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Report|RED U-35 2021 ONLINE ゴールドエッグ4名が決定!

RED U-35 2021 2021.11.13

若き料理人の才能を発掘するコンペティションとして、2013年の第1回大会から着実に歴史を重ねてきた「RED U-35」。2020年はコロナ禍の影響で中止を余儀なくされたため、2021年度の大会は、前回中止の特別措置として36歳以下を対象に争われることになった。応募総数は508名。コロナ禍を意識せざるを得ない社会状況のなか、どんな才能が勝ち進んだのか。ゴールドエッグ4名が決定するまでの激闘をレポートする。

ウィズ・コロナを意識したテーマ設定と審査方法

「RED U-35 2021 ONLINE」は、その名称が示唆する通り、コロナ禍に十分な配慮がなされた大会となった。感染予防対策として人的交流を極力避けるため、一次から三次まではオンラインによる審査を行い、決勝まで実食による審査はない。しかも、その決勝は、選手がモニター越しに調理人に指示を出して完成させたリモートクッキング料理の試食審査となる。おのずと、一次審査の応募テーマも、アフターコロナ時代の料理人の姿を考えさせるものに。そのテーマは、ずばり「未来のための一皿〜A DISH FOR THE FUTURE」。料理人自らが、明確なビジョンに裏打ちされた今後のニューノーマルを提示できるかどうかが、鍵となった。まず、審査員が応募書類を熟読する一次審査で、51名のブロンズエッグを選出。二次審査では「未来のための一皿」に込めた想いを2分以内でプレゼンテーションする映像が審査され、シルバーエッグ21名が決定した。調理の技術力をアピールするもの、食材の魅力を伝えるものなど、さまざまな切り口の力作がそろい、白熱した審査会となった。

時代性を浮き上がらせたグループディスカッション

ファイナリスト4名を決める三次審査では、まず、自由なプレゼンテーション3分と審査員との質疑応答4分の審査が行われた。ハイレベルな審査を勝ち抜いたシルバーエッグたちは、自身の個性を存分にアピール。

たとえば、食のクリエイティブディレクターとして活動する井上豪希氏(TETOTETO Inc.)は、企業とのコラボレーションによって生まれる商品の具体例を交えながら、店舗を持たずに活動する新しい料理人像を提示した。

また、耕作イタリアンを標榜する藤原祐哉氏(E-Flat)は、お客さま第一主義が当たり前とされるレストランで、あえて生産者第一主義をアピール。毎日のように畑で出る不揃い野菜や廃棄野菜などを仕入れて、その日のメニューを構成する藤原氏の取り組みは、フードロスの削減と生産者の収入アップにつながる一方で、お客の理解が欠かせない。その点を十分認識する藤原氏は、使用する食材の背景を動画にして店内に流しながら丁寧に説明することで、消費者にもフードロスに対する意識改革をうながしている。フードロスに対する配慮が行き届いた社会の実現が藤原氏の夢だ。

プレゼンテーションと質疑応答の結果、21名から10名を選抜。その10名で「コロナ禍、ニューノーマルだからこそ今料理人がやるべきこと」をテーマにグループディスカッションが行われた。白熱した議論は、やがてひとつの方向へと収斂していく。それは、料理人それぞれのやり方を認め合ったうえで、循環型の社会作りに貢献できる方法をみんなで考えていく、という姿勢だ。SDGsやLGBTQの問題などが盛んに議論される昨今の世界情勢をみても、料理人たちが互いを認め合い、社会の多様性に賛同していく姿勢を確認できたことは、時代の要請に即したひとつの成果といえるだろう。

審査員が最後の拠り所とした「RED U-35らしさ」という問い

三次審査の結果、選ばれたゴールドエッグ4名は以下の通り。

【RED U-35 2021 ONLINE ゴールドエッグ(最終審査進出者)】
(氏名/年齢/専門ジャンル/所属先名/肩書・役職/所在地)
・堀内 浩平(35歳) Yamanashi gastronomy 「Ichii」シェフ 東京都港区
・野田 達也(36歳) フランス料理 「nôl」ディレクター 東京都中央区
・井上 稔浩(35歳) ガストロノミー 「pesceco」オーナーシェフ 長崎県島原市
・ドグエン チラン(33歳) フランス料理 「ベトナム料理とワイン CHILAN」オーナーシェフ 広島県廿日市
※敬称略/ゴールドエッグNo.順
※年齢は三次審査時点(2021年11月1日時点)

