RED U-35RED U-35

メニュー

RED U-35 10th ANNIVERSARY AFTER EVENT「ファイナリストの饗宴 ―能登と紡ぐ食の希望―」開催

レポート 2024.06.06

2024年5月21日(火)、東京ミッドタウン日比谷6Fにある「DRAWING HOUSE HIBIYA」にて、「RED U-35 2023」ファイナリスト5名による特別コースをふるまうアフターイベントが開催された。

「RED U-35 2023」のファイナリストが再集結!5人で完成させた1日限りの特別コース

この「ファイナリストの饗宴 ―能登と紡ぐ食の希望―」は、RED U-35の10回目の開催を記念したイベントであるのと同時に、参加費の一部が令和6年能登半島地震の復興支援金として活用されるチャリティイベントでもある。

この日は、第一部と第二部の2回にわたり5名が1チームになって「能登と紡ぐ食の希望」をテーマにした特別ランチコースを提供。今年2月に最終審査が行われたのと同じ会場で、今度は全員で協力し合い、それぞれの能登への想いを表現したスペシャルメニューを完成させた。

一皿に5人それぞれの想いと未来への希望を込めて

今回で10回目の開催となった「RED U-35 2023」では、応募者335名の中から書類審査、映像審査、オンライン面談を経てファイナリストとして5名の料理人が最終審査に臨んだ。

前回大会の最終審査では、ファイナリスト全員で一つのコース料理を完成させることが課題となっていた。一方、今回の最終審査ではテーマに沿った料理を1人1プレートで表現するという内容に変化。そのため、ファイナリストたちにとってこの日は、5名で一つのコースを作り上げる初めての機会。会場には先着順で申し込みのあった各回30名の参加者が集まった。

アミューズ「結い目」

まず一皿目は「結い目」と名付けられたアミューズ。5名それぞれが担当した小さな前菜の盛り合わせだ。

※写真左から順に
「ホヤ パッション」
担当:清藤洸希さん(東京都墨田区「枯朽」)
パッションが香るファーブルトンの上に、ホヤとパイマックル(コブミカン)のサラダ、中国の紅茶の茶葉、能登の魚醤「いしり」のあえものを乗せたフィンガーフード。

「蕗の薹 山独活」
担当:穴沢涼太さん(新潟県南魚沼市「里山十帖」)
能登島にある陶房独歩炎の土鍋で炊き上げたご飯に、蕗の薹、山独活、蕗などの山菜、佐渡の本鱒を合わせた、山と海の恵みを味わう手毬ずし。

「甘海老 天草」
担当:黒川恭平さん(石川県七尾市「レストラン ブロッサム」)
色鮮やかな甘海老を天草の透明なシートで包み、幼少期から身近にあった海、その透き通る海で泳ぐエビを思い描いた一品。

「仔牛 蕪」
担当:山本結以さん(東京都中央区「ESqUISSE」)
2ヶ月間熟成させた能登たんぽぽファームの仔牛の塩漬けに、RED U-35 2023の最終審査でも使用した蜂蜜、味噌、蕪を合わせて。

「能登葛 白山胡桃」
担当:西山優介さん(石川県金沢市「respiracion」)
朴葉で巻かれているのは、能登の葛と白山胡桃を使った胡桃豆腐。胡桃の殻、大豆、京都の白味噌を煮詰めた別添えのソースをお好みで。

前菜「開花」

RED U-35開催以来、初めて女性でグランプリに輝いた山本結以さんが手がけた前菜は、全てのメイン食材が能登産。赤イカは昆布締めに、加賀太胡瓜は味噌とフロマージュブランでマリネしたものと、桂むきにしてから胡瓜ジュースでマリネしたもの、2種類の調理法を用いている。八朔とハーブのマヨネーズの爽やかな酸味をアクセントに、ソースにはトマトと貝と白ワインのジュレを用いた。赤イカは能登の漁師の中田洋助さんから届いたもの、加賀太胡瓜とトマトは高農園、ハーブや花は能登あんがとう農園のものを使用。

「自ら被災して大変な状況の中でも漁に出て『ESqUISSE』に魚を卸し続けてくれた漁師の中田洋助さんや、畑が大きな被害を受けて『希望通りの日にちに発送できないのが申し訳ない』と言ってくれたNOTO高農園の高さん。私にできることは、そのような方たちから届いた食材を愛情をもって扱い、感謝をすること、能登への想いをここで開花させたい」と、山本さん 。

