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【日本博×CLUB RED Labo #4】日本を旅するダイニング 〜東北を旅した若手料理人たちが考案。家庭でも楽しめる郷土料理アレンジレシピ〜

レポート 2021.03.19

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東北の郷土料理を現代風にアレンジ
家庭でもおいしく楽しめる簡単レシピ

「RED U-35」において優秀な成績をおさめた若手料理人と歴代の審査員が集うコミュニティである「CLUB RED」は、これまで食のクリエイティブ・ラボとしてさまざまな活動をしてきました。2020年9月より、文化庁と独立行政法人日本芸術文化振興会が主催する「日本博」の一環として、「日本博×CLUB RED 日本を旅するダイニングin 東北」と題し、郷土料理の魅力を発信するプロジェクトを展開。若手料理人たちが今回のプロジェクトを通じて再発見した東北の郷土料理や、自身の出身地の郷土料理をベースに、現代の家庭でもおいしく楽しめるレシピを開発しました。

およそ半年にわたるプロジェクト全体のレポートはコチラ

【レシピ紹介】

レシピ01 
成田陽平(青森県弘前市出身/日本料理/菊乃井本店<京都府>)
「がっぱら餅」

青森県津軽地方の一部で食べられていた郷土の甘味です。昔、衣服のアイロンがけに使われていた米糊を作る過程で残った糊かすを無駄にしないために生まれたのが糊かすもち。これを焼く時に焼き鍋に“がぱっ”と移す所作から、「がっぱら餅」と呼ばれるようになったそうです。ものを大切にする心、もったいない精神から出来たお菓子と言えるでしょう。僕が小さい頃、おやつがない時に祖母が残ったご飯でよく作ってくれた思い出の味でもあります。ホットケーキのようなイメージで簡単に作れますので、お子さんがいる家庭でもぜひトライしてみてください。


調理時間目安:20分
分量:6~8人分
材料:
ごはん 300g
きび糖 80g
小麦粉 70g
牛乳 70cc 全卵 1個
黒胡麻 6g
塩2つまみ
サラダ油(菜種油、米油、太白ごま油いずれも可)15cc
バター15g

作り方:
1.ボウルにバター以外の食材を全て入れ、ダマにならないように気をつけながらさっくりと混ぜ合わせる。
2.フッ素加工のフライパンを火にかけ、❶を流し入れる。
3.蓋をして弱火で6分ほど焼く。薄いきつね色になったら裏返し蓋をしてさらに6分ほど焼く。
4.もう片方の面が薄いきつね色になったら、鍋肌からバターを入れる。フライパンを軽く揺すりながら、濃いめのきつね色に仕上げる。裏返してもう片方の面も濃いめのきつね色に仕上げる。
5.まな板に移して切り分ける。
6.お好みであんこやきな粉を添える。
*中に入れる具材を栗、くるみ、甘納豆、かぼちゃのピューレなど好みのものに変えてもOKです。

レシピ02
酒井 研野(青森県黒石市出身/日本料理/日本料理 研野<京都府>)
「魚介入りダシ」
北海道の郷土料理「松前漬け」と、山形県の郷土料理「だし」の二つの料理をミックス。いずれも白ご飯のお供である両者の長所を掛け合わせてみました。家庭でも簡単に作れて、保存も可能なので、常備菜にもぴったりの一品です。多彩な食感をお楽しみください。
調理時間の目安:40分
分量:4人分
材料:
胡瓜 200g 目安2本
茄子 250g 目安2本
切り干し大根 40g
茗荷 3本
がごめ昆布20g
スルメ 20g
かずのこ 2本
しょっつる 15cc
濃口醤油 60cc
酒 45cc
味醂 45cc
砂糖 25g
鷹の爪 2本
白ごま 適量

作り方:
1.胡瓜、茄子はそれぞれ5㎝長さ3㎜幅にカット。軽く塩をふり15分ほどおき、水気をよく絞る。
2.茗荷は縦半分に切り、千切りにする。
3.切り干し大根は、水に5分漬け戻しハサミで5㎝の長さにカットする。
4.昆布、スルメも5㎝の長さにカットして、水にくぐらせ、ザルにあげ10分おき、柔らかくする。
5.鍋に調味料、鷹の爪を入れ一煮立ちさせたら、火を止めて冷ます。
6.すべての材料を混ぜ合わせる。
*冷蔵庫で1週間ほど保存が可能ですので、できたては和え物として、数日経ち味が馴染めば白ご飯がすすむ一品としてお楽しみいただけます。合わせ調味料の量を調節して、好みの味に仕上げてみてください。

