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【日本博×CLUB RED Labo#2】舞台は山形県鶴岡市へ! 食材のユートピアで日本の食文化を学ぶ

LABO 2020.10.30

RED U-35で優秀な成績をおさめた料理人と歴代の審査員が集うコミュニティー「CLUB RED」は、食のクリエイティブ・ラボとして多彩な活動を展開している。今回、そのひとつとしてコラボレーションしたのは、日本文化の素晴らしさを発信すべく国が推進し文化庁と独立行政法人日本芸術文化振興会が主催する「日本博」。
「日本博×CLUB RED」が掲げる今回のテーマは、ずばり郷土料理の再発見であり、日本の食文化の再評価とその伝播を目標とすることである。

ユネスコ食文化創造都市、鶴岡に
期待の若手料理人が集結

前回のレポートで詳しくお伝えしたとおり、本プロジェクトは、2020年9月23日にスタート。和食のユネスコ無形文化遺産登録に尽力した国立民族学博物館名誉教授・熊倉功夫氏を講師に迎え、「Labo#1 ~勉強の会~」を開催した。

参加したのは、東北出身の以下6名の料理人である。

酒井研野氏(青森県黒石市出身/中国料理/京、静華<京都府>)
菅田幹郎氏(岩手県遠野市出身/イタリア料理/おのひづめ<岩手県>)
成田陽平氏(青森県弘前市出身/日本料理/菊乃井本店<京都府>)
早川光氏 (秋田県鹿角市出身/イタリア料理/XEX 東京 Salvatore Cuomo Bros.<東京都>)
廣川拓渡氏(新潟県新発田市出身/フランス料理/イーストギャラリー<東京都>)
福嶋拓氏 (山形県米沢市出身/中国料理/Turandot臥龍居<東京都>)
※カッコ内は、出身地、専門ジャンル、現在の所属店(地域)

上述の勉強会で得た知識をもとに次に彼らは、2日間の日程で山形県鶴岡市を旅し、この地に受け継がれる食文化を学ぶ「Labo#2 ~探訪の会~」に臨んだ。鶴岡市は、60種以上の在来作物が今も生活文化に息づいていることなどが認められ、日本で唯一、「ユネスコ食文化創造都市ネットワーク食文化部門」に認定されており、海、山、川、平野それぞれの距離がクルマでほぼ1時間圏内にあり、さまざまな食材が手に入ることから、食材のユートピアともいわれる土地である。

陸と海の食材から
インスピレーションを得る

2020年10月12日、鶴岡に到着した6名はまず、庄内鴨のヒナの孵化から精肉まで手がける三井農場を視察。地鶏の約4倍、ブロイラーの約7倍のゆったりとしたスペースでストレスなく育てられた庄内鴨は、上質の肉質と脂で高い評価を得ている。精肉までしてくれる三井農場とあって、料理人たちは、どんな部位の要望に対応してもらえるかなど、熱心に確認していた。

続いて、鼠ヶ関(ねずがせき)港の水揚げ作業を見学。底曳網漁が主流の鼠ヶ関港では、カレイ、ヒラメ、タラ、アンコウ、甘エビ、ズワイガニなど、130種を超える魚が水揚げされる。料理人たちはそれぞれ気になる魚を見つけ、鮮度をチェックしながら、どんな料理に仕立てるか、イメージを膨らませた。

山岳信仰の聖地に伝わる
精進料理の歴史を知る

日が暮れたころ、一行は宿泊する出羽三山神社 羽黒山参籠所 斎館へ。地元鶴岡市内でレストランを経営する若手料理人3名(以下)が合流した。

齋藤翔太氏 (山形県鶴岡市出身/日本料理/庄内ざっこ)
有坂公寿氏 (秋田県角館町(現仙北市)出身/フランス料理/ポム・ド・テール)
五十嵐督敬氏(山形県鶴岡市出身/イタリア料理/ブランブラン・ガストロパブ)
※カッコ内は、出身地、専門ジャンル、現在の所属店

彼らはまず、2021年2月下旬に開催されるイベント「日本博×CLUB RED」(今回、参加した料理人が、郷土料理を学んだ成果をひとつのコース料理にまとめ、一般の方々に提供するイベント)の会場でもある斎館の厨房を見学。当日をイメージしながら、厨房のレイアウトや設備を確認した。その後、夕食では、出羽三山に伝わる精進料理を味わった。

精進料理には、さまざまな素材を肉や魚にみせかける「もどき」料理のイメージがあるが、出羽三山一帯に伝わる精進料理は、一風変わっている。料理長の伊藤新吉氏によれば、その昔、山岳信仰の聖地、出羽三山で修行する山伏たちは、野山で採取した山菜や茸などを生のまま口にしていたという。そこへ京都の精進料理の技法が伝播し、火を通す調理法や塩漬けの技法が広まることで、独自の精進料理が生まれることに。

