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【離創協×CLUB RED ♯2】レポート|CLUB REDと離島の料理人たちが壱岐・対馬・五島の生産者から学び、感じたこと~新上五島・五島チーム編~

LABO 2022.03.25

島と地方の食を見直し、「食の列島」の実現に向けたプロジェクト

▶︎壱岐・対馬チームの記事はこちら

離島振興地方創生協会(離創協)は、日本にあるおよそ7000の島からなる国の中の遠く離れた離島から、力を失いつつある地方にもおいしい食材が生まれ、循環し、日本全体が「食の列島〜JAPAN FOOD ISLAND」となるための活動を続けています。
【離創協×CLUB RED】は、五島列島、壱岐、対馬の食材の魅力を最大限に引き出すために、九州で生まれ育ったCLUB REDの若き料理人たちと地元の料理人たちがチームとなって「未来の郷土料理」開発を目指すプロジェクトです。

▼「離創協×CLUB RED」新・郷土料理開発チーム ※カッコ内は視察訪問先。
■壱岐チーム:太田誠一×海野元気(壱岐、対馬)
■対馬チーム:築城順一郎×新内彰(壱岐、対馬)
■新上五島チーム:小泉達也×小岸明寛(新上五島、五島)
■五島チーム:出口誠×小川浩次郎(新上五島、五島)

☆CLUB REDの料理人
海野元気(新北欧料理/レストランSNOW/福岡県)福岡県出身
新内彰(フランス料理/マナーハウス 島津 重富荘 レストラン オトヌ/鹿児島県)鹿児県出身
小岸明寛(フランス料理/フリーランス)佐賀県出身
小川浩次郎(日本料理/ひつまぶし和食 備長 中洲川端店/福岡県)福岡県出身

☆離島の料理人
大田誠一(フランス料理/壱岐リトリート海里村上/総支配人兼料理長)
築城順一郎(日本料理・寿司/すし処 慎一/大将)
小泉達也(フランス料理/restaurant umigoto/料理長)
出口誠(日本料理/創作郷土料理いつき/代表)

▼新・郷土料理LABO③ 新上五島の産地視察

後半の産地視察は新上五島・五島チームです。
2021年11月22日、長崎港にCLUB REDの小川氏、小岸氏と、フランス料理店で料理長を務める小泉達也氏が集まり、新上五島の生産者を訪ねる2日間の産地視察がスタートしました。

初日は海が若干荒れていたため寄港地が変更になり、有川港に到着。
最初に訪れたのは五島うどんの製麵所「ますだ製麺」。うどんは島の生活に欠かせない食文化と言われ、食卓で鍋を囲んで食べる地獄炊きは代表的な食べ方。製麺の工程を案内される中、五島うどんの乾燥前のものを実際に引っ張りコシの強さを実感しました。

次に訪れたのは養殖のブリやマグロを生産している「橋口水産」。小泉氏、小岸氏は普段からこちらの魚を使っているそうです。

「上五島漁業協同組合」では、魚を我が子のように扱うことから五島箱入り娘というブランド名で出荷しています。鯛やアワビ、この地域で獲れる様々な魚など、水揚げされたばかりの魚介類を畑村信昭組合長が次々と見せてくれました。
五島の豊かな海が育んだ恵みを生産者の元であらためて目の当たりにした3人のシェフ。活きの良い魚を前に、調理法や扱い方、仕入れ事情など、話は尽きません。


次の訪問先である「やがため」は、薪を使った伝統的な平釜製法で塩づくりを行なっています。
一切の添加物を加えず、約2週間かけて天日乾燥で作りあげた粗塩や藻塩に、各々が使い道を思い描いていたようです。

「マルマス」は上五島の特産である五島手延べうどんと、ネット通販で人気の五島列島アイスなどを製造・販売しています。
今回は冷凍麺を試食。2分足らずで茹で上がる利便性に感嘆の声が上がりました。


2日目は朝9時に集合して「はたした」へ。
ここは五島の特産品焼きあご、イカやアジの塩干し、みりん干しなど水産加工品の生産者。「あご」とはトビウオの呼称で、焼きあごのだしは五島うどんに欠かせないものです。


次の「マルオト」は、冬には真牡蠣、夏には岩牡蠣を育てて出荷しています。
「自然に任せるだけでなく手間がかかっている」(小川)「以前に比べて技術が上がり、大粒になっている」(小泉)との声が。


