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【高知県×CLUB RED ♯2】レポート|オンライン中継初開催!高知県の食材と食文化を学ぶ「オンライン産地見学会」~後編~

レポート 2022.01.28

高知県の食を学び、創造し、発信する「高知県×CLUB RED」
生産者と料理人をつなぐ「オンライン産地見学会」を開催

2021年10月20日、高知県の県産品を学び理解を深めるため、料理人20名が全国から大阪に集結し、高知県の食を学ぶラボ「オンライン産地見学会」を実施しました。
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高知県へ訪問し実施する予定だったすべての産地見学を、新型コロナウイルス感染症の影響によりオンライン中継で実施。大阪と高知をオンラインでつなぎ、高知県内の生産者・事業者がCLUB REDの料理人たちに食材についての魅力や知識、高知の食文化について、生産者や専門家が料理人たちにレクチャーしました。
長時間にわたる「オンライン産地見学会」では、郷土の飲食を学ぶセミナーも開催されました。

講演① 土佐酒セミナー「土佐の風土と土佐酒のSTORY」

高知県酒造組合組合長、司牡丹四代目蔵元・竹村昭彦氏が、高知県の日本酒と食文化について高知県から中継で講演。大阪会場には、講演を聞きながら試飲できるよう、土佐酒18銘柄が準備されました。
*以下は講演の概要です。

風土のストーリーから始めましょう。高知県は鮮度抜群の山川海の幸に日本一恵まれた県です。
日本一の森林比率、降水量も多く日照時間も長いので山の幸が大変豊富。清流に恵まれ、降水量も多く日照時間も長く、川の幸が豊富。長い海岸線、黒潮が最初にぶつかる足摺岬さらに大月町柏島の周辺海域は1000種類を超えるという日本一の魚種で海の幸が豊富。
さらに、園芸王国として知られ、カツオとだし文化、原産品種が日本一を誇る畜産物など、高知県には豊かな食文化があります。
そして食を引き立てる日本一旨い辛口の土佐酒と、独特の「おきゃく文化」「なかま文化」をベースとした楽しい宴会。「おきゃく」というのは宴席のことで、「なかま」は同士の意味と、共有するという二つの意味があります。
高知県では、宴席だけでなく酒造りのレベル向上のため、技術も共有。高知県酒造組合18社すべてのデータを高知県工業技術センターがチェックし、全データを全蔵で共有しています。

平成に入り、高知県は県産米の開発、県産酵母の開発、発酵技術の共有などにより、既に有名ブランドであった銘柄以外も全体が年々レベルアップ、多くの品評会や鑑評会コンテストで入賞や金賞の常連となっています。2016年には産官学連携組織と酒振興プラットフォームができ上がり、土佐酒の認知度の向上、原料となる高知県産酒米の生産振興に努めています。
コロナ禍の2020年4月には、高知県酒造組合がオンライン酒場「酔うちゅう部」をスタート。「酔うちゅう」とは酔っているという意味の土佐弁で、YouTubeではありません(笑)
日本酒の未来については、国内消費は厳しいものがありますが、輸出は国の政策などの後押しなどもあり、未来は大変明るく、世界の酒日本酒となる日も近いと考えられます。

ここまで急いでお話をしてきましたが、なぜ急いだかというと試飲されているお酒の説明をしたかったからです。
資料にあります、土佐酒造桂月の純米大吟醸50と、亀井泉純米吟醸原酒のCEL酵母は高知県産の酵母です。カプロン酸エチルというデリシャスりんごのような香りの吟醸酒は、日本酒が苦手な方におすすめです。日本料理には合わせにくいので、和食店では1杯目の乾杯か、最後のデザート。土佐酒は淡麗辛口と言いましたが、これらは例外です。
大吟醸酒は、香りを味わうためにワイングラスタイプで出していただくと、よりお客様に感動を与えることができます。試飲していただいた日本酒の流通ルートなどについては、どうぞご相談ください。
質疑応答では、お店で土佐酒を扱っている濱多シェフが「料理と合わせる上で、酸味に注目しています。アリサワさんは酸味や旨味のバランスが取れているという印象です」と発言。これに対して竹村氏から「高知の淡麗辛口は、新潟の淡麗辛口と違って酸がある点が個性だと思います」とのコメントがありました。

講演② 郷土料理セミナー「高知の食文化」

RKC調理製菓専門学校常任顧問、土佐伝統食研究会に所属し、土佐寿司盛り上げる会の代表でもある三谷英子氏が高知から中継で講演。たくさんの食材や郷土料理が写真とともに紹介されました。
*以下は講演の概要です。