「今日は料理人のみなさんがお召し上がりになるということで、あえて、同じ山菜を別の調理法で仕立てた2品ご用意させていただきました。調理法による素材の変化を味わっていただけたら幸いです」と伊藤氏。CLUB REDのメンバーは、じっくり精進料理を味わい、その後、鶴岡の料理人と酒を酌み交わしながら、料理談義で盛り上がり親交を深めていた。

野菜のつくり手と語らい
滋味あふれる一汁三菜を味わう

翌13日早朝。「日本博×CLUB RED」の成功を祈願して、神社を参拝。朝食後に斎館の塩蔵貯蔵庫を見学し、山菜などの保存法を学んだ一行は、次に「野菜農場叶野(かのう)」のニンジン畑を視察した。叶野幸喜氏から鶴岡の風土にあった土づくりや輪作の効果について学んだ。

次に家族で在来品種、宝谷カブの種を守る畑山家を訪問。古い森林を伐採し、焼畑した土手の斜面で作る宝谷カブは地元でも貴重とあって、料理人たちは興味津々。次々に斜面へ降りて宝谷カブを引き抜くと、泥を落としてかぶりつき、その野性味を堪能した。

昼食は、農家民宿「知憩軒(ちけいけん)」のレストランで。店の畑で採れた野菜や地元の食材で作る一汁三菜は、素材を生かした必要最低限の味付け。古き良き田舎の風情漂う店内で、ゆったりと食事を楽しんだ。

日本の食文化の未来のために
熱い議論を交わす

昼食の前後に、地元の直売所で採れたての地場野菜や果物を買い込んだ料理人たちは、鶴岡駅前の会議室へ。今回の視察を終えた感想を述べ合った。
「海、山、川、平野があると聞いていたが、実際に来てみて、鶴岡は本当に食材が豊かな土地と感じた」、「“利益云々ではなく、宝谷カブのような在来種を伝えること自体に意味がある”という畑山さんの言葉に土地への愛を感じた」、「精進料理の食文化や塩蔵技術のような昔の知恵を伝えることは、サステナブルな食文化の育成にもつながるのではないか」などの意見も。

こうした感想をもとに「日本博×CLUB RED」に向けて、どんなコース料理にするか、その中身についての検討においても、最後まで熱い議論が続いた。やはり東北出身の料理人たちが集っただけあり、「東北全体が過疎化に悩んでいる。このイベントを足がかりに、東北全体を盛り上げていきたい」、「立ち上がったばかりのプロジェクトに最初から参加させてもらえるなんて、とても貴重な機会。なんとしても成功させて東北に恩返ししたい」など、故郷への想いがあふれる場面も。
会議が終わったところへ、前日視察した三井農場の三井朗氏が精肉したばかりの庄内鴨をお土産に差し入れ、一同は大喜び。

こうして「Labo#2 ~探訪の会~」は和やかな雰囲気のなかで幕を閉じた。「Labo#3」は11月中旬。2月のイベントに向けた料理の試作と試食会が開催される。次回のレポートでは、この模様をお届けする予定だ。引き続き、若き料理人たちの奮闘に注目していきたい。

日本博×CLUB RED Labo#2 ~探訪の会~
鶴岡市ツアー行程

1日目 10月12日(月)
・庄内鴨「三井農場」視察
・「鼠ケ関港」水揚げ見学
・「羽黒山参籠所 斎館」視察
・精進料理食事、食材勉強会、懇親会

2日目 10月13日(火)
・「出羽神社(三神合祭殿)」参拝
・「羽黒山参籠所 斎館」精進料理朝食
・「羽黒山参籠所 斎館」内の塩蔵貯蔵庫視察
・野菜畑「野菜農場 叶野」視察
・畑山家の「宝谷カブ畑」視察
・産直館「産直あぐり」視察
・郷土料理「知憩軒」食事
・産直館「もんとあ〜る白山店」視察
・ディスカッション

▶︎ 過去の記事はこちら
【日本博×CLUB RED Labo#1】郷土料理を、若手精鋭料理人が学び、創り、発信する!新プロジェクトがスタート

※About
日本博 Japan Cultural Expo 縄文から現代まで続く「日本の美」
「日本博」は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、総合テーマ「日本人と自然」の下、日本全国で日本の文化芸術に流れる「日本の美」を国内外へ発信し、次世代に伝えることで更なる未来を創生を目指す文化芸術の祭典です。日本各地で行われる日本博が、人々の交流を促して感動を呼び起こし、世界の多様性の尊重、普遍性の共有、平和の祈りへとつながることを希求します。
主催:文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会
https://japanculturalexpo.bunka.go.jp

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