それでは三次審査における審査員との質疑応答を交えながら4名を紹介していこう。

故郷山梨でレストランを開く夢を語った堀内浩平氏は、グループディスカッションで見せた高いコミュニケーション能力と将来性で評価を高めたダークホース的存在といえるだろう。笹島保弘氏は「地方でレストランを成功させるには、あなたの料理だと一発でわかるスペシャリテが必要。そういう料理があれば聞きたい」と質問。これに対し、堀内氏は「山梨の伝統野菜である大塚ニンジンをかつら剥きにしたものにビーツの出汁を含ませ、低温調理した山梨の鱒と合わせて盛り付けた料理がある。しかし、正直なところ、まだスペシャリテとはいえないので今後の課題」とした。決勝での巻き返しに期待がかかる。

2015、2019年準グランプリの野田達也氏は、前回の悔しさを胸に、特例措置36歳での出場を決めた。野田氏は「もし優勝できたら、生涯をかけて情熱を傾け、料理業界発展のために挑戦し続けることをお約束する。僕を優勝させて後悔はさせません」とストレートにアピール。狐野扶実子氏から「今回、提出した未来の一皿『畑を食べる』は、過去に出場したときの料理をアレンジしたお皿だった。あえて手抜きともとられかねない選択をした狙いは?」と問われ、「これは僕がずっとつくり続けてきた料理。そしてこれからも日々の挑戦を繰り返しながら、つくり続けていくでしょう。そんなお皿で勝負したかった」と並々ならぬ自信と決意を伝え、見事、決勝への切符を手にした。

2019年ゴールドエッグの井上稔浩氏は、長崎県島原市で一つ星のレストランを経営する実力者。これまでの実績とさらなる飛躍を期待されての選出だ。脇屋友詞氏から「5回目の出場だが、1回目のときと心境の変化は?」と問われた井上氏は「最初は、自分のキャリアのための出場だったが、回を重ねるうちに、生産者をはじめ、お客さま、家族など、自分を支えてくださるみなさまに恩返しがしたいという気持ちが強くなっていった」と率直な気持ちを語った。

ベトナムと日本にルーツを持つドグエン・チラン氏は、鎧塚俊彦氏から「ベトナム料理とワインを標榜しながら調理技術をフレンチにする理由は?」と問われ、「ベトナムはもともとフランス領。ベトナム料理とフレンチ技術の親和性は高い。ビストロで身につけたフレンチの技術で日本の食材をベトナム料理に仕立て、ワインを合わせている。乱立するビストロのなかで、自分のルーツのひとつであるベトナムを掲げ、店の個性を出したかった」と説明。「いいアイデアだと思う」と鎧塚氏を即座に納得させた。また、ドグエン氏は自身の多様な経験をアピール。働く女性として、子をもつ母親として、一度仕事を離れてから復帰した料理人、あるいはオーナーシェフとして、さまざまなロールモデルを提示したいという積極性が評価された。

一次から三次まで、どの審査会でもなかなか結論に達しない場面が多々あり、そんなとき、審査員たちが幾度となく「RED U-35らしい才能の発掘とは何か」という問いに立ち返っていたのが印象的だった。「食の力で世界がよりよくなるネットワークを構築できる人物を選んだ」という德岡邦夫審査委員長のコメントはひとつの答えかもしれないが、もちろん、これがすべてではない。ひとつ、言えるとすれば、審査員らは、他のコンペティションでは見逃されてしまいそうな原石を懸命に掬い取ろうとしていたこと。勝ち残った4名もまた、もう一度自分らしさを見つめ直して、11月16日(火)の決勝の舞台に臨むことだろう。直後に開催される「RED U-35 2021 ONLINE」授賞セレモニーの様子は、以下のアドレスで無料配信される。乞うご期待。

RED U-35 2021 ONLINE 授賞セレモニー概要
日時:2021年11月16日(火)17:30~19:00(予定)
参加:ゴールドエッグ4名、審査員団
内容:グランプリ他各賞発表、審査員トークセッション
配信URL:https://youtu.be/6TvTnzSu_-M (YouTubeライブ)
参加費:無料

最終審査に挑むゴールドエッグのメッセージ映像「ファイナルへのいきごみ」



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