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特別対談 人と人とのネットワークで広がる料理人の世界

井上 和豊(szechwan restaurant 陳)×岡﨑 正明(株式会社ジェーシービー)

INTERVIEW 2021.11.05

RED U-35 2021 ONLINE 特別対談「料理人と企業が手を組み、食の未来のためにできること」

人と人とのネットワークで広がる料理人の世界
・井上 和豊(szechwan restaurant 陳 渋谷店 料理長)
・岡﨑 正明(株式会社ジェーシービー 取締役兼常務執行役員 ブランド事業統括部門長)


日本国内をはじめ世界中に多くの会員をもつ日本で生まれた唯一の国際カードブランドである「JCB」。そのブランド事業を統括する岡﨑正明氏は、学生時代にレストランの接客やバーテンダーなどのアルバイトを経験し、対話の大切さを学んだという。それゆえだろうか、物腰やわらかに次々と質問を繰り出す岡﨑氏が対談を終始リードするかたちに。対するのは、「RED U-35 2016」でグランプリ「レッドエッグ」を獲得した井上和豊氏。その受け答えには、「szechwan restaurant 陳」渋谷店一筋に腕を磨き続けてきた料理人の実直さが滲み出ていた。

料理人たちの出会いが生み出す変革に期待

岡崎 カード会員さまや加盟店さまをはじめとするJCBのステークホルダーのみなさまのために、新たなサービスを開発し、提供していくことがJCBのミッションです。その結果として、みなさまと一緒にJCBブランドの価値を高めていきたいと思っています。その観点から、飲食業界は我々にとってなくてはならない存在。大切なパートナーであり、お客さまでもあります。これまでも新たな決済スキームの導入やキャンペーン企画を通して、加盟店さまとカード会員さまを繋ぐ役割を担ってきましたが、近年ではコロナ禍でのさまざまな対応を求められました。日本の食産業が苦しんでおられる状況で、JCBブランドとして微力ながら貢献できることはないか。そんな想いからこのたび、共催という立場で、「RED U-35 2021 ONLINE」への参加を決めた次第です。井上さんは、どのような想いでRED U-35へのチャレンジを決めたのですか?

井上 弊社オーナーである陳建一も、私の前任の料理長だった菰田欣也も、日本の中国料理を代表する料理人です。そんな偉大な先人たちに埋もれたくないという気持ちを抱いていました。それが一番の理由です。最初に出場した2015年大会では途中で敗れてしまい、とても悔しい思いをしましたが、そこで芽生えた他ジャンルの料理人たちとの絆はかけがえのない財産になりました。そこで年齢的に最後のチャンスだった2016年に再度挑戦したのです。運よくグランプリをいただきました。やはり、優勝できたこと以上に志を同じくする料理人との出会いがその後の私の仕事に生きていると感じています。

岡崎 受賞されて5年経ちますが、ご自身に変化はありましたか?

井上 当初はグランプリを受賞したことによるプレッシャーがありましたが、追い込まれるのが好きな性格が幸いして、目の前の課題をクリアしながら一歩ずつ成長していこうという気持ちでこの5年間を過ごしてきました。自分のためだけではなく、スタッフを含めかかわるすべての人のために仕事をしようという気持ちが芽生えたのは、RED U-35で出会った仲間との繋がりも大きく影響しています。

岡崎 コロナ禍でお店も大変だったと思いますが、この期間に出会われた方々と連絡を取り合ったりしましたか?

井上 はい。今、店を営業している? それとも休業? 時短営業は? お酒の提供は? などの情報交換をしつつ、テイクアウト事業についてアイデアを出し合ったり。大変なときに相談相手になってもらえるのは本当にありがたかったです。

岡崎 RED U-35は単純に料理の腕を競うだけの大会ではないところが素晴らしいですよね。同世代の料理人との出会いをきっかけに、従来にはない発想を生み、食業界に新たな変革を起こしてほしいと思います。

社会が加速化する今だからこそできることを求めて

岡崎 近年、インターネットの普及により、社会のデジタル化が進むなかで、キャッシュレス決済の流れが加速してきました。コロナ禍はこの流れを一層加速させています。要因のひとつは、消費者の衛生意識の高まりです。現金の手渡しを避ける社会的風潮から、加盟店さまにおいても「当店ではキャッシュレス決済が可能」という点を積極的に告知されている傾向が散見されます。現金支払いからカード決済へ、そこからモバイル決済へと、非接触の決済方法へのニーズは、我々の予測を超えて急速に高まっています。支払い手段のマネジメントが我々の仕事ですから、クレジットカードに加え、二次元コードや電子マネーなど、さまざまなサービスを通して、これからも飲食店さまをはじめ、加盟店さまをサポートしていきます。井上さんは、社会の変化のスピードはどう感じていらっしゃいますか?