高知の郷土料理の特徴は、素材の持ち味を生かす食べ方が多いということです。食材に力があるのでシンプルな食べ方が多いと言えるかもしれません。
高知でよく使われる香酸柑橘類は、酢みかんとも呼びますが、香りや酸味が強く、果肉を食べるより、薬味や風味づけなど料理に用いられることが多い柑橘類のことです。高知県では、仏手柑(ブシュカン)や橙、カボス、スダチなどさまざまな柑橘類がとれます。
高知県の宴席「おきゃく」に欠かせない皿鉢料理は、刺身を盛った「生」と、寿司や会席料理を盛った「組みもの」、この二皿が基本で、さらに別の料理や甘いものまで、大皿に盛って供します。
高知は寿司文化と言えるほど、多種多様な寿司があります。姿ずし、押しずし、巻きずし、詰めずしなど、全部で30品目くらいあると思います。さらに高知県は郷土寿司大国であり、すし飯に柑橘類を使う土佐寿司、米を使わないおから寿司もあります。土佐田舎寿司は、山の幸をメインに旬の食材を使った複数種類の寿司の組み合わせです。

さて、カツオのたたきの歴史はあまり定かではありません。
慶長年間の最古の記録にある「鰹たたき」とは酒盗のことだと考えられています。醤油が流通していなかった頃は調味料として使われていたようです。現在のたたきは明治26(1893)年までに出現、発祥はおそらく土佐清水だろうと言われています。
高知でたたきにするのはカツオだけでなく、魚介類はウツボ、アジ、タイ、イサキ、サンマ、マグロ、サバなど何でも。野菜類はかぼちゃ、なす、しいたけ、肉類なら鶏肉、馬肉、牛肉もたたきにします。

高知県の伝統作物には、牧野野菜があります。植物学者の牧野富太郎博士から指示を受けた弟子たちが伝統作物を調査、50種以上が確認されました。現在は、入河内大根、田村カブ、広岡カブ、十市なす、潮江菜(うしおえな)、八升豆(ムクナ豆)、大豆(ハチマキ)などが作られています。
高知県は生姜の生産量日本一を誇っていまして、使い方はスイーツからドリンク本当にいろいろありますが、意外とおいしいのが生姜の天ぷらです。

土佐三大銘茶は、碁石茶、大抜茶、六蔵茶。なかでも大豊町の碁石茶は、二度発酵させて作る、独特な香りのお茶です。生産者の高齢化もあり、みんなで受け継いでいかなければなりません。
郷土料理は身近な産物をいかにおいしく食べるかを先人が一生懸命考えた結果です。今日は一部ですが、ご紹介させていただきました。シェフの皆さんにいいアイデアを出していただけると、とても嬉しく思います。

高知県の食を学ぶラボ「オンライン産地見学会」は7時間にわたり、たいへん充実した1日となりました。
セミナー後の大阪会場では、コックコートに着替えたシェフたちが懇親会の準備をスタート。グループごとに、提供いただいた食材を使って調理をしながら、今後の活動について話し合う姿がありました。
懇親会を経て、コミュニケーションを深めたことで、グループごとに進めるメニューの開発が円滑に進んでいくことでしょう。

「高知県×CLUB RED」に参加するCLUB REDの若手料理人たち

■グループA[カテゴリー:流通拡大につながる取り組み]
波多江優貴(フランス料理/ララシャンス迎賓館大分/大分県)福岡県出身
早川光(イタリア料理/XEX 東京 Salvatore Cuomo Bros./東京都)秋田県出身
高木和也(フランス料理/ars/東京都)千葉県出身
酒井研野(日本料理/日本料理 研野/京都府)青森県出身
江口直樹(日本料理/懐石料理 紀仙/東京都)東京都出身

■フループB[カテゴリー:SDGs]
八濱貴将(イタリア料理/リストランテ ラッフィナート/兵庫県)兵庫県出身
立岩幸四郎(中国料理/Wakiya一笑美茶樓/東京都)兵庫県出身
新開才也(フランス料理/プルミエレタージュ/東京都)東京都出身
白竹俊貴(フランス料理/PERTICA/大阪府)兵庫県出身
新崎鉄城(スペイン料理/TexturA/東京都)沖縄県出身

■グループC[カテゴリー:食材・料理の付加価値]
西山晋(フランス料理/ボンヴィラージュ・オゼ/大阪府)大阪府出身
濱多雄太(日本料理/浜多屋 魚津駅前店 hamadaya LABO/富山県)富山県出身
盛山貴行(日本料理/粲 s.l.m/東京都)東京都出身
土肥秀幸(フランス料理/la Maison de GRACIANI KOBE KITANO/兵庫県)福井県出身
青木伸吉(フランス料理/Bistro and A/大阪府)大阪府出身

■グループD[カテゴリー:高知ブランド発信]
花田洋平(中国料理/ANAクラウンプラザホテル大阪 中国料理 花梨/大阪府)和歌山県出身
藤崎亮平(イタリア料理/SALVATORE CUOMO/東京都)佐賀県出身
武本南(フランス料理/北野嘉也事務所 ゲストハウス/東京都)宮崎県出身
朴木祐人(中国料理/の弥七/東京都)高知県出身
小野淳一(フランス料理/レストラン レオーニ/岡山県)岡山県出身

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