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Report|RED U-35 2023 ゴールドエッグ5名が決定!

RED U-35 2023 2024.02.07

新たな時代を切り拓く“食のクリエイター”を発掘する、日本最大級の若手料理人コンペティション「RED U-35」。今やレストランシーンのフロントランナーとして活躍する個性豊かな数々の才能を見出してきた同大会も今年度で第10回の開催を迎えた。

「RED U-35 2023」の応募テーマは、「2030年のお子様ランチ ~未来をつくるこどもたちに贈る料理~」。未来の子どもたちに何を伝えるのか--若手料理人にとって次世代への継承を意識させる難題に挑んだ応募者は国内外合わせて335名。一次審査を通過したブロンズエッグ50名のうち20代が半数を占める25名(大会史上最多)となるなど、新世代の台頭を予感させる結果になった。

記念すべき大会は、いよいよ2024年2月15日(木)に開催されるファイナルを残すのみとなった。その前に、ゴールドエッグ5名のこれまでの戦いぶりを振り返るべく、「2030年のお子様ランチ ~未来をつくるこどもたちに贈る料理~」をテーマとした一次審査、そして同テーマによる二次審査(映像審査)を突破したシルバーエッグ20名が挑んだ1月17日(水)開催のオンライン三次審査をレポートする。

日頃の問題意識が問われたグループディスカッション

三次審査は、グループディスカッションからスタート。シルバーエッグ20名はエントリーナンバー順に10名ずつの2グループに分けられ、テーマに沿って30分間自由に討論。テーマは「CLUB REDでやりたいこと CLUB REDだからできること」である。それぞれCLUB RED(「RED U-35」で優秀な成績をおさめた若手料理人と、歴代の審査員が集う食のクリエイティブ・ラボのこと)の一員となる自身を想像しながら、活発な意見の交換が行われた。

たとえば、今大会の応募テーマに沿った、未来を担う子どもたちを対象とした体験型イベントの提案や、アレルギー対応のメニュー開発など、さまざまなアイデアが披露された。瞬発力が求められるディスカッションにおいて顕著となったのは、各自の経験値と日頃の問題意識。審査員が注目していたのも、その点だろう。

なかでもとりわけ大きなトピックとなったのは、2024年1月1日(月)に発生した能登半島地震の支援についてである。被災地において料理人にできることがあるとすれば、それは何か--そんな議論をリードしたのは、被災地で炊き出しなどのボランティア活動を続ける黒川恭平氏である。「断水による水不足や、十分な物資が届かない現状では、できることが限られている。長期的な視野に立ち、復興を支えていきたい」という現地の状況を知る者らしい重みのある言葉に、一同大きく頷く場面も。すぐれたアイデアをもつ料理人同士の交流によって切り拓かれる食の大きな可能性に、審査員は大きな期待を抱いたはずだ。

秘めたるポテンシャルに注目

グループディスカッションを終えた彼らは審査員たちとの面談へ。与えられた時間は自己PR1分、審査員との質疑応答6分の計7分である。限られた時間で最大限に自己をアピールしようと奮闘する挑戦者の、鬼気迫る表情に相対する審査員たちの眼差しも真剣そのもの。これまでの審査で見落とされてきたかも知れない挑戦者の隠された本質を見出そうと、審査員はいずれもさまざまな角度から質問を投げかけていた。なかには、「あなたにとってフランス料理とは?」など意表をつく質問に、万全の準備をしてきたであろう挑戦者が戸惑う場面も。彼らにとっては料理技術の研鑽のみならず、日頃の思考の成果が試される貴重な機会となったはずだ。

その結果、選ばれたゴールドエッグ5名は以下の通りである。

【RED U-35 2023 ゴールドエッグ(最終審査進出者)】
(氏名/年齢/専門ジャンル/所属先名/所在地・活動地/肩書・役職)
・穴沢 涼太(35歳) 日本料理 「里山十帖」 新潟県南魚沼市 料理人
・清藤 洸希(29歳) フランス料理 「枯朽」 東京都墨田区 オーナーシェフ
・黒川 恭平(35歳) 洋食 「レストラン ブロッサム」 石川県七尾市 シェフ
・西山 優介(28歳) 里山料理 「respiracion」 石川県金沢市 料理人
・山本 結以(29歳) フランス料理 「ESqUISSE」 東京都中央区 スーシェフ

※敬称略/五十音順
※年齢はゴールドエッグ発表日(2024年1月18日時点)