 レシピ03
福嶋 拓(山形県米沢市出身/中国料理/chinois蓮歩<埼玉県>)
「中華風春の芋煮 」
山形の米沢地方でも食べられる醤油ベースの牛肉入り芋煮をアレンジした一品です。山形の芋煮は秋に食べられことが多い郷土料理ですが、それ以外の季節でも楽しんでいただけるように、春の食材と組み合わせ、里芋の澱粉質を利用して春巻きの具材にしてみました。
調理時間の目安:30分
分量:5人分
材料:
里芋(細切り) 120g
牛肉(小間切れ) 50g
椎茸(細切り)30g
蒟蒻(細切り)30g
牛蒡(ささがき)30g
菜の花(1cm幅)50g
葱(細切り)15g
生姜(細切り)5g
春巻き皮 5枚
小麦粉・水 適量
昆布水 120cc
醤油 大さじ1.5
上白糖 小さじ0.5
みりん 大さじ1
胡麻油 小さじ1

作り方:
1.フライパンに分量外のサラダ油を入れ牛肉を炒め、火が通ったら一度取り出す。
2.❶のフライパンで牛蒡を炒め、しんなりしたら葱、生姜、椎茸、蒟蒻を順番に入れ、胡麻油以外の調味料を入れる。
3.❷の具材に火が通ったら、❶の牛肉と予め柔らかくしておいた里芋を入れる。
4.中火で約3分ほど煮たら強火にして、里芋がトロトロになり水分がなくなるまで煮切り、胡麻油を入れバットに入れて冷やす。
5.菜の花は別のフライパンで炒めて粗熱をとる。適量の塩と辛子で味をつける。
6.春巻きの皮に❹を50g、❺を10g入れて巻き小麦粉と水で作ったのりでとめる。
7.❻を180℃の油で皮がきつね色になる
まで揚げ、しっかりと油をきり、カットして皿に盛り付けて完成。

レシピ04
早川 光(秋田県鹿角市出身/イタリア料理/XEX 東京 Salvatore Cuomo Bros.<東京都>)
「秋田名物 だまこ鍋をイタリアン風に あきたこまちのニョッキ」

秋田県の名物としてほとんどの方が思い浮かべる「きりたんぽ鍋」と、今回のレシピのベースになった「だまこ鍋」との違いは、米の形状のみ。実家ではきりたんぽ鍋より、作りやすいだまこ鍋をよく作っていました。小さいころ祖母と一緒に作ったのを覚えています。その思い出深い郷土料理を自分が学んできたイタリア料理として再構築しました。
調理時間の目安:40分
分量:1人分
材料:
比内地鶏もも(違う鶏もも肉 可)120g
あきたこまち(炊いて残ったもの、違う米でも可)60g
ごぼう15g
舞茸 20g
せり15g
塩 2g
鶏ガラスープの素 2g
水 80g
醤油 3g
バター 15g
胡椒 0.5g
パルミジャーノチーズパウダー 10g
ピュアオリーブオイル 15g

作り方:
1.炊いて残ったごはんをラップに包み電子レンジで柔らかくなるまで温める。ボウルに移し塩を加え、すりこぎまたはめん棒などで粒が少し残るくらいにすりつぶしたものを、水をつけた手で10gの団子状に丸める。
2.鶏ももに塩胡椒をして皮目を下にしてフライパンで中弱火でソテーする。皮がカリカリになったら、返して20秒ほどソテーする。5分程休ませ一口大に肉をカットする。(中は半生の状態)
3.ごぼうはささがきにして水に10分程さらし、舞茸とせりは一口小にカットする。
4.フライパンに水、鶏がらスープの素、醤油を入れ溶かしたところにささがきごぼう、比内地鶏、舞茸、あきたこまちのニョッキを入れ具材に火を通す。
5.水分が少なくなってきたらバター、胡椒、せりを入れバターが溶けるまで和える。
6.お皿に盛り付け、パルミジャーノチーズをかける。

レシピ05
廣川 拓渡(新潟県新発田市出身/フランス料理/イーストギャラリー<東京都>)
「こづゆのラビオリ仕立て 柚子とベーコンの香り」
日本各地でハレの日に作られる郷土の煮物は、材料や味わいにその土地独自の特色があり、どの地方でも故郷の味として親しまれています。その中でも干し貝柱や野菜の旨味が詰まった汁が特徴の福島会津の郷土料理「こづゆ」をアレンジ。前日などに作りすぎて余った「こづゆ」を活用するためのレシピでもあります。しっかりとダシの効いたスープ、具材の食感を活かしてラビオリ仕立てに仕上げました。
調理時間の目安:60分
分量:4人分
材料:
干し貝柱 4個
干し椎茸 2枚
糸こんにゃく 50g
乾燥キクラゲ 5g
人参 1/5本
里芋 2個
玉麩 10g
醤油 大さじ1.5
塩 小さじ0.5
酒 30cc
豚挽き肉 100g
水餃子の皮 20枚
片栗粉 10g
食用菊(紫、黄) 適量
柚子の皮 1/5個
ベーコン 棒切り 20g

