使用した、なめらかな焼きプリン。
なめみその甘じょっぱい旨味がカスタードに広がる、新感覚のデザート。
粒々としたなめみその食感も、そのまま楽しめる。
柔らかいのでお子様からお年寄りまで、幅広く召し上がっていただける。
出来立ても美味しいが、冷蔵庫保存で2~3日経つとなめみその風味がプリン全体に浸透し味の濃厚さが増すので、変化を楽しんでいただける。

さざえの肝とカカオのフィナンシェ
「さざえの肝とカカオのフィナンシェ」


福嶋シェフ
福嶋 拓
(2014年 GOLD EGG 中国料理)
1984年生まれ。山形県出身。「chinois蓮歩」(埼玉県)オーナーシェフ。
2004年に株式会社Wakiyaに入社し、各店舗にて修行を積み、横浜「トゥーランドット游仙境」で副料理長を務める。

西ノ島町特製なめみそ焼売
「西ノ島町特製なめみそ焼売」
なめみその味と香りたっぷりの、柔らかくてジューシーな焼売


梅津シェフ
梅津 信吾
(2021年 SILVER EGG イタリア料理)
1985年生まれ。山形県出身。企業やメディア向けのレシピ開発を多数手掛け、中でもパスタを得意とする。
洗足学園音楽大学卒業後、フランスへ留学し現地の音楽校で映像と空間の作曲を学ぶ傍ら、欧州の食への高いエンターテイメント性に惹かれる。

なめみそライスコロッケ
「なめみそライスコロッケ」
イタリアのライスコロッケのアランチーニを、なめみそを使ってアレンジ。

さざえの肝ペースト
「さざえの肝ペースト」

■試作会の開催(8/30~31)

試作会の開催
それぞれのメニューを開発したCLUB RED 3名が西ノ島町を再訪し、試作会が開催されました。
試作会は2日間にわたり開催され、西ノ島町の食団体である「西ノ島町食生活改善推進協議会」の会員13名にご参加いただきました。
開発メニューは計5品ありましたが、今回は時間の関係上でなめみそを使ったレシピ3品が試作の対象となりました。

<1品目:なめみそのとろけるプリン(桂有紀乃)>

1品目:なめみそのとろけるプリン(桂有紀乃)
1品目は、桂シェフが開発した、なめみそのとろけるプリン。
重要なポイントは火加減であるという説明を受けると、参加者は「へぇ~!」と驚いた様子で興味深く説明を聞いていました。
また、砂糖についていろいろな種類がありますが、お菓子は必ず白砂糖を使わないといけないわけではないという説明を聞くと、「お菓子=白い砂糖というイメージだったから新発見です」と話していました。

実際に出来上がったなめみそプリンを食べる
実際に出来上がったなめみそプリンを食べると、参加者は「良い!大人向きで面白い。」「なめみその塩味がプリンによく合っている」などの声が上がっていました。
また、桂シェフからは、なめみその熟成度によって、なめみその分量は加減したほうが良い等のワンポイントアドバイスもありました。
参加者からは「新しいものを食べたような感動がありました。時間をかけてゆっくり食べたい。おしゃべりをしながら主婦たちの会話が弾みそうだなと想像しました。我が家のおもてなし料理が一品増えたと思いました。お店や喫茶店、お土産品に売っていてもいいなと感じました。」という感想もありました。

<2品目:西ノ島町特製なめみそ焼売(福嶋 拓)>

2品目:西ノ島町特製なめみそ焼売(福嶋 拓)
2品目は福嶋シェフが開発した西ノ島町特製なめみそ焼売。
水分が出てこないための工夫を聞くと、参加者は「え~!!」と驚きの声を上げていました。
焼売の餡を皮に包む工程の際には、参加者も実際に手を取り、福嶋シェフから包み方を教わっていました。
参加者は「え~、できるかな~。」と言いながらも、実際に教わった方法で包むことが出来ると、「お~!!できた!」と拍手が起こっていました。
食材の中に代替できるものはないか等、参加者からも積極的に質問が上がっていました。
実際に出来上がった焼売を試食した際には、「すごくジューシー!」「肉がゴロゴロしていて美味しい」「甘味もあるね」等の声が上がっていました。
冷凍保存する場合の温め方や、なめみそから水が出てくるのを防ぐための混ぜ方等のアドバイスも受けていました。
また、桂シェフからは「イベントで提供する際にはもう少し大きめの皮で提供したほうが食べ応えがあるかも」という意見が出て、シェフ同士の交流により新たなアイディアも生まれていました。

