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【文化庁×CLUB RED】食でつながる日本の文化認定事業in福岡県小郡市

レポート 2024.02.27

福岡県小郡(おごおり)市「小郡の鴨を取り巻く食文化」を学び、「新しくて美味しい鴨料理」を発信する

◆事業内容

文化庁 100年フード

文化庁の令和5年度「食でつながる日本の文化認定事業」として、「小郡の鴨」に関する伝統的な食文化を次世代へ継承する取り組みです。「小郡の鴨を取り巻く食文化」は、文化庁「100年フード」として令和4年3月に認定されました。
市内の狩猟や料亭、地域で受け継がれ根付いている食文化を知るため11月の鴨猟解禁に合わせて行いました。

市内で行われた「小郡の鴨」に関する講習会や実技指導、地域の圃場などの視察を経て、「新しくて美味しい鴨料理」をテーマに掲げ、5名の参加料理人が<家庭向け><飲食店向け><イベント向け>の中から各自2種のレシピを考案しました。
これらのレシピは、今後市内をはじめ県内外へと広く普及していきます。

◆参加料理人

今回の取り組みには全国のCLUB REDから5名の料理人が参加しました。

<CLUB RED>
・川野孝太
(宮崎県/中国料理 川/中国料理)宮崎県出身
・新内彰
(鹿児島県/マナーハウス島津重富荘/フランス料理)鹿児島県出身
・土肥秀幸
(兵庫県/la Maison de GRACIANI/フランス料理)福井県出身
・新田周平
(東京都/八芳園・警固神社/フランス料理)福岡県出身
・堀中翔太
(東京都/ホテル椿山荘東京/フランス料理)栃木県出身
CLUB RED 5人

<特別協力>
・小栗直也
(東京都/八芳園・警固神社/フランス料理)
小栗シェフ

※カッコ内は、現在の所属店(地域)、所属店、専門ジャンル、出身地

◆講習会および実技指導(2023年11月27日)
鴨猟師による「小郡の鴨」についての講習会

講習会

小郡市埋蔵文化財調査センターにて、現役の鴨猟師である天本美博氏による無双網(むそうあみ)猟や小郡の鴨の歴史についての講習会を行いました。

臭みのない小郡の陸鴨は大変貴重です。まろやかなコクやその味がある理由は、青米を食べていること、鉄砲ではなく網で捕獲されていることからです。

「伝統的な無双網(むそうあみ)猟」の現役猟師は2名。住宅街のすぐ近くにある猟場で、何度も足を運んで鴨が集まるタイミングを見計らいます。決まった時間に2週間ほどかけて青米で餌付けをし、鴨を太らせます。
真冬の早朝6時。鴨はとても警戒心が強いため、網場に群がった頃合いを見て一瞬で捕獲します。200メートル離れたカモトヤ(見張り小屋)から針金で手綱を一斉に引く、その時間わずか1秒。「てこの原理」で網が広がり鴨に覆いかぶさります。

「無双網(むそうあみ)」

「無双網(むそうあみ)」は天本氏が実際使用している網を見せてもらいました。
幅約2.5メートル、長さ約14メートルの横長の網で、綿で編み、柿渋で染めているそうです。網での捕獲は傷も最小限になります。
生け捕りにしたあと素早くしめることで、血液などが肉質や風味に与える影響を低減させることができるようです。(※猟で捕獲できる数は、毎年上限があります)

創作懐石料理・蕎麦とびうめでの講習会

市内にある国登録有形文化財「創作懐石料理・蕎麦とびうめ」にて、天然鴨を使用した鴨のさばきや蕎麦打ち講習、天然鴨を使用した料理のディスカッションを行いました。

創作懐石料理・蕎麦とびうめでの講習会
「鴨のさばき方」の講師は松岡慈美氏。
鴨の内臓を取り骨と身に分けていきます。前半に受けた講習会で「小郡の鴨に臭みがないのは青米など穀物をたっぷり食べているから」という話の通り、消化前の青米がしっかりお腹に入っていました。
小郡の陸鴨は、鉄砲を使わず網で捕獲するため、傷も最小限におさえることができ、また生け捕りにした後に素早くしめることで、血液などが肉質や風味に与える影響を低減させることができるので臭みがないのが特徴です。

