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【離創協×CLUB RED ♯1】レポート|CLUB REDと離島の料理人たちが壱岐・対馬・五島の生産者から学び、感じたこと~壱岐・対馬チーム編~

LABO 2022.02.28

島と地方の食を見直し、「食の列島」の実現に向けたプロジェクト

日本はおよそ7000の島からなる国であり、それぞれの土地に豊かな自然と食の恵みがあります。離島振興地方創生協会(離創協)は、遠く離れた離島、力を失いつつある地方にもおいしい食材が生まれ、循環し、日本全体が「食の列島〜JAPAN FOOD ISLAND」となるための活動を続けています。
【離創協×CLUB RED】は、五島列島、壱岐、対馬の食材の魅力を最大限に引き出すために、九州で生まれ育ったCLUB REDの若き料理人たちと地元の料理人たちがチームとなって「未来の郷土料理」開発を目指すプロジェクトです。若手料理人たちが現地の生産者や関係者の方々から学び、新しい発想と若々しい感性により、次世代へつなぐ新・郷土料理を創り出します。
※CLUB REDは、歴代のRED U-35コンペティションにおいて優秀な成績をおさめた若手料理人と、歴代の審査員が集うコミュニティであり、食のクリエイティブ・ラボ。

【離創協×CLUB RED】「未来の郷土料理」開発チーム ※カッコ内は視察訪問先

■壱岐チーム:太田誠一×海野元気(壱岐、対馬)
■対馬チーム:築城順一郎×新内彰(壱岐、対馬)
■新上五島チーム:小泉達也×小岸明寛(新上五島、五島)
■五島チーム:出口誠×小川浩次郎(新上五島、五島)

☆CLUB REDの料理人
海野元気(新北欧料理/レストランSNOW/福岡県)福岡県出身
新内彰(フランス料理/マナーハウス 島津 重富荘 レストラン オトヌ/鹿児島県)鹿児県出身
小岸明寛(フランス料理/フリーランス)佐賀県出身
小川浩次郎(日本料理/ひつまぶし和食 備長 中洲川端店/福岡県)福岡県出身

☆離島の料理人
大田誠一(フランス料理/壱岐リトリート海里村上/総支配人兼料理長)
築城順一郎(日本料理・寿司/すし処 慎一/大将)
小泉達也(フランス料理/restaurant umigoto/料理長)
出口誠(日本料理/創作郷土料理いつき/代表)

◆新・郷土料理LABO① 壱岐島の産地視察

前半の産地視察は壱岐・対馬チームです。
2021年11月14日朝、壱岐島の郷ノ浦港にてCLUB REDの海野氏、新内氏が、当地のホテルで総料理長を務める大田誠一氏と合流しました。これから2日間の日程で、生産者を訪ね、壱岐の食材や地元料理を学んでいきます。

最初に訪れたのは、2019年に開園した「壱岐オリーブ園」。
こちらでは国産100%のオリーブにこだわった商品開発を行っています。案内する立山明徳社長のお肌はツヤツヤ、オリーブがいかに美容に良いかを実証していました。料理人たちはオリーブの実の粉末、飲むオリーブオイルに着目した様子。
その後、昼食で訪れた「壱岐牧場」では、ブランド和牛である地元の特産、壱岐牛をバーベキューテラスで堪能しました。

続いては、フグの養殖に取り組んでいる「なかはら」へ。
壱岐の地下水は海水に比べて雑菌が少なく、陸上養殖に適しているとか。養殖施設を見学するなかで、料理人たちは海洋生物のサスティナビリティ(持続性)について、あらためて考えさせられたようです。

「本尾海産」では、海藻類や水産加工品などの海産物を扱う卸問屋。新鮮な海藻類とその漁場に案内していただきました。料理人たちの興味を引いたのは、近年健康食材として注目されている、冬に旬を迎えるというカジメでした。


ウニの宝庫と呼ばれる壱岐島には、乱獲を防ぐために長時間潜ることができないレオタードで漁をする海女たちがいます。「メイリ・キッチン」では、海女たちが獲った新鮮なウニを瓶詰めやうにめしの素などの加工品にしています。