それでは、審査員との質疑応答における印象的なシーンを交えながら、ファイナルへと駒を進めたゴールドエッグの5名を紹介しよう。

地元の新潟県にある築150年の古民家ホテル「里山十帖」に所属する穴沢涼太氏が心がけるのは、日々山に入り食材を探す里山での経験を生かしつつ、情報が集積する都会の良さを取り入れること。君島佐和子氏から「これからのシェフは発信力も必要不可欠。どのような行動をすべきか?」という問いに対しては、「まずは正しい情報を発信すること。そのためにも、イベントやコラボレーションディナーなどを通して地元の人びととの繋がりをさらに深めていきたい」と熱く語った。

自店を「雑多な文化が交差する一つの“国”のようなもの」と表現するのは、2022年に東京・押上でフランス料理レストラン「枯朽」をオープンさせた清藤洸希氏だ。氏の目標は「世界のベストレストラン50」のランクインとミシュランの星獲得。「それらの目標を達成するための具体的なヴィジョンは?」という谷口英司氏からの質問には、「レストランという枠組みを超え新たな文化を生む発信地として広くアピールしていきたい。そのためにも、さらなる集客力や認知度のアップ、店のグレードアップが必要だと考えている」と、将来の具体的なヴィジョンを語った。

両親が経営する石川県七尾市の洋食店「レストラン ブロッサム」で料理長を務める黒川恭平氏は今、被災地での炊き出しを続けている。「『北陸チャリティーレストラン』でともに活動する谷口さんのように、能登の料理人たちが現地の希望の光になる。また客単価が低い店で働く僕がRED EGGを獲得することができれば、同じ立場の料理人の自信に繋がるはずだ」と、5度目の挑戦にかける強い決意をアピールしていた。

石川県金沢市にあるスペイン料理レストラン「respiracion」に所属する西山優介氏は、「山や森など自然と密接に繋がる職業に従事する北陸の人びととの大きな輪を広げながら活動をしたい」という夢を抱く。吉武広樹氏から「自分のレストランを開くなら、どんなものにしたいか?」と問われた氏は、「レストランではなく小さな宿を開きたい」と回答。「滞在時間の短いレストランではなく、自然のなかの暮らしを1日をとおしてじっくりと体験していただけるような宿にしたい」と、将来のプランを披露してみせた。

リオネル・ベカ氏が率いるフランス料理レストラン「ESqUISSE」のスーシェフ 山本結以氏は、ゴールドエッグ唯一の女性だ。君島佐和子氏より「厨房において、女性であることを意識せざるを得ないことはあるか?」と問われた山本氏は、「たしかに、性差について頭を悩ませたこともあった。しかし、シェフが『結以はひとりの料理人。たまたま女性であるだけだ』と言ってくれたとき、性別に捉われているのは自分自身なのだと気づいた。性別関係なく若い料理人が活躍できる環境を実現するためにも、女性である私がレッドエッグを獲得し広く社会にアピールしていきたい」と、力強く回答した。

勝負を決める未来に思いを馳せたひと皿

三次審査翌日の1月18日(木)、ゴールドエッグ選出の知らせを受け胸躍らせる選ばれし挑戦者に最後のミッションが明かされた。それは、「そして2050年、大人になる子どもたちに贈る料理」をつくることである。

応募テーマである「2030年のお子様ランチ ~未来をつくるこどもたちに贈る料理~」の20年後。つまり、大人になった2030年の子どもたちに対して、どんなメッセージを託すのか。ゴールドエッグの5名は、その想いをひと皿に表現。審査員による実食審査によってレッドエッグ(グランプリ)が選ばれる。

決戦の日は2月15日(木)。クライマックスに向けて邁進中の若き料理人たちから目が離せない。

text by Moji Company

🚩 RED U-35 2023 授賞セレモニー

出演:ゴールドエッグ5名、審査員団ほか
日時:2023年2月15日(木)19:30~20:30(予定)
配信:YouTubeライブ

RED U-35 2023
■ ORGANIZERS 主催:RED U-35実行委員会 株式会社ぐるなび
■ CO-ORGANIZER 共催:株式会社メルコグループ
■ PARTNER:ヤマサ醤油株式会社
■ SUPPORTERS:ヨシケイ開発株式会社 ミヨシ油脂株式会社 日本航空株式会社 エビスビール
■ CHEF SUPPORTERS:DRAWING HOUSE OF HIBIYA BAROOM
■ 後援:公益財団法人大阪観光局 農林水産省 文化庁 観光庁 山梨県

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