前菜「未来へ」

続くもう一品の前菜は、RED U-35 2023で準グランプリを獲得した西山優介さんが最終審査で作った「稗(ひえ)ずし」を西山さんなりに解釈したという一品。稗ずしとは、宮崎県に古くから伝わる郷土料理で、能登猪の出汁をベースに稗、大豆、自身の地元である京都の一休寺納豆、煎茶を使用。仕上げには能登の高農園から届いた杉の葉で作った爽やかなオイルを添えた。シンプルな見た目に対して味わいはしっかりと力強く、最終審査では見事に審査員たちの心を動かした。

「この料理は、先人たちの歴史や苦労、今を生き次世代へを受け継ぐ職人や農家さんたちの思いを知ってほしいと考えて作ったものです。今回ぜひ皆さんにも味わっていただきたいと思いました」と、西山さん。

魚料理「逆波(さかなみ)」

清藤洸希さんが担当した魚料理は、自らオーナーシェフを務める「枯朽」のアイコン的な食材でもある「うきは茶」と、能登で採れた天然の海藻、自身の地元・九州から届く平鱸(ヒラスズキ)を合わせた一品。水面下に潜む岩のようなビジュアルは、もずくやうきは茶の衣をまとわせフリットにした平鱸だ。

「うきは茶のオイルを絡めた数種類の海藻の上に乗せることで、薄暗く危険な岩場を彷彿させながらも、ナイフを入れれば白く輝く平鱸が顔を出します。まだまだ続く困難な状況の中にも、希望が存在していることを表現した一皿です」と、清藤さんは語る。

肉料理「恩恵」

「大きな震災があっても残ってくれた山や海、自然の恵みへの感謝はより深くなりました。そして最終審査で一緒になったメンバーが、これだけ料理に能登への想いを込めてくれたことへの感謝を表現しました」と語る黒川恭平さんが担当したのは肉料理。

ファイナルでも提供した能登牛のハンバーグだ。能登牛は1日に75リットルの水を必要とするが、震災によって水が絶たれた上、道路の寸断により出荷もできない状況にあったという。「そんな中でも懸命な水汲みによって被害は最小限に抑えられ、繋がれた能登牛の命の恵みへの敬意と、次世代へ明るい未来を繋いでいくという希望と決意を込めました」と黒川さん。

最終審査では父から受け継いだハンバーグを自分なりにプラッシュアップし、薪の匂いをまとわせることにこだわった。付け合わせにはキハダの実を混ぜ込んだ能登島の赤土じゃがいものグラタン、天然クレソンのソースと初夏の野菜を選んだ。

デザート「感謝」

ラストを飾るのは穴沢涼太さんが担当するデザート。メイン食材は能登にある牧場「ラトリエ ドゥ ノト」のミルクを使ったアイスクリーム。そこに高農園のハーブや花、能登町赤崎のイチゴの実と葉も使用。日頃「里山十帖」で料理人をしている穴沢さんは、もともと製菓出身。里山料理で腕を磨いた技術も取り入れながら、能登の食材をふんだんに使った一皿が完成した。

「生産者の方たちが今回のイベントのために快く食材を用意してくださり、自身が困難な状況でも、地域のため、私たち料理人やお客様のために動き続けてくださる姿に頭が上がりません。シンプルですが、食材への感謝の思いと復興への願いを込めたデザートです」と穴沢さん。


新時代を切り拓く若き才能の発掘を掲げるRED U-35。その第10回の節目を記念した1日限りのスペシャル企画として実施された今回の特別ランチ。最終審査から約3ヶ月を経て再び集結した5名のファイナリストたちは、このイベントを通して能登への想いとさらなる絆を深めたことだろう。

また今後、RED U-35でブロンズエッグ以上の優秀な成績をおさめた料理人と歴代の審査員が集うコミュニティ「CLUB RED」メンバーとしての活躍にも注目だ。

RED U-35 2024のエントリーもいよいよスタート。「食で未来と世界を変えたい」と本気で信じて挑む、才能あふれる若き料理人たちとの出会いに期待したい。

関連するシェフ

SHARE

TEAM OF RED PROJECT

RED U-35 2024

ORGANIZERS主催
SUPPORTERS
WE SUPPORT