作り方:
1.干し貝柱と干し椎茸を300㏄の水に半日ほど漬けておく。乾燥キクラゲを水で戻す(前日でも可)。
2.糸こんにゃくは4㎝ほどの長さに、人参と里芋は皮を剥き小さめの角切りにする。❶の椎茸を角切りに、貝柱を手でほぐし、戻し汁を鍋に入れる。
3.鍋にコンニャクと野菜を固いものから入れ、串が通るくらいになるまで煮る。野菜に火が通ったら椎茸、貝柱、調味料を加えて味を調え、玉麩を入れる。
4.❸の冷ました物を具とスープに分け、ボウルに具と豚挽き肉とスープを10㏄、片栗粉を足しよく混ぜる。
5.餃子の皮で具を12gずつ包む、半分に折って包んだら両端をつけて丸める。
6.ベーコンをフライパンで軽くソテーする。柚子は皮を千切りにする。菊はさっと茹でて水気を切る。
7.ラビオリを茹で、温めたスープとともに皿に盛り、ベーコン、柚子、菊、オリーブオイルを加えて仕上げる。

レシピ06
菅田 幹郎(岩手県遠野市出身/イタリア料理/おのひづめ<岩手県>)
「コーヒー牛乳がんづき」
岩手県の郷土料理「がんづき」は、私の暮らす土地では「コビル(コビリ)」とも呼ばれる、農作業の合間に食べられる蒸しパンです。オーブンなどがなくても作れる、手軽なおやつです。しかし、最近はがんづきを作れる若い人も少なくなってきています。このレシピは、これからも地域の人々に愛されるお菓子として根付いていくことを願って考案したもの。食材は入手しやすいものばかりですし、混ぜて蒸すだけなので作り方も簡単です。みなさん独自のアレンジでぜひ作ってみてください。
調理時間の目安:30分
分量:4人分
材料
a小麦 100g
a上白糖 70g
a 重曹 5g
b 牛乳 70cc
b コーヒーリキュール 50g
b オリーブオイル 10g
b 酢 50g
b 醤油 5g
c 牛乳 200cc
c ヨーグルト 50g
c グラニュー糖 20g
c 塩 3g

作り方:
1.aをボウルに合わせる。
2.bをボウルに合わせる。
3.❶と❷を混ぜ合わせる。
4.耐熱容器や型に流し込む。
※蒸し器に入るサイズであれば形は問わない
5.❹の型を蒸し器に入れて蓋をして強火で10分蒸す。
6.弱火にしてさらに20分蒸したら、がんづきは完成。
7.cを鍋に合わせ、沸騰しないように温める。ボウルに移し、冷凍庫にてホイッパーでかき混ぜながら凍らせ、ジェラートを作る。出来たら盛り付けて完成。
*市販のアイスを乗せるだけでも良い

いずれも家庭で再現しやすいレシピですので、ぜひ挑戦してみてください。 郷土料理の魅力を未来に伝えるべく彼らが導き出した答えの一端を感じていただければと思います。

▶︎ 過去の記事はこちら
【日本博×CLUB RED Labo#1】郷土料理を、若手精鋭料理人が学び、創り、発信する!新プロジェクトがスタート
【日本博×CLUB RED Labo#2】舞台は山形県鶴岡市へ! 食材のユートピアで日本の食文化を学ぶ
【日本博×CLUB RED Labo #3】鶴岡での学びを生かし、郷土の食文化をコース料理として再構築! 本番に向けた試作・試食会をレポート

▶︎ イベント開催概要はこちら
日本博×CLUB RED 日本を旅するダイニング in 東北

※About
日本博 Japan Cultural Expo 縄文から現代まで続く「日本の美」
「日本博」は、総合テーマ「日本人と自然」の下、日本全国で日本の文化芸術に流れる「日本の美」を国内外へ発信し、次世代に伝えることで更なる未来を創生を目指す文化芸術の祭典です。日本各地で行われる日本博が、人々の交流を促して感動を呼び起こし、世界の多様性の尊重、普遍性の共有、平和の祈りへとつながることを希求します。
主催:文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会
https://japanculturalexpo.bunka.go.jp

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