生産者を訪れ、直接会って話を聞くことで
「皆さんの熱意に応えたくなる」(小泉)「いいものに出会えたので、今後使っていきたい」(小川)「生産者の思いを伝えていきたい」(小岸)
と、それぞれ食材への思いをあらたにして上五島の産地視察を終えました。

▼新・郷土料理LABO④ 五島の産地視察

2021年11月24日早朝6時に集合した小川氏と小岸氏、そして五島で創作郷土料理店を営む出口氏が、福江魚市場を訪れました。


最初に訪れたのは、きびなごを扱う「鯛福丸水産」。
五島列島産キビナゴの特徴は、サイズが9~10cmで揃っていることです。これは 均一な編み目による刺網漁だから。大ぶりで均一なきびなごが揃っていることに驚きの声も。


「アグリ・コーポレーション」はサツマイモの生産者。
有機安納芋、有機紫芋の生産・加工を行なっています。料理人たちは、サツマイモの品質や味わいはもちろん、地域に貢献する企業姿勢にも感銘を受けていました。


福江島唯一の酒造元「五島列島酒造」では麦焼酎「五島麦」、芋焼酎「五島芋」などを製造しています。
焼酎蔵を初めて見学したという小川シェフは、その製造過程をつぶさに見ることができて喜んでいました。


五島の名物かんころ餅を製造・販売している「真島餅店」。
かんころ餅は、五島産のサツマイモ、国産うるち米、砂糖、水飴、馬鈴薯でんぷんだけで作られた素朴な郷土菓子。「子供の頃から食べている懐かしい味」(小岸)と、若い世代にも親しまれています。


長崎県で唯一のワイナリー「五島ワイナリー」は2014年に誕生。現在では年間約2.5万本を生産しているそうです。
樽から出したばかりの新酒は、すっきりとして適度な酸味、フレッシュな味わいでした。「和食にも合いそう」(小川)とのコメント。


2日目の朝一番に訪れたのは、椿油の製造元「椿乃」。
手摘みで収穫した椿を使う椿油は「ナッツの香りがするとは思わなかった。食用も初めて」(小川)「風味を生かして料理の仕上げに使ってみたい」(出口)「今回のプロジェクトに限らず使いたい」(小岸)
と、全員がインスピレーションを得た様子でした。


「五島パプリカ」では本山地区の農家が共同でパプリカを栽培、県外にも出荷。肉厚でジューシーな五島パプリカは、島内なら採れたてを味わうことができます。
「五島人にとっては身近でいい食材」(出口)「加熱してもおいしいと思うので使ってみたい」(小岸)「黄色、赤、オレンジ、色によって味に違いがあることを知った」(小川)。


「五島の椿」では、五島つばき酵母と五島の魚を使って醸造した魚醤「五島の魚」を製造販売しています。
「いい意味でクセのある醤油として使えそう」(小川)など、新しい調味料として魅力を感じたようです。


かまぼこ店「しまおう」では、五島の魚介を使った練り物やすり身を製造販売しています。
素材の味を生かし、五島の人たちに親しまれている味わいに「おいしい」という声が上がりました。

2日間にわたる視察を終えて
「五島に暮らしていても見られない現場もあり、皆さんに五島の食材を知っていただけてよかった」(出口)
「魚、塩、魚醤、あごだし、ワイン…使いたいものがたくさんあった」(小岸)
「いい魚がたくさんあることに衝撃を受けた。生産者とのご縁ができたことがすごくありがたい」(小川)
とそれぞれが満足のいく体験だったようです。


壱岐、対馬、新上五島、五島、それぞれの土地で生産者と出会い、食材を味わい、離島の風土と食についてじっくり学んだ8人の料理人たち。これらの学びを生かして、2人ずつペアを組んで4チームで「未来の郷土料理」のメニュー作りに取り組みます。
さて、離島の食材から果たしてどんな料理が生まれるのでしょうか。次のレポートでは、それぞれのチームが考案した「未来の郷土料理」をご紹介します。

☆現地の生産者INDEX
■新上五島エリア
橋口水産、上五島漁業協同組合、やがため、マルマス、はたした、マルオト
■五島エリア
鯛福丸水産、アグリ・コーポレーション、五島列島酒造、真島餅店、五島ワイナリー、椿乃、五島パプリカ、五島の椿、しまおう

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