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【離創協×CLUB RED ♯3】レポート|CLUB REDの料理人たちが壱岐・対馬・五島の「未来の郷土料理」新メニューを考案

LABO 2022.06.01

プロジェクトの成果を「未来の郷土料理」としてメニュー化

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現地視察レポート#1壱岐・対馬チーム編 #2五島チーム編

前回のレポートでは、CLUB REDと離島の料理人たちが、壱岐、対馬、新上五島、五島の生産者たちを訪れた様子をお届けしました。
今回はいよいよ、料理人たちがペアになって考案した新しい郷土料理を発表します。離島の食材を活かして、どのようなメニューが生まれたのでしょうか。

▼「離創協×CLUB RED」未来の郷土料理 開発チーム
■壱岐チーム:太田誠一×海野元気
■対馬チーム:築城順一郎×新内彰
■新上五島チーム:小泉達也×小岸明寛
■五島チーム:出口誠×小川浩次郎

☆CLUB REDの料理人
海野元気(新北欧料理/レストランSNOW/福岡県)福岡県出身
新内彰(フランス料理/マナーハウス 島津 重富荘 レストラン オトヌ/鹿児島県)鹿児県出身
小岸明寛(フランス料理/フリーランス)佐賀県出身
小川浩次郎(日本料理/ひつまぶし和食 備長 中洲川端店/福岡県)福岡県出身

☆離島の料理人
大田誠一(フランス料理/壱岐リトリート海里村上/総支配人兼料理長)
築城順一郎(日本料理・寿司/すし処 慎一/大将)
小泉達也(フランス料理/restaurant umigoto/料理長)
出口誠(日本料理/創作郷土料理いつき/代表)

◆4つのチームが「未来の郷土料理」を考案、試食会を実施しました

2022年1月25日、海野元気氏がオーナーを務めるRestaurant Snow(福岡県)にて、それぞれのチームが考案したメニューの試食会が行われました。試食会の参加者は、離創協の方々(3名)です。当日は、海野氏、小岸氏、小川氏が調理を担当、新内氏はリモートで参加しました。

11月の現地視察後、この日まで壱岐、対馬、新上五島、五島のチームごとに食材を決定、料理の開発に向けて話し合いと試食を重ねてきました。そして、視察で得た知見と、料理人たちの技や発想を活かして、4つの料理がかたちになったのです。
それぞれの料理についてはレシピと憲章を公開、離島の食文化を次世代に繋ぐ新・郷土料理として発信していきます。
※試食会は万全の感染対策を行なった上で実施されました。

【壱岐チーム】未来の郷土料理は「壱岐ゆべし飯」

壱岐チームが選んだ食材は「壱岐ゆず生産組合」で出合った、ゆべし。ゆべしは壱岐島固有の郷土調味料で、ゆずの皮のみを醤油や砂糖、唐辛子と煮込んで作ったものです。
「ゆべしは壱岐にしかない食材なので地域を表現しやすいこと、調味料なので汎用性があることから、いろいろな料理にアレンジできると考えて選びました」(海野)。

「壱岐ゆべし飯」は、リゾットや炊き込みご飯、チャーハンなどお米を使った料理とし、提供するお店のスタイルに合わせて活用できるように考慮しています。また、具材としてブランド牛である壱岐牛を使用すること、と定めました。
*写真はリゾットバージョンの壱岐ゆべし飯

【対馬チーム】未来の郷土料理は「対馬アナゴとしいたけのアヒージョ」

対馬チームが選んだ食材は、「穴子亭」「すし処 慎一」で味わいを確かめた対馬アナゴと、「對馬原木椎茸」を訪れて試食した対馬のしいたけ。これらを使って対馬の郷土料理である「いりやき」を現代的な洋風料理にアレンジしました。「いりやき」とは、鶏肉または新鮮な魚を炒って鍋料理にするもの。食べ終わった後、残ったスープにそうめんや対馬そばを入れて食べるそうです。

「対馬アナゴとしいたけのアヒージョ」は、オリーブオイルとニンニクとともに対馬アナゴとしいたけをアヒージョにします。最後に、残った具材とオイルを利用して、パスタをシメの麺料理として提供することができます。「高齢化が進む離島で、移住者や観光客など若い世代にも共感いただける料理を考えました」(新内)。
*写真はアヒージョと、地鶏の卵黄をのせたパスタ

【新上五島チーム】未来の郷土料理は「五島手延うどん牡蠣グラタン」

新上五島チームは、「ますだ製麺」を訪れた際に「もったいないと感じた」(小岸)という五島手延うどんの‘ふし’と、生産者を応援したいという考えから「マルオト」の牡蠣を食材として選びました。‘ふし’とは、麺を干す際に出る曲がった部分のことです。さらに味のベースには地域の料理に欠かせないアゴだしと、五島の魚を使った魚醤「五島の魚」を使用します。

グラタンには、牡蠣だけでなく五島産のサザエや魚など、新鮮な海の幸を使うことを推奨。味付けには、九州地方の郷土の味である麦味噌とパターを使い、チーズをのせてオーブンで焼きます。こんがりと焦げ目がついたグラタンの中に、五島の彩り豊かな食材が詰まった一皿です。(小岸)
*写真は五島産の牡蠣とパプリカを使ったグラタン

【五島チーム】未来の郷土料理は「五島焼きおにぎり きびなご仕立て」

五島チームが選んだ食材は、「鯛福丸水産」で水揚げされていた新鮮なきびなご、「五島の椿」で味わいを体験した椿油と魚醤。さらにアゴだし、アオサのりといった五島の名物を集めた一品となりました。
焼きおにぎりは魚醤で味付けをして焼き、さらに椿油を塗ってもう一度焼くことで旨味と香りが引き立ちます。

焼きおにぎりは、「きびなご佃煮」とアオサをのせ、アゴを使った出汁とともに供します。きびなごは佃煮に限らず、へしこ(糠漬け)、西京漬け、昆布締めなどにしても。「きびなごは馴染みのある食材だけに新しい料理を考えることは難題でしたが、ここまで真剣にきびなごに向き合ったのは初めてのことで楽しく挑戦できました」(小川)。
*写真はいろいろなきびなごをのせた焼きおにぎり

こうして、壱岐、対馬、新上五島、五島の4チームから、未来へ向けての新・郷土料理が提案されました。本来であれば、より多くのお客様にこれらの料理を実際に味わっていただく予定でしたが、時節柄、残念ながら発表会イベントは中止となりました。
しかし、離島の料理人たちや生産者たちとの出会いがあり、現地視察で学び体験したことで、次世代へ繋ぐ新しい郷土料理を開発することができました。また、離島が抱える問題点や今後の課題についても、身を以て知ることができました。

プロジェクトを終えたCLUB REDの料理人たちは、
「現地の料理人しかわからない食材や、応援したい生産者に出会うことができました」(小岸)
「もっともっと日本中に五島の良さを発信できると確信しました。壱岐、対馬にも行ってみたいと思います」(小川)
「今回のプロジェクトで出会った全ての方々に感謝します。これからは恩返しとして、離島の食材をたくさん料理して魅力を発信したいと思います」(新内)
「発表の場がなくなったことは残念ですが、今後に繋げていけるように考えます」(海野)
と、それぞれに感想を語りました。

九州で生まれ育ったCLUB REDの料理人たちと地元の料理人たちがチームを組んで「未来の郷土料理」をつくりあげた【離創協×CLUB RED】プロジェクト。今後も、離島の食文化の魅力が国内外へ伝わるよう、一人一人が料理を通じて発信していく所存です。

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