創作懐石料理・蕎麦とびうめでの講習会
「蕎麦打ち」の講師は松岡倫章氏。
とびうめでは蕎麦打ち体験ができる施設です。そば粉をこねて丸めて、薄く均等にのばす。麺棒の転がし方にもコツがあります。生地が完成し、蕎麦切り包丁で均等にカットします。左手で添える「こま板」の使い方が難しいようです。完成した蕎麦はその場でおいしくいただきました。

◆市内視察(2023年11月28日)
ITADAKI FARM いただきいちご園

ITADAKI FARMは2023年1月にいちご園としてオープンし、50,000㎡を超える農園へご来場いただく皆様が「農」という自然を通じて、一日遊べる体験型のテーマパークを目指しています。
今ではジャンボ落花生やサツマイモの植え付けのほか、レンタル農園など幅広く手掛けています。また、小郡産のワインを作るため、400本のぶどうの木の植え付けもしています。
サツマイモの畑では実際に芋ほり体験をし、土の香りや感触に触れました。

芋ほり体験
いただきいちご園は、国内でも数少ないリフティング式の設備を導入しています。空中にいちごが浮かぶ吊下げ式の設備の中で、珍しい白いちご2品種を含め、10品種のいちごを栽培しています。
11月はまだわずかしか実っていませんでしたが、今年は特に質が良く、甘味がのった糖度の高いいちごができているとのことで、さっそく試食しその甘さを確認できました。

いただきいちご園

RUSH FARM(ラッシュファーム)

RUSH FARMは露地栽培や屋根型ハウス、丸屋根テントハウスなどで小松菜や水菜、チンゲン菜、リーフレタス、ホウレンソウなどの葉物野菜を中心に、きゅうり、ナス、ジャガイモ、ニンジン、オクラなどの定番野菜のほか、多種のハーブ栽培、希少なライム栽培と商品開発など幅広く手掛けています。
100ほどのハウスがある広い自社農場を車で移動しながら視察です。この辺りは台風や水害の影響を受けやすく、豪雨の時には胸あたりの高さまで水位が迫ったことがあるそうです。

RUSH FARM(ラッシュファーム)
自社開発したシステムに野菜の生育状況などのデータをクラウド集約し、栽培管理の効率化や労働生産性の向上を図るなどの品質保持のための取組についてお話を伺いました。
ハーブ栽培のハウスへでは、1棟ずつ中に入って香りの違いを確かめました。好みのハーブや、嗅いだことのある香り、珍しい香りなど様々です。ハーブだけでも52種類あるそうです。
事務所に移動し、ハーブティの味や香りを実際に試しました。
カフェインのないレモンバーベナのほか、月桃、少し甘めのスイートリコラミント、アーユルベーダーでは一番重要とされるホーリーバジルなどです。

ハーブ栽培のハウス
「街を盛り上げたいという気持ちが伝わり、今回の企画を通じて力になりたい。」(新内氏)
「新しい小郡の魅力を、都内や福岡市内で発信していきたい。」(新田氏)
「市長をはじめ地域の皆さんが「鴨のまち小郡」として盛り上げたいという思いがとても強いと感じた。レシピ開発で貢献したい。」(川野氏)
「食した鴨はとても美味しく、市の付加価値になる食材だと感じた。もっと広めていきたいと強く思った。」(堀中氏)
「料理として何かしら形として残せるものができたら、と心から思った。」(土肥氏)

それぞれが自店に戻り「新しくて美味しい鴨料理」のレシピ作りに取り組んでいます。
3月にはレシピが完成する予定です。完成後は、小郡市観光協会のホームページ(https://kanko-ogori.net/)にて掲載し、市内外へ広く普及していきます。

小郡市観光協会のホームページ

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