2日目は、ゆずの生産から、加工、出荷まで行う「壱岐ゆず生産組合」からスタート。
減農薬・質の高い国産原料にこだわり、漫画『美味しんぼ』にも取り上げられた生産者であり、海野氏が今回一番訪れたかった場所。新内氏は、あたりに立ち込めるゆずの香りにインスピレーションを得たようです。

「猿川伊豆酒造場」は、壱岐焼酎の代名詞ともいえる麦焼酎の酒造元。
壱岐焼酎は約400年の歴史をもち、米麹で大麦を醸すという独特の製法で作られます。新内氏は、調理に焼酎を使う鹿児島の文化との違いに着目していました。

壱岐対馬で最後に訪れたのは、漁村の高台に位置するトマト農場「壱岐の潮風」。
IT業界から農業に転じた下條朝則さんがフィルムを使用した農法で作る、甘さで定評のあるミディトマトを見学・試食しました。
2日間の壱岐視察を終えて、
「食べ物はその土地に住む人の誇りなんだと感じた」(海野)「生産者の気持ちを直接聞くことができてよかった」(新内)
と、それぞれが感想を語りました。

◆新・郷土料理LABO② 対馬の産地視察

2021年11月16日、CLUB REDの海野氏と新内氏は、築城順一郎氏が待つ「すし処 慎一」を訪れました。
これから2日間、3人の料理人たちが対馬の生産者を訪ね、対馬の食材について学びます。

対馬で最初に訪れたのは、黄金あなご料理専門店「あなご亭」。
ミシュランガイド「福岡・佐賀・長崎2019特別版」にも掲載された有名店です。厳選された素材の美味しさを引き出すメニューは、グルメな旅行者に人気です。この日はあいにく当日獲れたあなごがなかったことで、冷凍のあなごを試食しました。その状態でも美味しく食することができるのは、やはり素材へのこだわりだと実感しました。

次に訪れた築城氏の店は穴子漁師直営の寿司店であり、漁から加工まで一貫して行っています。
対馬近海は、対馬暖流により世界有数の好漁場として知られています。なかでもアナゴは、対馬がある長崎県が漁獲量日本一。脂のノリ、身の引き締まり方、大きさなどで他の産地を圧倒しています。

続いて3人の料理人が向かったのは、お茶とゆずの生産農家である「つしま大石農園」。
森林面積9割という対馬の地で新しい産業を興そうと農園を切り開いたそうです。べにふうきを使った対馬紅茶に、「手摘みと機械ではこんなに違うのか」(新内)と驚きの声が。

2日目に訪れたのは、「對馬原木しいたけ」。椎茸は干すことによって旨味が18倍になるとか。試食をしてみて
「旨味と香りが強く、味が濃い。歯ごたえがしっかりしている。スープに使いたい」(海野)
「生と乾燥、食べ比べることでそれぞれの特徴がわかった」(新内)とのコメント。

次に向かったのは、130年余の歴史を持つ「対馬醤油江口」。
九州では珍しい、甘口ではない醤油を生産しています。特色のある味わいは、「対馬の味」のベースになっているようです。

「河内酒造」は、対馬唯一の造り酒屋。日本酒「白獄(しらたけ)」焼酎「やまねこ」で知られます。
築城氏によると、魚の酒蒸しは白獄で仕上げているとか。仕込み水は柔らかく、超軟水で良質でした。

対馬の視察を終えて、
「知識として知っていることと現地で食べることは全く違い、非常に有意義だった」(海野)
「対馬にはない洋食を提案したら受けるのではないか。今回会った生産者の方々との縁を大切にしたい」(新内)
と充実した様子でした。地元を巡った築城氏は「これからどんなアイデアを出していくか、楽しみ。若い人たちが作れる郷土料理を作っていきたい」と意気込みを語りました。

後半は新上五島・五島チームの産地視察をレポートします。(後編へ続く)

☆現地の生産者INDEX
■壱岐エリア
壱岐オリーブ園、壱岐牧場、なかはら、本尾海産、メイリ・キッチン、壱岐ゆず生産組合、猿川伊豆酒造場、壱岐の潮風
■対馬エリア
あなご亭、つしま大石農園、對馬原木しいたけ、対馬醤油江口、河内酒造

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