井上 私は、料理の変化はゆっくりであってほしいと思っています。研修で中国を訪れるたびに、その料理の素朴さに魅了されます。日本の中国料理は、繊細な味わいが魅力のひとつですが、一方、本場の料理には余計なものを削ぎ落とした力強さがあります。それが長い時間を経て醸成されたものであるということに思い至ったとき、シンプルで素朴な、人間味のある料理の価値にも気付かされるのです。ですから、今後、AIがつくった料理と人の手によるものとが比較されることも起こり得るわけですが、変化が早い時代だからこそ、昔ながらの素朴な食文化の素晴らしさを伝えていくことを、私たち料理人は心がけるべきでしょう。コロナ禍で時間にゆとりができたこともあり、当店では豆板醤などの調味料を一から独自につくってみました。注文すればすぐに店に届けられていた輸入調味料ですが、今回のような危機が今後も起これば、物流が滞り、あっという間に手に入らなくなってしまいます。そうしたリスクにも対応できるよう、昔ながらの考え方も大切にしていきたいと思っています。

料理人がレストランを飛び出して活動する時代に

井上 私は数年前から、一極集中が進む東京の飲食店は飽和状態にあると感じており、一度地方に目を向けるべきだと考えてきました。地方で食材をつくってくださっている生産者の方々なしに、私たちの仕事は成立しません。その感謝の意味を込めて、私自身が地方に出向き、その土地の食材を使い、そこに暮らす人びとが故郷の魅力を再発見してもらえるような料理をつくる活動をしています。さまざまな土地の風土を知ることができるので毎回、好奇心を刺激されるのです。

岡崎 日本全国のみならず、ハワイやアジア諸国をはじめとした世界各国にネットワークをもつ当社は、井上さんの活動を何らかの形でサポートできることがあるかもしれませんね。

井上 四川飯店グループに新卒採用後、「szechwan restaurant 陳」渋谷店のオープニングスタッフとして配属されました。以来、21年間、この店一筋で腕を磨き続け、料理長になったという自負はありますが、さらに視野を広げるべく、できるだけ多くの人に自分の料理を味わっていただきたいです。世界各地で、地元の食材を使って中国料理をつくるのが、学生時代からの夢。ですから、JCBさんのような世界にネットワークをもつ会社と何かご一緒できることがあればうれしいかぎりです。

コロナ禍で実感した会食の大切さ

岡崎 昨年以来、我々はステークホルダーのみなさまのために何ができるのか、社内で相当議論しました。そんななか、加盟店さまから、お客さまがマスクをしまうためのマスクケースがほしいという声をいただいたので、100万枚を作成しお配りしたのですが、2日ほどで在庫がなくなり、至急で300万枚を追加作成したという経緯がありました。こうした経験を通して、日頃から加盟店さまと密にコミュニケーションをとる会社でありたいと、より強く思うように。また、コロナ禍で私たちの働き方も大きく変わりました。弊社は、テレワークを導入して出社率を抑え、対面の会議は原則禁止。緊急事態宣言下では会食もできませんでした。井上さんのお店も大変だったのではないですか?

井上 接待需要はほぼなかったといっていいですね。新規のお客さまが来てくださるケースもありましたが、厳しい状況に変わりはありませんでした。そんなとき、月に1回ほどのペースでお見えになっていた常連のお客さまが、週1回のペースでお越しいただくようになったり。こんな状況でも気にかけてくださる方々には、感謝の気持ちしかありません。

岡崎 お客さまとの会食では、そこにおいしい料理があることがとても大切なのです。そのおかげでリラックスして本音のコミュニケーションができるので、ときには面と向かって話すだけでは出てこない、アイデアが生まれることも。お客さまとのリラックスしたひとときの重要性に改めて気づかされました。コロナ禍が落ち着いてきましたから、これから会食の機会も少しずつ増えていけばいいと考えています。

井上 その際はぜひ、当店をよろしくお願いします。

岡崎 お願いしてもいいですか? それではぜひ今度伺わせてください。本日はありがとうございました。

株式会社ジェーシービー 取締役兼常務執行役員 ブランド事業統括部門長
岡﨑 正明
1989年、株式会社ジェーシービーに入社。取締役兼上級執行役員兼加盟店事業統括部門長を経て、2020年4月より現職。国内外のJCBブランド運営事業(インフラ基盤整備、ブランド会員拡販、ブランドマーケティング統括 等)を統括している。
https://www.global.jcb/ja/

szechwan restaurant 陳
東京都渋谷区桜丘町26-1 セルリアンタワー東急ホテル2F
不定休
https://www.sisen.jp/shop/shibuya/
Instagram:@szechwan_sby

※本記事は、新型コロナウイルス感染拡大防止の対策を講じた上で取材を行いました。撮影時のみマスクを外して撮影を実施しています。

■ RED U-35 2021 ONLINE 特別対談「料理人と企業が手を組み、食の未来のためにできること」

〈第1部〉特別対談 料理とデジタル技術の融合の可能性
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〈第2部〉特別対談 日本橋の「歴史」と「食」が融合して生まれる革新
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〈第3部〉特別対談 人と人とのネットワークで広がる料理人の世界
井上 和豊(szechwan restaurant 陳)×岡﨑 正明(株式会社ジェーシービー)

〈第4部〉特別対談 これまでも、これからも、変わらぬ支え合いを大切に
盛山 貴行(粲 s.l.m)×大谷 和人(ヤマサ醤油株式会社)

プロフィール

井上 和豊(szechwan restaurant 陳 渋谷店 料理長)

1981年秋田県生まれ。岩手県の調理師専門学校卒業後、2001年四川飯店に就職。その年に開業した系列店『szechwan restaurant 陳』渋谷店のオープニングスタッフとして厨房に立ち、副料理長を経て2017年料理長に就任。2003年に「青年調理士第4回デザート部門」で銅賞を受賞して以来、数々のコンクールで入賞している。2016年開催のRED U-35 2016においてグランプリ「レッドエッグ」を受賞。

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