<3品目:なめみそライスコロッケ(梅津 信吾)>

3品目:なめみそライスコロッケ(梅津 信吾)
3品目は梅津シェフが開発したなめみそライスコロッケ。
レシピを考えるにあたり、わざわざ材料を買いそろえなくても家にある材料ですぐ作れるということと、材料費が安価ですむということを重視し考えたと話す梅津シェフ。
ライスコロッケにバッター液を付ける際に手が汚れないための工夫を教えてもらうと、参加者は「へ~!なるほど!!」と感心した様子ででした。
揚げ方を教える際には、イベントで提供する場合と、家庭で作る場合とで分けて丁寧に参加者へ伝えていました。
出来上がったライスコロッケを試食した参加者は「チーズが入っているのがいいね。ごはんじゃないみたい。別の、初めて食べるものみたい。」と驚きの声が上がっていました。
試食中には、冷凍保存方法や、冷めた時の温めなおし方、また、提供サイズや形を変えてはどうか等、参加者やシェフ達から様々な意見が飛び交っていました。
2日目の試作会後には、なめみそ感をより出すためにはもっとこうしたら良いかもしれないという、レシピ磨き上げの為の新たなアイディアも梅津シェフから出ていました。

■作り置き品の試食

作り置き品の試食
(写真左:西ノ島町長 坂栄一秀)

今回は、11月で行われる町内でのイベントでの提供も見据えたうえで、出来立ての料理の試食と、少し熱が冷めた料理の試食も行いました。
冷めたものを食べた参加者は「しっかりした味になる。」「なめみそをより感じる。」と話していました。
また、試作会2日目に参加した西ノ島町長の坂栄一秀氏は「冷めると味が濃く感じますね。たくさん食べることを想定すると、味を濃くすると飽きてしまうが、イベントで1口食べるのであれば、少し濃い方がちょうど良い。」と話していました。

■11月のイベント、来年度に向けて

今回の試作会で調理された3品のうち一部メニューは、11月に西ノ島町内で行われるイベントにて、西ノ島町食生活改善推進協議会の皆様により販売される予定です。
町民に対するお披露目の場ということになります。
それに向け、西ノ島町食生活改善推進協議会の皆様で今回のメニューを再度、試作される予定です。
西ノ島町の新たな食文化を町民に知ってもらい、食文化継承に繋げるということを本事業では目的としており、そのゴールは多くの町民に披露する場である11月のイベントです。
より多くの町民に味わっていただき、知ってもらい、そして家庭で実践していただく。ご近所にふるまってもらう。そうやって食文化は継承されていくと考えます。今回の3品が各家庭で継承されていくことを願っています。
また、西ノ島町が課題として挙げているのが、お土産品開発です。
西ノ島では海産物のお土産はありますが、冷凍や冷蔵のものが多く、個包装で常温のお土産は殆どありません。
そこで、今回CLUB REDが開発したレシピは、一部お土産品開発に向けて進めていくことを検討しています。
坂栄町長は「町長になる前に若い人から、『西ノ島に帰ってきてもお土産がありません』と言われ、いつも悔しかったり寂しかったりしていました。お土産の開発というのが自分が最初にもらった陳情なのです。今回お菓子のレシピも提供いただいたということで、いつか土産物として持って帰っていただけるところまでいけたらいいなと思っています。」と話していました。

試作会を経て、西ノ島町食生活改善推進協議会の代表である松浦さんは
「3品ともとてもやさしさが伝わる料理で、シェフの人柄をすごく感じました。早く町民に提供して広めたいと思いました。」と話す。

■CLUB RED参加者の感想

<桂 有紀乃>
今回はなめみそばかりになってしまいましたが、さざえの肝を使ったものや貝を使ったものなど、もっと可能性はあると思うので、また一緒にやれたら良いなと思っています。
時間があるときに今日の3品を作って、ふるまっていただけたら本望です。

<福嶋 拓>
前回来た時も思いましたが、皆さんの食に対する考え方がすごく伝わってきました。
なめみその具合などにより味が変わる為、ここから試行錯誤していただかないといけないが、皆さんであれば美味しい方向に向かっていくと思うので、どんどん変えていっていただければと思います。
また、提供する際になめみその説明をしながらすると付加価値がつくと思います。
より美味しく感じると思います。

<梅津 信吾>
非常に楽しみな状態で今日を迎え、非常に有意義なものになりました。
比較的満足いただけたのかなと手ごたえを感じています。
イベントでどう展開されるか、今後の町おこしにどう関わっていくのか楽しみです。
自分も今回の試作会だけでなく今後も関わっていきたいです。

西ノ島町の食文化継承と、お土産品開発のために、本事業はまだまだ続きます。
西ノ島町内の多くの家庭で今回のメニューが食卓に並び、また今回のメニューがお土産品になって店頭に並んでいる光景が待ち遠しく感じます。

■イベントにて開発メニューを提供

「産業文化祭(ギョギョギョ魚フェスタ)」にて
2023年11月3日(金) 

「なめみそのとろけるプリン」、「西ノ島特製なめみそ焼売」、「なめみそライスコロッケ」各メニュー先着で150食ずつ(なめみそメニューについてはレシピも同時配布)ご提供。

提供時間/11:00~
提供場所/浦郷観光交流センター周辺
調理/西ノ島町食生活改善推進協議会の皆様
備考/なめみそレシピ3品を150食ずつ提供し、アンケートを同時配布。アンケートの回答者には「さざえの肝とカカオのフィナンシェ」もその場で試食提供します。

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